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黄昏を駆ける狂詩曲  作者: 渡瀬 由
第一章 剣の墓標
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剣の墓標・プロローグ

 滅びの時を迎えつつある王国「エルムス」

 第一部はここから物語が始まっていきます。

 それでは、どうぞお楽しみください。

 ロレンシア大陸のほぼ中央に位置する小国「エルムス」

 小さいが資源に恵まれた土地で、現在の国王リーゲンハイム七世の善政もあって豊かで平穏な日々が綴られていた。


 しかし、大陸全土を巻き込んだ「魔王戦争」と呼ばれる戦いに否応なしに引き込まれ、それに乗じた国家間の争い。エルムスは今、決断を迫られていた。

 急な使者がエルムスを訪れたその日、王国騎士団を率いている俺は国王陛下に召喚され、謁見の間へと赴いてた。


「陛下、本当なのですか」


「うむ。隣国のトラヴィスがルーゲル帝国に降伏した。この国へ攻め入るのも時間の問題かもしれぬ」


 元々、「ルーゲル帝国」とは良い関係を築くのは難しいと思われていた。野心の強い皇帝とその一族は大陸統一を掲げて魔王戦争勃発以降、盛んに軍事強化と各国に連合という体のいい降伏を突き付けていた。しかし、各地で戦いが本格化しようとしているこの状況下では誰もいう事を聞かなかった。業を煮やした帝国は手始めに隣国と周辺地域の町、村を電撃作戦で掌握して物資を調達。この一年で滅ぼされた国や町は五つに及ぶ。


「それでは?」


「もう何を言っても無駄かもしれぬが……講和の為の使者を立てた。望みは薄いがな」


「………」


 それより、と国王が続ける。


「ライルよ。おぬしとキャシーとのことだが」


「いえ、構いません。今はこのような状況ですから。ですがきっと光は見えるはずです」


「うむ。私もそう願っている。だが――」


「王都の守りはしっかりしています。今のところ騎士たちにも動揺は広がっていません。しかし、もし戦いが始まればどうなるのか、正直言ってわかりません」


「この国は戦う事には不得手だからな。帝国も当然それを知っている」



*****



「それで、陛下は何と?」


「ああ、使者を立てたそうだ。ただ……かなり厳しい状況なのは間違いない」


「ライル、私はあなたに戦場には出てほしくない。本当は国の為でもあなたに人を殺してほしくない」


「キャシー……」


 今の状況からはルーゲル帝国が攻め入ってくるのはほぼ間違いない。あとは”いつ”攻めてくるかだ。本当に国を、民を、キャシーを俺は守れるのか。不安は尽きることはない。


「ライル、震えてるわ」


「俺は……」


 キャシーは微笑みながら、


「それでいいのよ、ライル。恐怖や不安があるから、それに立ち向かうことができる。だから安心して。貴方ならきっと――」


「ありがとう、キャシー」


 俺はそっと、頬を微かに赤らめたキャシーの頬に触れ、髪をなでる。そして、静かに、だが熱く口づけを交わした。


 ここから第一部『剣の墓標』が始まっていきます。

 この作品を含め、全部で四部構成で書いていきたいと思っています。なにぶん遅筆なので時間がかかりますが、楽しくお付き合いいただければと思います。


 更新は2日おいて……と考えています。なるべく頑張りますが、状況によっては少しお待ちいただくこともございます。ご了承を。

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