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魔王の娘は勇者になりたい。  作者: 井守まひろ
四霊/百花繚乱花嵐 編
147/220

幕間 ボフリ

 オレは本来、生まれちゃいけない存在だったんだ。


 ある日、魔族の女が人族の男に乱暴されて、不幸にも子を孕んでしまった。


 女は生まれた子を殺そうとしたが、可哀想に思って森の中に捨てたらしい。


 そこで偶然にも人族に拾われ、それからその子供は孤児院で育てられた。


 子供の名はボフリ、オレだ。


 孤児院の人達は優しかった。


 魔族と人族のハーフであるオレを、一切差別する事なく普通に接してくれたんだ。


 だが、それを外の世界は許さなかった。


 魔族の血が混じっているオレの存在を知った悪い大人達は、孤児院に火を放った。


 みんな死んだ。


 オレ以外、全員。


 だからオレは、孤児院に火を放った大人達を殺した。


 オレの居場所を奪ったクズ共だ。

 連中は死んで当然の事をした。


 それなのに、町の大人達はオレのことを人殺しだと咎めた。

 だから、そいつらも全員殺した。


 魔族の血が入っているオレは、この頃から既に魔法が使えたんだ。


 大人は一通り殺したが、子供達だけは殺さなかった。


 可哀想だと思ったから。

 コイツらは大人に従っただけだ。


 だから、悪くない。


 オレは金目のものを奪い、町の外に出た。

 それからは、ずっと盗賊として生きてきたんだ。


 オレは強かったから、気付けばオレについてくる連中も現れた。

 一人じゃ退屈だったから、丁度良かったんだ。


 連中はオレを慕ってくれていた。

 別に思い入れなんてものは殆ど無いが、人族っていうのは脆い。

 オレ以外、直ぐに死んでしまった。


 ある時、アンセル村に所有者のいない神器があるという噂を聞き、その仲間達と村を襲った。


 神器はあった。


 四霊聖剣の風を司る、疾双剣ヒスイだ。


 それなのに、運が悪かったな。


 一人のガキが聖剣を持ち出して、隠し持っていたんだ。

 アンセル村には、二人の子供がいた。


 男と女、二人は兄妹のようで、兄は一所懸命に妹を庇っていたな。

 そうして、あろうことか妹が聖剣を手にした時、僅かだが光を放ったんだ。


 この娘は、ヒスイの資格者だった。


 だから奪うのはやめたんだ。


 村の大人達を全員殺してしまった上に、大切な物まで奪ってしまったら、可哀想だと思ったから。


 だが、その兄妹は今……


 再びオレの前に現れた。


 相手はもうガキじゃない。

 ガキじゃないなら、殺しても構わないよな。


 オレの蒼炎で、骨まで焼き尽くしてやる。

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