【エッセイ短編】女は家に一人で良い、《嫁》という字を考えた件について
【嫁】
女と家。
私の結論、【家に女は一人で良い】と言う事です。
さてさて、私も良い年でまだ独身です。介護のために実家で暮らしております。そうすると、昔から知るご近所の方や、母の友人の話を聞きます。
母の世代はいわゆる《おばあちゃん世代》そして、私の年齢は《親世代》です。そして、皆さん子供がいます。離婚やシングルマザーなどでご実家に居たり、一時的に実家に帰ったりするものの、やはり親世代はそのうちに家を出ていくそうです。
かくいう私も独身ですが、親の介護がなければ同居をする理由がありません。私と同じ病気でも働いている人いますからね。ですが、自分の事だけなら病気と仕事を両立できたとしても、親の介護も加わると流石に無理ですので私は実家で介護をしながら体を治しつつ、このように文章を書くと言う選択肢を勝手に作りました。
で、ですね。なんで【家に女は一人で良い】と言うふうに考えたかと言う話ですね。
嫁に来る、”嫁ぐ”とと言う字は”女+家”。女は一つだけ。一人で十分。
私は一人暮らし歴が11年くらいありました。そして、付き合っていた人がいたとて一人暮らしの賃貸アパートは私の名義で借りているんです。私の城です。私の考えた私のルールで掃除や片付け、物の配置、ゴミ捨てルールがあるわけです。
最初は台所周りに絞って話をしましょう。
その理由は、私は夏場一番元気で人の家に無断で侵入してくる黒いGのつく昆虫が信じられないほど苦手です。どれくらいかというと、当時はGを見つけると怖くて動けなくて震える程です。どれだけ頑張ってゴミをこまめにまとめても一階に住んでいたこともあり、居酒屋の暖簾を『やってる?』と気軽に開けて入ってくる客のように侵入されました。ちなみに穴という穴は全て塞いでおります。それでもどこかしらから入ってくるんですよね。
とまぁ、そういう事情もあり、生ごみに関しては特に徹底してました。三角コーナーに生ごみを入れておくなんて呼び込みしているようなものは使わずに、生ごみは毎回小さいビニール袋に入れて口を縛る。調理して汚れたら拭く。洗い物は翌日に持ち越さない。
それでも入ってはくるものの、自分のできる限りのことをしてました。そうすると小蝿も湧きません。
しかしながら、私の母は全然アップデートをしない人ですので、大きいゴミ箱に40リットルのゴミ袋を被せて、そこに平気で生ごみを捨てるんです。生野菜の破片ならまだしも魚の残り、調理済みで数日かかっても食べきれなかった料理などです。もう6月中旬から秋の気温が下がるまでかなりの小蝿が発生。生ごみを捨てる可燃ごみも週に2回の回収なので、回収したその日や翌日まではなんとか匂いはなかったり少ないものの、回収日前日はもう酷い匂いの時もありました。小蝿はずっといますし。ゴミ箱を開ける前に毎度息を大きく吸って止めないと地獄でした。
それが嫌だったので、私は去年母に言いました。私が行っていた、ビニール袋のコストはかかるが、こまめに口を縛って捨てる方が小蝿も出ずに匂いも気にならないと。すると母は言いました。
「私はもう何十年もこれでやってるの!!口出さないでもらえる?!」
衛生的、かつ生活空間に悪臭を出さない方法を提案したのですが「昔からやっている」と言う謎のプライドを持ち出されました。母からしたら気に食わなかったのでしょう。主婦を45年やってる母が、たった10年弱一人暮らしをした女に家事に文句をつけられたと言う認識なのです。
あぁ、そう言うものなのか。と私は思いました。
小蝿を捕まえる薬というか、入れ物を買うと600円くらいするんです。小さいビニール袋は100枚入りで100円で売っているんです。100枚なら100日。三ヶ月強。つまり、600円相当払って捕まるかどうかわからない小蝿取りを買うよりも、そもそも小蝿が発生しないように100円出すのとでは、私は100円出す方が良いと思ったんです。
しかし、伝わりませんでした。
ですが、私の当番分の食事準備時のごみだけでも小分けにすればまだマシなのでは?とやり続けていたら、匂いもせず小蝿も発生しないと実感したのでしょうね。今年は母も同じように小さい袋に生ごみを入れるようになりました。そのため、今年はすごく快適です。
今は台所周りや料理に関する事でしたので、結局は被害が少ない私のやり方にたまたま流れてラッキーと言うだけの話。さてさて、私は子供がまだいませんが、よそのご家庭ではお子さんがいらっしゃいます。
どうやら、育てる時点で折り合いがうまくいかないみたいなんですね。母から聞いた話ですが、皆さんそこまで深い話はあまりされません。ので、自分の過去の体験や、考えを基になぜ出ていく人が多いのかを考えました。
他の短編でも少し書きましたが、人って、自分に都合のいい事を言ってきたり、自分がしてきたことが正しいって思う部分がどこかはあるんです。
私が母に対して良く思ってないことはたくさんあります。母は母で大変だったのでしょうけど、私は母にされて嫌な事がたくさんありました。信じられないことも言われました。今は体調がイマイチ治りきっていませんので社会人としては胸を張れるものではありませんが、一応10年以上一人暮らしをしていて社会に出て、会社で責任者をした経験がある。それは親としては子育ての成功例なんです。
私ですら成功例に入るわけです。では、義務教育をちゃんと受けて、労働をして、税金を納めていれば基本は子育て成功してるんです。で、子供が結婚して孫を産んだらそりゃもう万々歳なわけです。離婚しようがシングルマザーだろうが、労働+納税+出産はもう大大大成功なんです。
そう、【自分の子育ては正しかった。成功だったんだ】
そう思うんです。
じゃぁ、孫も同じように育てたら良いじゃないか。
とでも思っているのでは?と考えたのです。でも今は私たち親世代が生きてきた学校生活・学校と言う社会とはまた違うと聞きます。それを、もっと古いおばあちゃん世代の教えでは今の考えと正反対のこともあるでしょう。
そもそも、【私たち親世代が、嫌だと思ってた事なんて山ほどあるんです】。
社会人になって初めて親が言っていた事がわかる時ありますよね。私も母をあーだこーだ言ってますが、一人暮らしをして大変だって最初は感じました。だからこそ、自分で努力をした事はいくつもあります。
私は出産していませんが、出産した方は『自分の親はこれほどまでに大変な思いをして産んでくれたんだ』って思う方が沢山だと思います。感謝もしていると思います。
しかし、感謝はありますが『それでも、違うな』って感じる事が過去にいくつもあると思います。『こう言われて育ってきたけどやっぱり違うな』『それ信じてたけど、親の思い込みだったんだろうな』とか、自分の親に疑問を持ち、客観視できるようになってくるんです。
そうすると、その自分が疑問を持った親の価値観を子供に教えたくはないですよね?例えそれが本当にちょっとの事だとしても。本当に、人からしたら呆れるほど些細な事だとしても。その親の教えの価値観で自分が悩んだ経験がある方なら尚更じゃないでしょうか?
だから、実家から離れて、自分の家庭を作りたいのではないでしょうか。
一度家を出れば、自分の城を持てば、自分が主になれば、旧城に戻ると女の主人が二人になるわけです。
大大大成功を成し遂げた旧城の主の母と、自分の城で新しい規則と価値観で生きてきた自分。それは対立してもしなくても、どちらになってもおかしくないのです。
中には大家族でうまくやっているご家族もいます。ですが、色々考えてもそこまで疑問が生まれず、やっぱり実家って良いなと思った方です。
これは、自分の実家をよく思った方が良いだとか、よく思わなかったらダメだとか、その逆がダメだと言っているのではありません。受けてきた教育から、自立した時に考えて出した気持ちや答えが、貴方の作りたい家庭や幸せなのです。
なので親を否定している訳でもありません。生まれてからずっと身の回りをしてくれていたのですから感謝はあります。しかし、それと自分の子供を育てる時は違うのです。
ただただ合わないんです。
自分の母親とだって合わない事があるんです。夫の母なんて赤の他人ですから合わなくても何も不思議ではありません。
だから、家に女は一人でいいんです。そう、嫁に来た、たった一人の女だけです。




