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魔王の娘は勇者になりたい。  作者: 井守まひろ
四霊/百花繚乱花嵐 編
137/220

女神の夢(第八夜)

 ある日、ベリィが生きているという知らせを受けた。


 アタシはブライトに


「ベリィもこちらの仲間にしたいんだ」


 と提案すると、彼女は少し迷った後に了承してくれた。


 ベリィが無事だったのは何よりも嬉しかったけれど、一つだけ気掛かりな事があった。


 あの子は、人族と一緒に居たのだ。


 きっと騙されているに違いない。

 そう思って、アタシはベリィを説得する為に彼女と会う機会を窺った。


 そうして、ベリィがアルブ王国へと戻ってきた日、アタシは彼女と再会した。


 嬉しかったけれど、一緒にいた2人の人族のことは警戒していたから、あまり喜んでもいられない。

 直ぐにベリィを説得して人族から引き剥がそうとしたけれど、ベリィはアタシのことを拒んだ。


 許せなかった。

 ベリィは完全におかしくなっちゃったんだ。


 もう友達なんかじゃない。

 そう思って、ベリィとは縁を切った。


 一番嫌いなのは、ベリィを誑かしたシャーロット・ヒルという人族。

 奴が悪いんだ……ベリィがおかしくなっちゃったのは、全部奴のせいなんだ。


 何にせよ、もうベリィと仲直りすることは無い。


 アタシにはブライトが居てくれるだけでいいんだ……。

 ブライトはアタシのことを何かに利用したいのかも知れないけれど、アタシは彼女の為なら何だってする。


 だって、ブライトは凄く優しい人だから。


 それなのに、ブライトとリタ・シープハードの関係を見ていると、どうしようもなく胸が苦しくなって、あの二人には友達で居て欲しいと願うようになってしまって……それと同時に、アタシもベリィのことばかりを考えるようになった。

 そうして、ブライトが暴走して行くのも分かった。


 シャーロットから、ベリィが勇者になりたいと言っていたことを聞いた。

 あの子が小さい頃の夢を諦めてなかった事に、アタシは心のどこかで喜んでいたのだと思う。


 ブライトが再びシリウスを襲撃した日、アタシもまたベリィやシャーロットと再会した。


 この時、アタシはシャーロットの言葉に腹を立てながらも、どこか彼女のことが羨ましかったのだと思う。

 敵であるアタシとも対等に接してくれて、勝てないと分かっていながらも決して諦めない。

 きっとベリィは、シャーロットのこういう所に惹かれたんだと、(ようや)くアタシは理解出来た。


 シャーロットとシルビアが街の方へと走り出した時、アタシはもう何に対して怒っているのか分からなくてなってしまった。


 本当は分かっていたんだ。

 間違っているのはアタシなんだと……一時の感情でベリィやシャーロット達に酷い事を言った挙句、それで絶交だなんて……アタシは最低だ。


 だから、きっとバチが当たったんだ。

 ごめんなさい、ベリィ。

 ごめんなさい、シャーロット。

 ごめんなさい、みんな……。


 アタシには、もう謝ることしか出来ないよ。

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