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布教準備、そして目覚め

村人達が布教活動を必ず成功させると誓っていると、天から緩やかに光の柱が降り、その柱の中を通り一羽の烏が向かってきたので、村人達はすぐに平伏した。烏は村人達の近くに到着すると、まるでその場に地面があるかのように空中に降り立った。烏からは天之竜河大神ほどではないが、それでも今まで感じた事がないようなプレッシャーを放っていた。それも当然である、その烏は八咫烏のカイであり、女神ウルスラに匹敵する力があるのだから。


「私は天之竜河大神の神使である八咫烏のカイである。お前達に、これからの行動について説明するために降りてきた。」


「大いなる神に直接仕えるカイ様に会えたこと、誠に光栄に思います。布教などについて、より詳しく教えて下さるようで誠にありがとうございます。」


「うむ。本来なら長い時間をかけて覚えてもらう所だが、今回は時間がない。よって、布教活動に当たる者は直接頭に知識を送る。これで知識は問題なく、神聖魔法の使い方も知ることができるだろう。」


「それはありがたいことですが、神聖魔法とは?」


「神聖魔法とは主の力を借りて行使する魔法のことだ。光魔法のようなものだな。」


この世界の魔法は大きく分けて二種類存在する。

 精霊魔法・自然界に存在する「地」・「水」・「火」・「風」の精霊の力を借りて使用する魔法。

 光魔法 ・女神ウルスラの力を借りて使用する魔法。

この二種類である。魔法の使い方を簡単に説明すれば、無色である魔力に属性を付けるのである。例えば、無色である自分の魔力に、火の精霊を宿すと火の魔法が使える、という感じである。もっとも相性などもある為、だいたい一属性、多くても二属性までしか使用できた者はいない。そのため魔道士は、自分が使える属性を極めることに集中し、他の属性を使えるように訓練することはない。一つの属性を極めたり、複数の属性をある程度使えると、その魔道士は賢者と呼ばれる。

このように二種類しかなかった魔法であるが、天之竜河大神が出現したことにより、もう二種類の魔法が増えた。それは、

 神聖魔法・天之竜河大神の力を借りて使用する魔法。

 暗黒魔法・魔神レグリオスの力を借りて使用する魔法。

この二種類が新たに増えたのだ。もっとも、暗黒魔法は魔神レグリオスが復活していないため使える者はいないが。


「なるほど、大いなる神の力を借りての魔法ですか!」


村人達は信仰する神の力を借りて奇跡を起こせることに興奮した。


「そうだ。この神聖魔法を使い、疫病、大雨、干ばつなどで困っている者達を助けることにより、主を信仰する者は増えるであろう。」


「わかりました!人助けも出来て、布教もできる。良いこと尽くめであり、大いなる神の偉大さを強く印象付けられますね!」


村人達の興奮はさらに高まった。自分達の行動で人が助かるだけではなく、大いなる神の偉大さを見せつけることができることに興奮しているのである。


「そのとおりだ。」


カイはその興奮を当然のものとして見るのだった。


「さて、残る者の中で、神職になりたい者は自分で知識を身に付けていけ。この度の措置は特例である。分かったな?」


「「「「はい!」」」」


大いなる神に仕えることは、誰もが望んでいたことであるため、どの様な難しいことでも必ず身に付けてみせる、と誰もが覚悟するのであった。


「よろしい。では、服装については・・・」


このようにカイは、布教に関しての知識を教えていき、村人達も真剣に聞いていた。



「さて、大体このくらいだろう。あとは三人程布教に赴く者を決めろ、その者達に知識を送る。」


誰もが自分がやりたいと思っていたが、少しでも結果を良くするために優秀な者がよいということで、村で特に優秀なソラ、アシュトン、ライズの三人が選ばれた。

三人が前に出るとカイは話し始めた。


「では、お前達に知識を送る。よいな?」


「「「はい!」」」


全員が返事をすると、彼らの頭に様々な知識が流れ込んできた。


「これでお前達は神職についての知識を得た。数日ほど知識の整理などをし、あとは旅の途中などに訓練するとよいだろう。次に、これを残る者達に授けよう。」


カイの前に光の球体が現れ、ゆっくりとヤマのもとまで降りてきた。それは分厚い本であった。


「これは何でしょうか?」


「その本には、この者達に与えたことと同じ内容が記してある。神職を目指す者は、それを使うとよい。」


「ありがとうございます!」


村人達は、神職になる為の教本のような物を授けられ、歓喜に打ち震えるのだった。


「私からは以上だ。必ず成し遂げよ。」


「はい!必ず成功させてみせます!」


全員が改めて布教の成功を誓うと、カイは天に戻っていき、そして、光の柱も消えていった。

そして、ヤマは振り返り、これからの予定を話し始めた。


「まずお前達は与えられた知識の整理をするように、他に神職になりないものを選び知識を身に付けていくぞ!」


「「「「おう!」」」」


こうして村人達はそれぞれ動き始めるのだった。



ー数日後ー

フキノ村の出入り口に村人達が集まり、布教に出る三人を見送っていた。三人が着ている服は、この世界には存在しなかった狩衣を着て、頭に立烏帽子を被っている。三人を代表して、ソラがヤマに別れを告げた。


「では村長、行ってきます。」


「体に気をつけてな。」


「はい。必ず多くの人達に、大いなる神の偉大さを広めてみせます!」


彼らがそれぞれ別れを告げていた時に、天から天之竜河大神の声が聞こえてきた。


<人の子よ。>


声が聞こえると同時に村人達は即座に平伏した。


<旅の餞別として私からお前達に贈りものだ。>


そう言うと同時に目の前に三個の光の球が出現した。ソラ達がその光の球に手を伸ばすと、光の球は手のひらに収まり、その姿を勾玉に変えた。


「これは・・・。」


<それは私が創造した神具だ。その勾玉は、あらゆる攻撃からお前達を守護する。>


「そのような貴重な物をいただけるとは!我ら、全身全霊で布教にあたりたいと思います!」


<期待している。>


その言葉を最後に神の気配は消えた。気配が完全に消えると、ヤマはソラ達に祝いを述べた。


「よかったじゃないか!そのような神具を授けられるとは、それだけ期待されているということだろうな。」


「そうだと思います。期待に応えれるように、しっかりとしていきます。」


「あぁ、その意気だ。しっかりと務めを果たしてこい、ソラ神官!」


「そう言われると照れますね。でも、務めは必ず果たしてきます!」


ソラ達は別れを済ますと、旅たって行った。のちに三大神官と呼ばれることになる三人の布教の始まりであり、彼等は各地を回り天之竜河大神の存在と、その教えである神教を広めていくのだった。

神教とは、神の教えでそのまんまでいいじゃないか、という天之竜河大神の適当な考えで付けられた名前である。

ちなみに神官とは神教における神職の階級である。ウルスラ教と比べるとこのようになる。


       ウルスラ教     神  教

       ・教皇        ・法王

       ・枢機卿       ・大神官

       ・司祭        ・神官

       ・助祭        ・修道士


ソラ達は神官に必要な能力を身に付けたため、神官になることができたのだ。







大陸南方から数千キロ離れた海上に創造された島。その島は魔神の核により、まさに魔の島と言っていいほどに邪気に満ち溢れていた。

魔神の核を中心に闇の渦が発生すると、その中から声が響いてきた。


「ふふふ!忌々しき神に敗れて幾星霜、ついに余は目覚めた!」


ついに魔神レグリオスが目覚めたのだ。その姿は二本の手足と胴体、頭がある人間の形をしている。だが、その体は闇が人型になっているかのように真っ黒で、顔には、本来眼がある場所と額の三か所に禍々しい赤色をした鋭い三つの眼があり、口がある場所には赤黒い切れ込みのような物が存在するだけであった。


「まだ完全に復活してはいないが、いまに見ておれ!完全なる復活を果たし、今度こそ貴様を倒してみせようぞ!」


レグリオスはまだ完全に蘇ったわけではないが、力を蓄えて天之竜河大神に雪辱を果たすつもりのようだ。やる気に満ち溢れた魔神レグリオスが、どれ程の被害をこの世界にもたらすのか、まだ分からない。だが、甚大な被害をもたらすのは確実であり、世界全体にとって悲劇なのは間違いない。そう、天界を除いて。





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