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お風呂パニック

微エロ注意

思えばアレがいけなかった。

食材として当たりの魔物が多い階層に降りた俺達は朝から魔物を手当たり次第に狩っていた。


「この階層の魔物は食材として味も良いし数も多いからメニューの一つにしても良いわね」


新しい階層に降りた時に出会った牛のような魔物サステンは大型犬くらいの大きさだった。

ステータスを確認して食用である事も判っていたのでアリスが昼飯と試食を兼ねてコイツをステーキにしてくれたんだが、これがかなり美味かった。

適度な堅さがありながら噛み切りやすく、噛むと肉汁があふれ出る。

料理漫画じゃないがこの肉汁がまた美味い、全員夢中で食べておかわりまで要求してしまったほどだ。

スキルでステータスを確認したところ性格は温厚で草食、魔物としての強さもそれほど高くないので地上に子供を何匹か連れ帰り牧場で育てるのも良いだろう。

試食の感想が好評だったのでアリスも店のメニューに載せるつもりの様だ。


そうして何匹かの魔物を倒していた時見慣れない青い蝶の魔物を発見した。

魔物と判ったのは普通の蝶の10倍ほどの大きさからだ、正直余り気分が宜しくない。


「デカイわね」


「大きいですね」


「ねぇ、此処に居るってことはアレも食べれるの?」


フィリッカ達は大きいと言う事に気を取られていたがアリスは食材として気になった様だ、オレは食わんぞ。


「ちょっと観てみる」


スキルで蝶のステータスを確認する。


『スパイシーバタフライ

燐粉がスパイスになる蝶で繁殖期になると体色が青くなり特別な燐粉を撒き散らしながら雌に求愛行動をとる』


「燐粉がスパイスになるみたいだ」


「スパイスか、良いわね」


アレも狩るのね、正直触りたくないのでブロックアームで遠距離から燐粉を戴く事にする。


「ブロックアーム」


オレの気分を反映する様にノロノロと進むブロックアームに気付いた蝶が羽根を羽ばたかせて威嚇してくる。


「やる気みたいです領主様」


ここで気づかなかったのがオレの落ち度だった。

スパイシーバタフライは容易に捕獲でき燐粉もたんまりと分けてもらい瓶詰めにして宝物庫に放り込んだ。


「んじゃいこうか」


「・・・・・・」


ん?返事が無いぞ?

アリス達の方を向くと何故か皆が俺を見つめている。

全員頬を染めてうっとりとした顔をしている、骨以外。


「どうした?」


「・・・・・・べ、別に何でもないわ」


アリスが頬を赤く染めながら顔を背ける。


「い、行きましょうクラフタ様!」


アルマが俺を促しながら右腕に抱きついてくる。


「あ、ずるいわよアルマ!」


それを見てフィリッカまで俺の左腕に抱きついてくる。


「二人共ずるいわ」


今度はアリスがオレの背中に抱きついてくる。


「ドゥーロも!!」


そして前からはドゥーロが抱きついてきた。


「おいおいこれじゃ進めないだろ」


「進まなくても良いじゃない」


「そうです、このままでもいいです」


一体皆どうしたんだ?こんなんじゃ魔物が襲ってきたら大変な事になるぞ。


「レン、レノン、二人からも何とか言ってやってくれ」


俺は護衛の二人に助けを乞うがそれは全くの無駄だった。


「ご希望なら私もご一緒いたし・・・ま・・・す」


「マエスタ侯爵が望むのなら私も抱きしめます」


おいおい、どうなってるんだ? レンはともかくレノンまで。


「領主様、これじゃ探索になりませんので今日は一端帰りませんか?」


骨のトラスーだけは唯一マトモな意見を言ってきた。


「そうだな」


こんな有様じゃみんな集中できないだろうし今日は帰るか。



冒険者協会に置いてある転移装置の親機に転移して地上に帰還した俺達は転移装置を協会の受付に渡す。

その際受付のお姉さんもウットリしながら俺の顔を見てきたが一体何事だ?


「それじゃ私はここで」


「お疲れ」


トラスーと別れた俺達は領主の館に帰る、途中女の子がやたらと声をかけてきたがアルマ達に追い払われていた。


「お帰りなさいませご主人様、お早いですね」


丁度帰ってきたところでミヤと遭遇する。


「ちょっとアクシデントがあってね」


「・・・・・・」


「ミヤ?」


なんだかミヤの様子までおかしい。


「あ、は、はい。その、ご主人様随分と汚れていらっしゃいますからお風呂に入ってはいかがですか?」


「そんなに汚れてるかな?・・・あっ!」


良く見ると服に大量のキラキラした粉が付着していた。

どうやらスパイシーバタフライの燐粉が付着していたみたいだ、きっと周りからは香ばしい匂いがすると思われていた事だろう。


「後で着替えを持って行きますのでそのまま湯船に浸かっていてください」


「わかったよ」


そう言って俺達は浴場に向かった。

領主の館は基本男女別だ、これは客が来た時に分けるためだ。

もっとも普段はオレとアルマ、そしてミヤにラヴィリアしか入らないので余り意味は無い。

ラヴィリアは侍女の自分まで風呂に入れるなんてと恐縮していたがそのことから女湯は普段ラヴィリア達召使いの入る場所と認識されている。

なおアルマはオレと入るのがデフォだ、フィリッカが来てからはレノンも交えて一緒に女湯に入っている様だが。

ドゥーロはその日の気分でまちまちだ。


入り口で分かれた俺は脱衣所で服を脱いで浴場に入る、まずは体を洗わないとな、燐粉まみれで湯船に入るつもりは無い。


「それではお背中をお流ししますので椅子にお座りください」


「ああ」


俺はミヤに促されるままに椅子に座って洗割れる・・・ってミヤ!?


「な、何でミヤが!?」


後ろを振向くと一糸纏わぬ姿のミヤがそこに居た。


「ご主人様のお体を綺麗にするのも私の役目です」


にこやかに言いながら自分の手で石鹸を泡立たせていく。


「いやいや自分で洗えるから」


「駄目です、体中汚れています、中途半端ではご主人様の名が傷つきます」


そんな大したものでもないだろうに。


「大した事はありますよ、ご主人様は侯爵なのですから身だしなみには人一倍気を使わなければなりません、それに今はアルマ様の姉君であらせられるフィリッカ様もいらっしゃるのです」


貴族の相手をしたこともあるミヤはそんな貴族のささやかな機微をないがしろにしてはいけないと俺を叱る。


「わかったわかった、それじゃあ洗ってくれ」


まぁこの際手洗いは何とか我慢するしかないか。

背中に泡の感触が当たった後ツンと少し固い感触が当たりそのままやわらかいモノが背中に押し当てられる。

そしてその軟らかいモノがオレの背中をキャンバスに上下して行く。

・・・・・・手洗いじゃないですね。

じゃあ一体なんで洗ってるんでしょう?


疑問に思った俺は恐る恐る後ろを振向いて確認する。


「どうですかご主人様? 私の特製スポンジは気持ち良いですか?」


「いいいいいいいや気持ち良いとかそう言う問題じゃ」


「私のスポンジは気持ちよくありませんでしたか・・・・・・」


この世の終わりを迎えたかのような表情でミヤが落ち込んでしまった。


「私ではご主人様を満足させることが出来ないのですね」


落ち込むミヤの目にドンドン涙が溜まっていく。

いかんこのままじゃ泣かせてしまう!! こうなっては恥も外聞も無い!!


「い、いや、ミヤが洗ってくれてすごく気持ちよかったよ、本当だよ」


引きつりそうになる顔を抑えながらミヤを慰める、とたんにミヤは顔をほころばせて恍惚としながら俺に抱きついてきた。


「では続きをさせて戴きますね」


「・・・・・・お願いします」


やっぱりミヤもおかしくなっている、何度も言うけど一体皆どうしたんだよ。



ようやくミヤのご奉仕洗いが終わった、早く湯船に浸かって疲れを取ろう。


「湯加減はいかがですかクラフタ様?」


「ああ、良い湯加減・・・ってアルマ!?」


今度はアルマまで現れた。


「フィリッカと一緒じゃなかったのか?」


「はい姉様もいっしょです」


「え?」


アルマの差した方向を見ると湯船には共にダンジョンに潜った女の子が全員入っていた。


「まずは体を綺麗にしてからと思ってたらミヤに先を越されるとは不覚だったわ」


お前は前を隠せ、皆湯船に入るために一糸纏わぬ姿だ。

レンやレノンも恥ずかしがってはいるものの余計なものは着込んでいない、湯浴み着とか邪道だ。


「りょ、領主様に皆でご奉仕する事になったので、その・・・私も参加・・・させていただける事に・・・」


「私はフィリッカ様の護衛ですので」


その割にはレノンの視線がオレの下腹部に集中しているような気がするんですが。


「ご主人様マッサージをさせて頂きます」


ミヤが平常運転でマッサージを始める。

俺の両脇にはいつもアルマとミヤが侍っており、最近ではミヤを真似てアルマもマッサージをしてくれる。

アルマもいつも通りとオレのマッサージを始める・・・のだがいつもとマッサージが違うような、どちらかと言えば下の方ばかり揉まれている。


しかも下のほうを揉もうとして前傾姿勢になることで二人の体が俺に密着してくる、人工的に創り出されたがゆえに女として魅力的すぎる肉体をしたミヤと、最近どんどん女らしく成長してきたアルマの体が衣服なしで密着しているのだ、健全な男子諸君なら湯船の下の俺がどうなっているのかよく理解できることだろう。

結婚当初はアルマもまだまだ無垢で子供っぽい体つきとあって一緒に風呂に入っていてもそれほど注意を払わずに済んだのだが、肉体の成長とラヴィリアのいろいろな意味での教育の賜物でアルマの女の魅力はドンドン上昇していた。

仕草とかもわざとやってるんじゃないかと思える時があるくらい色っぽい時があり、しかもそれが自然だからいやみを感じないのだ。


これが俺の地位や資産を狙った女が同じしぐさをすると媚びた感じや露骨なエロさがにじみ出て下品な感じがして引いてしまう。

だがラヴィリアによって日常の動作にまで昇華された夫を夢中にさせる女らしい動作は確かに俺の心をガッチリとつかんでいた。

だがそんな二人に手を出すことは出来ない、アルマはまだ11歳で俺もこの世界では同い年の設定だ、手を出すにはまだ早い。

ミヤなら…と思うときもあるがなんというかミヤに手を出したらなし崩しにアルマにも手を出すことが目に見えるのでそれもできない。

アルマが正妻、つまり最初はアルマの特権なのだ。

それは俺の中で譲れないアルマへの愛の証だ…何言ってんだ俺。


まぁ領地持ちの大貴族なんだから側室を持てって周りから結構言われてるんだけどね、ラヴィリアすら当主の義務だから側室を持てって言ってくるくらいだし。

そんなわけでミヤは周りから見たら俺の側室扱いらしい、ラヴィリアとしては平民のミヤなら子供が生まれてもアルマの子と争う心配も少ないとミヤを側室にする事には好意的に発言している。

むしろミヤを側室にすることで枠を減らしたいのだろう、ラヴィリア的には可能な限り平民枠で側室を埋めたいんだろうな。


っと、そんな思考が体の一部の近くの刺激によって急激に浮上する。


「ミ、ミヤ!その辺のマッサージはいいから」


「ですがちゃんとマッサージしないと翌日の疲労になりますよ」


「大丈夫だって、っ! アルマもその辺はしなくていいよ」


「ですがラヴィリアはこの辺りは特に念入りにしないと殿方は疲れてしまうと」


むしろ疲れさせる気だろあの侍女!!


「いや大丈夫だから」


その辺りは本当危険なのだ、マッサージをする二人の手が勢い余って当たったら大変なことになるモノが。


最初のウチは見られたら気まずいのでなるべく隠していたが長く一緒に入っているウチに隠さなくなってきたのだがそれでも触れられるのはさすがにマズイ、気まずいなんてモンじゃない。

むしろ二人なら……


「おおー美女と美少女を侍らせて湯船に浸かるとは正に貴族、ブルジョワジー……」


さっきから見かけないと思ったら魔王が岩陰から覗いていた、顔が真っ赤なのはのぼせていたからではなさそうだ。


「しかも肌を密着させてまさかのハーレムボーイ?」


「人聞きの悪いことを、夫婦なんだから一緒に風呂に入るのは当然だろ」


「ミヤさんは?」


「……」


ミ、ミヤは俺の従者であって側室というのも周りが勝手にそう勘違いしているしているだけで……あれ?なんでミヤも一緒に入っているんだ?

そういえば気が付いたらいつの間にかミヤも一緒に風呂に入るようになっていた。

最初は背中を洗うと理由をつけてやってきて気が付いたら理由もなく一緒に入るようになって最近では一緒に入るのが当たり前になっていた。

フィリッカが来てから自粛するようになったのだが此処に来てまたご奉仕癖が再発してしまったようだ。

……なんてこった。


「ハーレム?」


「ううう……」


「アリス様、私はご主人様の僕ですのでご主人様の身の回りのお世話をするのが義務なのでございます」


「……つまりご主人様と奴隷?」


「そう受け取って頂いて問題ありません」


「あります!!ミヤは俺の家臣!俺の優秀な片腕だから!」


「片腕……納得したわ!!」


「いや絶対曲解したろお前!!」


アリスが俺の真下、湯船の中に視線を下してサムズアップをするだがそれはサムズアップではなく親指は人差し指と中指の間に挟まっていた。


もうコイツは無視したほうが良さそうだ。


「あったかいお水ぬっくぬくーのー」


目の前を甲羅と幼女の裸体が交互に横回転しながら通り過ぎていく。

ウチのカメだ、なんでお前までいるんだよ。


「美女から幼女までより取り見取りねー領主様」


「フィリッカ」


こいつが黒幕か、アリス達もこいつが唆して連れて来たんだろう、女の子に囲まれて慌てる俺で遊ぼうという魂胆か。


「はーい、貴方の義姉様フィリッカ様ですよー」


「おま、あ、当たってる」


なんとフィリッカは俺の背中にもたれかかってその体を押し付けてきやがった、まさかこいつがここまで攻勢に出てくるとは。


「当ててんのよ……どうよ義姉様の感触は? ふふふふふっ」


真っ赤な顔をして無理やりドヤ顔を見せるフィリッカ、そんなに恥ずかしいならやんなよ!!


「ね、姉様!そ、それははしたないです、そんなに大胆に抱きしめるなんて」


「逆よアルマ、寧ろ貴方がもっと大胆にならなきゃ、貴方は正妻なのよ、だからもっと大胆に! 正面からガバッと体を密着させるくらいでないといけないわ!!」


「そ、そうなんですか!!」


いやいや騙されるな。


「正面から…でもそんなはしたない」


「アルマ様」


ミヤがアルマを静止する、良かったミヤは良識があって。


「一人で恥ずかしいのでしたら一緒に密着しましょう、私が右前半分にアルマ様が左前半分に抱き付けば問題無いかと」


「大ありだ!!」


「さすがはミヤ様!!」


「納得しちゃったよ!」


突っ込みが追いつかん!いや突っ込んじゃだめだ!


「「では!せーの!!」」


「落ち着けお前等!!!」


『モニュン』


「ほぅん……」


変な声が出た…体の左右から押し付けられた塊が何というか……さらにそれだけではなく後ろからはフィリッカの感触、しかも正面には二人の女の子の上気した顔と耳元に聞こえるフィリッカの吐息。

これはもう何というか何が起こっているのか自分でも分からなくなってきた。


「レ、レノン様、私達はどうすれば?」


状況についていけずレンがレノンに助けを求めてる、まず俺を助けろ。


「落ち着くのだレン。マエスタ侯爵は大貴族、故に正妻だけではなく側室も多く娶って血を絶やさないようにしなければならない。だから貴族として間違ってはいないのだ、つまり私達がすることは私達も混ざってマエスタ家の血を増やすことなのだ!!」


おーーーーい!!!!何言っちゃってんのこのポンコツ騎士!


「判りました私達も領主様に胸を押し付ければ良いんですね!」


「その通りだ!いくぞ!!」


その通りだじゃねぇよ!!

レンとレノンまで俺の顔に胸を押し付けてくる。

マズイ、これ以上はイケない、このままでは陛下に処刑されかねない事態になる、急いでこの場を離れなければ。

だがそれすらもできない危機的な状況が水面下で起きていた。

このまま立ち上がって湯船から出ようとすれば大変マズイ物が彼女達の視界に入ってしまう、超マズイ。

だがこの姿勢のまま逃げようとしても密着した彼女たちを引きはがすことは不可能。

どうする俺?

進退窮まって硬直している俺の視線の先に角の生えたクラゲが浮かび上がってきた。

いやそれはクラゲでは無くアリスの髪の毛だった、アリスは湯船から浮上して一言。


「今夜はお盛んですなー」


そういって俺を指さした後その指先を下にずらした。


当然女の子達の視線は下にずれていき、俺がバレないように振る舞っていたモノが見つかってしまった。

こ、この魔王ー!!!


「「「……」」」


いやな沈黙が流れる。

皆顔を赤くしてモジモジしているが誰一人視線を逸らそうとはしない、ガン見である。


「あの、ご主人様、お手伝いいたしましょうか?研究所に残されたそちら方面のやたらと沢山ある研究資料の成果をこれ幸いと実践にて披露させていただく次第ですが」


しなくていいから、というかそんな資料廃棄してしまえ、俺が読み終わってから。


「そ、それなら妻として、わ、私が」


アルマまでっていうかそういうの解るんだな。


「ラヴィリアから貴族の妻たるもの夫を満足させて一人前と教わっております、知識だけですが私頑張りますから」


「騎士たる者主の命令に応えてこそ!マエスタ侯爵の命令とあらばいかなる命令にも応えましょうぞ!!」


応えんで良い。


「ふ!不束者ですがよろしくお願い致します、あ、貴方に受けた恩を今こそお返しいたします!!なんでもも言ってください!私頑張ります!!」


良いから落ち着け。


「え、えっと、私そういうのした事ないから如何すればいいのか解らないんだけどその、どうしてもっていうのなら頑張ってもいいよ、君にはいっぱい恩もあるし」


レノンとレンだけでなくフィリッカまで参加して来た。


「お前が燃料投下したくせになんで一番純情っぽいセリフ吐くんだよ」


「いやその何時までたっても進展しない貴方達二人に発破をかけて夫婦仲を進展させたほうが良いって言われて、そのついでに私達も御褒美を貰おうってそれで…」


しどろもどろに答えるフィリッカ、ミイラ取りがミイラじゃねぇか。


「一体誰がそんな事を……」


フィリッカが視線を向けた先には逃走しようと湯船から起き上がったアリスの尻があった。

あの尻が黒幕であったか、疑ってごめんフィリッカ。


「ドゥーロ!アリスを捕まえろ!」


「捕獲のー!」


「ちょっ!離しなさいよ」


「確保ーしたのー」


アリスはドゥーロを引きはがそうとするが警察ごっこか何かだと思っているドゥーロはアリスをつかんで離さない。

能力値が逆カンストのアリスでは元獣であるドゥーロを引きはがすことなど不可能だ。


「そのままこっちに連行だ」


「のー」


「むー…! ふっ」


ドゥーロに引っ張られた俺の前まで連れてこられたアリスはもじもじしながらふてくされていたがすぐに考えが変わったのか不敵な顔をして俺の前に仁王立ちになった。

えっと、湯船に座ってる俺的には目の前で立たれるとすごい光景なんですけど。


「それでどうなるのかしら私?」


「もしかして君のお盛ん様の責任を取るために私がご奉仕すればいいのかしら?

でも奥さんの前でそんな事してもいいのかしら?

ふふっ、いいのよ、お姉さんが責任を取ってあげても」


真っ赤な顔でどーよ! とドヤ顔で勝利を確信するアリス、俺からは手を出せないと確信しての勝利宣言だ。


……だがな、侮るなよ魔王? 人間の変態ぶりは魔族すらも凌駕するんだぜ?

日本人のエロススピリッツを甘く見るなよ!!!


「それじゃあ判決を言い渡そうか…ミヤ」


「は、はい」


「研究所の資料から女の子を楽しくお仕置きする方法をいくつか見繕ってアリスで実験するんだ、必要ならフィリッカ達の手を借りても良い」


「畏まりました!!」


すげぇいい笑顔で返事された。


「えっと、私達も?」


フィリッカが何に巻き込まれるんだと戦々恐々としている。


「大丈夫ですフィリッカ様、アリス様があられもない姿を皆様の前にさらけ出されるだけですから」


ミヤはそう言いながらワキワキと指を動かしてアリスに近づいていく。


「大丈夫じゃなーい!!」


「ああ、頑張ったら後で御褒美をあげるぞ」


「「「御褒美!」」」


「ちょ!皆正気に戻って!」


「ご主人様の命令ですから、それに御褒美が待っていますので」


「わ、私は二人をくっつけたドサクサにまぎれて一緒にクラフタ君と楽しみたかったわけであって女同士とかは求めてないから! いやほんとそれ以上はってそこはだめ!マジ許して!!」


ミヤとアリス以外の女の子の目がランランと輝きアリスに近づいていく。

これはホラーですわ。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・ぁ・・・」


えーと風呂場の防音装置は正常か確認しとくか。

その晩領主の館の浴場では魔王の悲鳴が響き渡ったが魔法具の力で音は外に漏れなかったので市民は誰も気づかなかった。



風呂場から無事ではない状態で脱出した俺は今回の騒動の原因と思われるブツを調べていた。


『スパイシーバタフライのフェロモン粉

50年に一度の繁殖期のスパイシーバタフライの雄が作り出す雌を魅了する燐粉。

この燐粉を纏った者は同系統の種族の雌を魅了するフェロモンを発するようになる。

一度燐粉を纏うと一週間は雌を引き寄せるフェロモンを発し続ける』


予想外の危険物だった、更に調べたらかなりの貴重品らしく10グラムで赤金貨一枚分するらしい。

これだけの量の燐粉で10万円相当か、だがさっきの効果を見れば10万円でも安いよな。

赤金貨1枚は最低価格帯みたいだし相場の変動でもっと高くなるのかな。


仕方ないので暫く領主の館で大人しくするしかなかったのだが、


「クラフタ君御褒美ちょうだい!!」


「クラフタ様、私頑張りました!!」


「領主様ー」


「ご主人様ー」


「マエスタ侯爵、せがむわけではないのだが私にも褒美をいただけるのだろうか」


「ごはんー?」


「あんな恥ずかしい姿を見られたんだから責任とってよー!」


「「「お館様ー」」」


その間屋敷の中で女達に追い回され大変だった。


全員正気に戻ったら焼き芋でも焼いてやるか。



後日譚


「いやーたくさんの女の子にモテモテで参ってしまいましたよ、骨ブーム来ましたかね?」


そういって真っ白な骨にたくさんのキスマークをつけた骨ことトラスーが嬉しそうに昨夜の武勇伝を語ってきた。

あの時もう一人の雄であるトラスーも燐粉を受けて街の女の子達をメロメロにしていた様だ。


今回の件で一番得したのはコイツだな。

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