平凡少女の幼馴染が依存系ヤンデレだった件について
あの電波系女子との一件から少し経った。
「え…」
下駄箱の中に、手紙が入っていた。
まだ嫌がらせが続いてるのかと思って、教室に入ってから開けてみる。
「…マジですか」
「おはよ。何、どしたの音々」
「あ、澪、おはよう。えーと…」
「嫌がらせ…じゃないのか。何、ラブレターとか?」
からかうような澪の口調。
だけど、これはそのものズバリ、ラブレターだった。
「実は、そうなの」
「マジで…?」
「うん…罠だったりするかな」
「…うーん…」
この間のこともあるから、澪と一緒に考える。
「何してるのぉ?」
「ああ、凪か。おはよう」
「ん〜、おはよう。ふぅん、ラブレター?これ誰の?まさか澪がもらったとかじゃないでしょ?」
…あれ、何か凪の目が恐いよ。
男だよ。
「もらったのは私だよ」
「…って凪お前どういう意味だっ!」
「別にぃ〜」
明らかに安心した目になった…ってことは。
「あ、凪ヤキモチだ」
「そんなんじゃないしぃ〜。で、どうするの音々は。瑞貴を誤魔化しといて欲しいならやってあげてもいいけど」
「え?何で瑞貴?」
呼び出しは確かに昼休みにあるけど…。
「いつもアイツのほうは音々に言って行くし、言ってやったほうがいいんじゃないのか?」
「…そういえばそうだね」
言わなかったら心配しちゃうだろうし、やっぱり言おう。
「はよー。音々酷いじゃん、寝坊したからって置いてくなんてさー」
「だってちゃんと起こしても起きないから。よく間に合ったね?」
「チャリで来た」
「そっか。あ、そうだ。お昼休みちょっと私抜けるね」
「?何かあんの?」
「高校生活初のお呼び出しです」
「…呼び出し?この間のがまだ続いてんの?」
そうだよね、瑞貴のことが好きな人たちからの呼び出しについては言ってないから…。
「違う違う」
「!じゃあ、告白?」
「…多分」
「……」
あ、あれ、黙り込んじゃった。
「…駄目」
「え?」
「…音々は俺の」
「……」
「行ったら、ヤダ」
私がほいほい付き合うとでも思ってるのかな…。
というか彼氏が出来たとしても瑞貴との関係は変わらないと思うんだけど。
「可愛い感じに言ってるけど、独占欲の塊だよなアレ」
「ものすごくねぇ。気づいてないのが音々らしいっていうかぁ」
「でも行かないと失礼だし」
「…どうしても?」
ぎゅう、と腰の辺りが締め付けられる。
「いたいいたい。放して瑞貴」
「音々、いなくなるからダメ」
「いなくならないよ。大丈夫だから」
こんなにしつこい瑞貴は久しぶりかもしれない。
そういえば、とこの間の電波さんが言ってた依存系ヤンデレって単語を思い出す。
こういうことだったのか。
でもなぁ…ある意味通常運転だと思う私は変なのだろうか。
自称平凡女子なのに、参ったなぁ…。