表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/178

対決!ランドドラゴン

決戦開始

夜を駆ける、闇の中を走り迅速に仕掛けを仕込む。

今夜は竜を狩る日、失敗は許されない。

師匠は言った。


「君の力を見せてくれ」


修行の成果を見せる、それは師へ報いる行為。

魔物の王ドラゴン、下級の存在としても王に連なる存在。其の在り様は下等な魔物達とは一線を画する。

学んだ全てを駆使し狩りの準備を進める。


だがあえてこう言おう


「たかがトカゲの親玉にこの地の支配者は誰なのかを教えてやる」


この地にはドラゴンよりも恐ろしい存在が3人もいるのだ、ならばその弟子である自分は下級ドラゴン程度に負けることは許されない。


決戦の前日


「決戦は夜だ、ソレは君の為でもある」

「俺の為?」

「君がこの地でランドドラゴンを発見してから1ヶ月、セントラルの町へは一番近い町からでも2週間は掛かる。

最低限ドラゴンと戦う戦力を集めるには早くても1ヶ月以上十分な戦力と準備をするなら2ヶ月半くらい掛かるだろう」


「ドラゴンと交戦して生きていられるだけの実力を持ったヤツは少ない、それだけの力を持った連中が都合よく近くに居るとも思えん。

だがのんびりしてると戦力が集結しドラゴン狩りが始まっちまう、そうなったらカンの良い奴等が俺達に気付くかも知れん」

「僕達が戦うと魔力の残滓でばれる可能性が高くなるからね」


なるほど、だから俺が夜に戦う必要があると。

たった一人でドラゴンを倒す所を誰かに見られたら面倒なことになる。

というか勝てる前提ですか。


「それに夜にドラゴンを狩りに来るなんてよっぽどな事でもない限り無いからね」

「変なフラグ立てないでくださいよ」

「無事帰って来いよ、お前が帰ってきたら教えてやりたいことがあるんだ」

「君の実力なら余裕で倒せますよ」

「クーくん、これお守り!お姉ちゃんクー君の無事を祈ってるから」

「なんで皆してフラグ立てるんですか!!!」


わざとだ絶対。



そんな間の抜けたやり取りがあったがやるべきことは頭に入っている。

仕込みは万全、後は始めるだけだ。


「では、行きますか!!」


夜の住人のクセに惰眠をむさぼるドラゴンに向かって行動を開始する。

宝物庫から必要な道具を取り出す。

ドラゴンの姿を確認する、これほど接近したと言うのに未だにいびきをかいて眠っている。

警戒する価値も無いと言うことか。


「良いご身分だな」


狙いはドラゴンの下、地面だ。


「ピットホール」


ドラゴンの体の真ん中から半分ずれた位置にドラゴンとぴったり同じ大きさの穴を開ける。

するとドラゴンの体が転がりながら穴に落ちる。

落ちた衝撃でドラゴンが目を覚ますが穴にぴったり嵌っているので体を起こすことが出来ない。

何が起きたのかも分からないだろう。

だがその程度で無力化できるほどドラゴンは甘くない、すかさず宝物庫から出しておいた薬をドラゴンの喉にかける。

ソレと同時にドラゴンの口から超音波のような音が鳴る、ブレスの前兆だ。


「ストームウォール」


だがそうはさせない、ひっくり返ったドラゴンの口先に魔法で嵐の壁を出す。

さらに地属性への耐性薬を嵐の壁にかける。

その瞬間ドラゴンがブレスを放つ。

閃光とともに大地を破壊し体勢を立て直すだけの隙間を作ろうとするが地属性の攻撃に対する抵抗力を挙げる耐性薬をばら撒かれた嵐の壁を破壊することは出来ない。

さらにこの魔法には俺のスキル中級術式強化が発動している為呪文の威力を大幅に上げている。

ブレスを完全に防がれたことにドラゴンは驚愕する。

其の隙を逃さず宝物庫から槍と薬を出す。

すかさず薬を槍にかけドラゴンの喉に突き込む。

ドラゴンは完全に余裕の表情だ、唯の槍に竜の鱗を貫けるはずが無いとタカをくくっているからだ。

だがソレは間違いだ、槍はドラゴンの喉を豆腐のように貫いてゆく。

この槍にはかけたのは風属性の魔法薬だ、地属性のランドドラゴンには絶大な効果を発揮する。

そして先ほどドラゴンの喉にかけたのは防御力を弱める魔法薬、その効果はドラゴンの鱗でも例外ではない。

絶叫するドラゴン、その瞬間ドラゴンの全身から強大な地の魔力が迸り大地に亀裂が走る。

魔力の量が魔物の力に反映する、肉体を流れる膨大な魔力に裏打ちされた尋常ならざる筋力で地面を無理やり砕いて行く。

攻撃力増加の魔法だ、ブレスを封じられ堅牢な鱗を貫かれたことで多大な魔力を消費してでも体勢を立て直すことを選んだか。


姿勢を直そうと転がるドラゴン、だが槍は刺さったままだ、ドラゴンの動きに合わせて勝手に肉が裂けていく。

首が半分千切れ大量の血を流してもまだ生きている、この生命力こそドラゴンの恐ろしさ。

奴等は死ぬ瞬間まで最大の攻撃を叩き込もうとしてくる。

ソレを知っているから体は次の攻撃の準備を始める。


反撃はさせない。


宝物庫から取り出すのはガスマスクと口の閉まった大きな袋、ガスマスクをかぶって袋をドラゴンに投げる

ドラゴンはソレを前足で払おうとするが薄い袋はドラゴンに当たって破れてしまう。

その瞬間袋の中身があたりにばら撒かれる。

それはいわゆる目潰し、各種刺激物を詰め込んだソレはドラゴンの目と喉をつぶす、目が見えなくなり喉は咳き込み戦闘どころではないもちろんブレスを撃つ事も出来ない。

普通の薬ならドラゴンに目潰しなどできよう筈も無い、だがこの薬には風属性の魔物から抽出した風の属性薬が混ぜ込んである、刺激物も錬金術で作り出した高濃度の刺激物質だ、

呪文で作った薬なのでのスキルの中級術式強化も効いている。

さらにあらかじめドラゴンの周囲に配置していた各種属性の使い捨て魔法符を発動させる、火瀑符の爆風と爆音で吹き飛ばし水流符で洗濯機のように揉みくちゃに流す、そこに地裂符で地割れに落とし風刃符で切り裂く。

目の見えないドラゴンは大量の人間に全周囲から襲われていると勘違いしていることだろう。


「止めだ!!」


痛みと苦しみにのた打ち回るドラゴンの手足に宝物庫から出した4本の巨大な杭を投げつける、杭はマジックアイテムで貫通力に特化した術式を刻んである。

さらに貫かれた手足に大量の硬化薬をかける、コレは即効性のセメントを作る薬だ。

手足を杭とセメントで地面に縫い付けられたドラゴンはまな板の上の鯉だ。

風の術式で身を軽くしてドラゴンの頭に飛び乗る、そのまま両腕でドラゴンの頭部を掴み叫ぶ


「ドレイン!!」


ドラゴンの生命力と魔力が流れ込んでくる、ドラゴンも抵抗しようとするが頭部にいるお陰でブレスの射線からは外れている。

手足を拘束されているので暴れることも出来ない、魔力を筋力に注ぎ込めばこの拘束を無理やり外すことも出来るだろうが既にソレを行いドラゴンは疲労している、すぐにはできないだろう。

首を半分切られて全身にダメージを負ったドラゴンに俺のドレインを阻むことは出来ない、さらに生命力を奪われ動きが鈍くなってきたドラゴンの能力値のドレインも行う。

目的はドラゴンの能力値を取込みパワーアップする為だ。

もはやドラゴンに抵抗する力は残されていない。

全身の生命力を吸い尽くされてドラゴンはついに終わりの時を迎える。

最後の足掻きとその首が大きく空に上がった瞬間、わずかな痙攣の後ドラゴンはその巨体を大地に沈める。



全身を駆け巡っていたドラゴンの魔力が消えた事でドラゴンの死亡を確認する。


「ふー終わった終わった」


風の魔法でいまだドラゴンの周囲に漂う刺激物を吹き飛ばしてからガスマスクを取る。

戦ってみればあっという間だったな、自分が強くなったのかドラゴンが弱かったのか。


「さーてそれじゃ素材を剥ぐかなっと。」


予想外にあっさりとドラゴンを倒した俺は意気揚々とドラゴンの解体を始める。

今夜はドラゴンの素材祭りだー!!


……そんな風に思っていた時もありました。

素材を剥ぎ始めて30分経過。

しかしこのサイズ、素材剥ぐの超めんどくさい。

なにせ全身を解体しなければならないから手間がすごい掛かる、そもそも一人でやる作業じゃないよ。

ドラゴンは全身が濃密な魔力に満ちているので全ての部位が素材として高値で売れる。

外皮は防具に、血と内臓は薬に骨や爪は武器や建材になる。

あと稀に・・・


「あ、あの!!」

「はーいなんですか?」

「お願いがあるんですが」

「はぁ、何ですかお願いって」


いつ終わるとも知れない膨大な作業量に半ば現実逃避をしながらドラゴンを解体していると誰かが話しかけてくる。


「あのですね・・・素材を譲って欲しいんです」


譲って欲しいねぇ。


「ドラゴンの素材は高いよ」

「もちろん対価はお支払いします、ですから」


こんな夜中にドラゴンの素材を欲しがるとは酔狂な人だなぁ。

・・・ん?こんな時間に?

ようやく気付いて後ろを振り向く。


「ドラゴンドロップを譲って欲しいんです!!」


そこには一人の女の子が居た。

そして俺は言った。


「よっぽどが居た」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ