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魔王の娘は勇者になりたい。  作者: 井守まひろ
【完結編】黎明/月に吠える
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ヘヴンズバグ⑤

 何故、こうなってしまったのだろうか?


 ある時から人々は争いを始め、均衡が少しずつ崩れて行くのが分かった。


 始まりは、ルシファーの孫が罪を犯し、アイテールと戦争を始めた事だった。


 私はこの裏にいる者の存在に気付いていたが、当時は人族と魔族の事情には干渉しないと決めていたが為に、あの者を無視してしまったのだ。


 私はその事を、今でも後悔している。


 更には、人族の文明が発展して行くのと同時に、少しずつ自然が壊されていった。


 多少は致し方ないと黙認していたが、守護者である竜達までもが淘汰され始めた時点で、私は遂に我慢の限界を迎えた。


 しかし、私よりも先に行動を起こした者が居た。


 当時メトゥス大迷宮を守護していた地竜クラガリが、迷宮の魔物達を使って人々を襲ったのである。


 そのやり方は間違っている。


 私はクラガリを止めたが、彼は聞き入れてはくれなかった。

 そんな時、とある一体の魔物がクラガリの前に立ちはだかった。


 それが、私の友であるアビスだ。


 既にアラクネへと進化を果たしていたアビスは、死闘の末にクラガリを倒し、自らがメトゥス大迷宮を守護する深淵の守護者となったのである。


 私は、彼女の選択を尊重したい。


 各地の竜たちはアビスのことを責めたが、仕方の無い事だったのだ。


 それから私は、人々への戒めとして大規模な蝗害を起こした。

 大飢饉に苦しんだ者達は必死に懇願し、もう二度とこのような事は起こさないと私に違った。


 私は翌年の豊作を約束して、事態を終息させたのである。


 それから数百年が経った頃、月光竜ルーナの死を皮切りに、信仰を失った竜種は徐々にその数を減らしていった。


 最後に生き残ったのは、ウィリディスの民から信仰を得ていた樹竜ナーガと、勇者の剣として人々から信仰される光竜ルミナである。


 これからは、私がもっと頑張らなければ……この世を去って行った竜達の分まで、私はこの星の自然を守り続けるのだ。

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