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潜入! 欲望の館

今週から週1~3話くらいのペースで投稿することにしました。

 なんとムドが作った彫刻は魔法具で水晶に変えられた奴隷達だった。

道理でやたらと出来が良い彫像だと思ったんだ。なんの事はない、本物の人間を材料にしていたからあそこまで出来がよかったのだ。

 まったく、感心して損した。

しかし人間を水晶にしてしまうなんて一体どんな魔法具なのだろうか? それに何でそんな限定した効果……そういえばこの世界では水晶は貴重品だっけか。

それなら触れたものが金になってしまう王様に話よろしく人間を水晶にしてしまおうと考えた悪趣味な人間が居てもおかしくない。


 その魔法具の存在に興味は尽きないが、それよりも問題なのはムドとその父親だ。

いつどこでその魔法具を手に入れたのかはわからないが、少なくともここ最近のヤツの作品は全て本物の人間を材料にしたものなのだろう。

 水晶にされてしまった人間を元に戻せるかどうかは全く想像もできないし、正直絶望的だろう。

だがこれ以上被害者を出すわけにはいかない。別に正義の味方を気取るつもりはないが、この様な魔法具犯罪が蔓延したらそれこそ身内に危険が迫る。

それは大変よろしくない、最悪魔法具だけでも探し出して破壊してしまおう。

 念のため彫像にされた人達を見つけたら古代万能薬を飲ませて元に戻らないか実験してみるか。

もしも元に戻ったら薬代は割増で請求させてもらおう。


 ◆


「じゃあそろそろ行きますかな」

 ムド達を捕らえ囚われた奴隷たちを解放する為に俺は立ち上がる。

「あら、ようやく動きますの?」

「悪者退治ですね!」

 そうそう……って、おい!

「お前らなんでここに居るんだ!!」

 振り向くとそこには当たり前のようにアルマとシュヴェルツェの二人が居た。

「なんでって、ついて来たからに決まってますわ」

 さも当然の様に返事をされた。

ついて来たってお前ら、こんな夜更けによくもまぁ……あ!

「アルマだな」

「ごめんなさい」

 謝る言葉は悪いことをした謝罪のニュアンスではなくイタズラがバレた子供のそれだった。

俺がベッドを抜け出たのに気付いたアルマはこっそり俺について来たのだろう。

まぁそれは分かるんだが、なんでシュヴェルツェまで連れて来たんだ?

 そんな俺の視線に気付いたシュヴェルツェは無い胸を張って答える。

「執筆家にとって夜こそ本番ですのよ!!」

 ああ、夜更かしをしていた訳ね、そんで俺をつけるアルマに気付いてついて来たわけか。

もしかしてアルマの『隠れ里』のスキルって他人にも影響を与える事が出来たりするのか?

「しゃーない、ついてくるのは止めんけど自己責任だからな」

「はい!」

「当然ですわ!! ふふふ、悪の秘密基地を突撃取材ですわ」

 どっちかっつーと不法侵入だがな。

「で、どうやって入るんですの? やっぱり正面からドカーン! ですの?」

 お前は俺を何だと思っているんだ。

「そんな面倒な事せんでもこれで事足りる」

 取り出したるは瓶に入った紫色の液体、いわゆる睡眠薬だ。

宝物庫から大型の霧吹き器に似た機械を取り出す、コイツは浮島の人工雲発生装置の簡略版だ。

可能な限り簡略化した事で持ち運び可能なまでに小型ができた噴霧装置に睡眠薬を入れ、魔法で水を追加する。

「二人ともこのマスクをかぶったら後ろに下がっていろ」

宝物庫から出した防毒マスクを二人に手渡し自分もマスクを付ける。

「それじゃあ、噴霧開始」

噴霧器から出る霧はケミカルな紫色をしていて大変毒々しい、これ普通に使ったらバレバレだよな。

ムドの屋敷に霧が充満するまで待つ事しばし。



「あの……」

 なにやらアルマが青い顔をしてこれに声をかけてくる。

「ん? どうした?」

「その、この霧って、周囲の家にも流れていっていませんか?」

……気にしてはいけない、そういえば睡眠薬を広範囲に噴霧する機械を作ろうと思って浮島の人口雲発生装置の設計図を流用したけど……周囲の被害までは考えてなかったわー。

だから俺はこう言った。

「大丈夫だ、全く問題ない」

「で、でもご近所の方もこの薬で眠ってしまうのでは?」

「大丈夫だよ、だって今は真夜中、起きているのは後ろ暗い連中ばかりだからね、はっはっはっはっはっ……」

「声が笑っていませんよ……」

大丈夫だ、寝ている人間が睡眠薬を吸っても何も問題はない。せいぜい朝起きれなくなるだけだ。

「よーし、見張りも眠ったようだしサクサク行こう!!」

「……」

だからそんな目で見るなよ。

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