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黄昏を駆ける狂詩曲  作者: 渡瀬 由
第一章 剣の墓標
3/29

過去の幻影(1)

 ここから本編が始まります。

 ずしりと重いストーリーではありますが、楽しんで頂ければ幸いです。

 どこからか、大きく炎が上がった。

 なだれ込んでくる鋼鉄の足音と、聞こえてくる剣戟の響き。悲鳴と怒声が入り混じる街の中を一人の男と二人の騎士が駆けていた。


「どうにか間に合ったか……。急ぐぞ!」


 使い込まれた鋼鉄製の鎧に身を包み、手にした白銀に輝く剣で迫りくる帝国兵を切り伏せていくその男は、もはや見慣れない風景と化した王都をわずかな手勢で防いでいた。


「ライル騎士団長、こうも簡単に王都への侵入を許すなんて…どういう事なのでしょうか」


 ライルと呼ばれた男は、長身で痩せ形であったが、しなやかな動きを生み出せる瞬発力と相手を一撃で仕留められるほどの力、そしてゆるぎない胆力を持ち合わせていた。邪魔にならないよう、肩まで伸びた黒髪は後ろで止めている。騎士にしては珍しい胴鎧ブレストプレートは彼の速さを無くさない工夫がされている。


「アルディ、数日前から状況は変わっていたさ。内通者がいたのかもしれない」


「そんな……」


「それより、今は残っている市民を保護するのが先だ! 騎士団の名誉にかけてな!」


 ロレンシア大陸のほぼ中央に位置する小国「エルムス」

 小さいながら自然が豊かで良質の木材や加工品を産出し、特に王都周辺にある小さな湖が点在する地域では水資源が豊富でそこで作られたエール酒は大陸全土に出荷されるほどの名産品だった。


 エルムスの第十六代国王・リーゲンハイム七世は穏健で知られるが、小国でありながら大国に対して中堅国以上に渡り合う事の出来た名君だった。一方で、必要最小限の軍事力しか持たず守りの要は国境を守る兵士団と王都全域を守護する騎兵団、そして精鋭たちで構成される王国騎士団だけだった。王国騎士団は王を守護する務めを担っているため少数で、大規模な戦闘には向いていない。


 魔王戦争。

 後にそう呼ばれる戦争の最中に隣国を僅か十日で滅ぼした大国、ルーゲル帝国がエルムス王国に突如として侵攻してきたのだ。国境付近でにらみ合いを続けていた両陣営だが、国境を守護する兵士たちが次々と帝国へ投降し、兵団の幹部が今度は帝国の先鋒として故郷に攻め入っているのだ。


「ここも、もう持たないか……」


 だめだ。もはやこの状況になっては王都を、いや保護した民でさえ守り切るのが難しくなってくる。帝国兵の数も多い。これ以上は自分たちの命でさえ……。


「いや、まだだ。一人でも多くの民を救わなくては」


 ライルは後ろに殺気を感じて身体を右方向へと移動させ、速いスピードで剣が振り下ろされるのを紙一重で避けると、振り向きざまに殺気に向かって一点を突いた。攻撃を見極めるその眼光は鋭く、青く光っていた。

 こんな感じが続きます。

 さて、文章量は、だいたい1500~1800くらいを予定しています。


 重いのですが、書いている方としては「にやにや」しながら書いております。キャラクターの紹介はありませんが、もし「あったほうがいい」というご意見がありましたら追加することもあります。


 それでは、次回またお会いしましょう!

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