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女神の夢(第九夜)
今更悔やんでも悔やみきれない。
もうじきアタシは殺されるのだ。
深い深い暗闇の中、そのずっと底のほうまでゆっくりと落ちていく夢を見ている。
アタシに助けを求める資格なんてものは無いし、きっとベリィはアタシの居場所すら分からない。
仕方ないよね、全部アタシが招いてしまった結果なのだから。
ふと、視界の中心で何かが光ったような気がした。
とても遠くにあるようだけれど、アタシは思わずそれに手を伸ばす。
すると何かが手に触れて、指先をそっと撫でられたような感触がした。
今度は見間違いではない。
視界の中心で、確かに小さな光が暗闇を照らしている。
その光はまるで、真夜中の暗い水底に差す月明かりのようだった。
「ベリィ……」
夢の中で、そう小さく呟いたアタシのことを、微かな光はただ静かに照らしている。
もし、この声がベリィに届くなら。
もしベリィに、何か一言でも伝えられたら……
せめてアタシは、ベリィに……!
「助けて……」
これまでの全部を、ちゃんと謝らなきゃ。