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魔王の娘は勇者になりたい。  作者: 井守まひろ
【完結編】黎明/月に吠える
179/220

127.創星神メフィスト

「ベリィ!」


 アタシがそう叫んだ時には、既にベリィとシャロの姿が消えていた。

 どうやら、リタさんも二人を追いかけて行ったようだ。


「チッ、魔法が不安定ですね。飛ばせたのはあの3人のみですか」


 メフィストは不機嫌そうに吐き捨てた後、睨むような目付きでアタシを見た。


「あわよくば最後まで力を頂こうかと思っていましたが、目障りなので死んでください」


 アタシと同じようで、全く違う魔力が膨張していくのが分かる。

 奴が放つ黒い創星魔法は、アタシの魔法よりも強力だ。

 威力を弱める程度の事しか出来ないけれど、みんなが少しでも戦い易いようにサポートしなきゃ……


「オーダー、カラドボルグ」


 メフィストの詠唱と同時に雷が走ったのち、奴の手に大きな剣が現れた。

 その外見は、ベリィの覇黒剣ロードカリバーによく似ている。


「過去にロードカリバーを複製したものです。当時は記憶の祭壇が持つような高い技術は無かったので、聖剣ほどの力はありませんが……無いよりはマシでしょう」


 その剣を天に掲げ、メフィストは呟くように詠唱する。


「オーダー、グリモワール」


 直後、カラドボルグの剣身から黒い光が空に放たれたかと思えば、それが炎を纏った隕石のようになって大地に降り注ぐ。

 よく見ると、それは隕石などではなく、黒い悪魔のような姿をした生物であった。


「ダンスヘイロー!」

「剛翼円舞!」


 しかし、それらは殆どがエドガーさんとディアス皇子よって倒され、残った悪魔もユニコーンナイツによって殲滅された。

 二人とも、凄い力だ……!


「サーナ様、上を!」


 唐突にディアス皇子から名を呼ばれ、急いで頭上に目を移す。

 そこには、既に目の前までカラドボルグの剣身が迫って来ていた。

 今の悪魔達は、みんなの気を逸らす為のものだったんだ……!


「ちょっ……!」


 その刃が触れるか触れないかと言ったところで、アタシは誰かに思いっきり押し倒された。


「痛っ……!」


 その誰かは、アタシが倒せる寸前に後頭部を手で支えてくれたらしく、幸い頭を打たずに済んだ。

 目を開けると、眼前にはグレイの姿がある。


「ご無事ですか、サーナ様!」


 全く気付かなかった……認識阻害魔法か。

 見ると、彼は脚を怪我している。

 今の攻撃から、アタシを庇って負傷したのだろう。


「大丈夫、それよりグレイの脚が……!」


「俺は大丈夫です。サーナ様は、奴の魔法を防ぐことに集中してください。その間、俺達が必ずお守りします」


そう言ったグレイは、ウールさんの手を借りて立ち上がる。

 ベリィが居ない今、アタシが少しでもみんなの負担を減らすんだ。

 新秩序による相殺は、味方の魔法まで掻き消してしまう恐れがある。

 そうならない様に、上手く調整しないと……!


「飛翔一閃!」


 ディアス皇子の攻撃が、メフィストへと向かって行く。

 メフィストはカラドボルグを構え、剣身に黒い魔力を纏わせた。


「アビシアス」


 ベリィと同じ魔法だ……!

 確かにロードカリバーの複製という事は、アタシのホロクロウズと同じ様に原型となった聖剣の魔法が使えてもおかしくは無い。

 それに、奴もアタシと同じ創星の魔力を持っているから、資格者では無くても聖剣魔法を使う事が出来る。


 衝突した二人の魔法は、僅かにメフィストの方が優勢だったらしく、ディアス皇子は地面まで振り落とされてしまう。


「模造品とは言え、やはりロードカリバーか。一筋縄では行かないようだな」


「兄貴、大丈夫か?」


「ああ、やはりワタシ一人では威力が劣る。ユーリ……エドガー、同時に攻撃するぞ」


「もう、ユーリでいい! 行くぞ兄貴!」


 なんか、なんか……

 なんか兄弟って感じで凄く良い!


 じゃなくて、アタシも集中しなきゃ。

 ベリィ達を待つだけでは駄目だ。

 アタシ達で、目の前の敵を倒してやる。

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