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魔王の娘は勇者になりたい。  作者: 井守まひろ
四霊/百花繚乱花嵐 編
125/220

女神の夢(第五夜)

 こんな夢を見た。


 何でもゲオルグの行いがアイテール帝国の怒りを買ったとかで、それは戦争にまで発展してしまった。


 虚空剣ヴァニタスは帝国により封印されたが、それでもアイテールの武力は凄まじかった。


 ゲオルグは民に被害を出させまいと、たった一人で帝国軍と戦ったのである。


 戦いは三日間も続いた。


 ボロボロになったゲオルグは、もう二度と帝国や他の国に手を出さないと約束し、魔族はアルブ王国の外には出ないという条件で戦争を鎮静化させたのであった。


 しかしながらそれ以降も帝国との関係は険悪なものとなり、実質冷戦状態が続く事となる。


 父フェレストの死後、ゲオルグは魔族の女性と結ばれて子供が出来た。

 その子供にも自身と同じようなツノが生えていたが、それでも二人は大切にその子を育て、次世代の魔王となる為に沢山の事を教えた。


 子供もすっかり成長したことで、ゲオルグが王位を継承しようと考えていた頃、叔父であるヘロディスが何者かの手によって暗殺された。


 彼の遺体の側には、彼自身が大切にしていた始まりの聖剣が無く、代わりに光り輝く盾が置かれている。


 ゲオルグがそれを手にした時、なぜかこの盾をあの時自分が傷付けてしまった花の聖剣使いに渡さなければならないと思ったのだ。


 そうして彼は自身の身を隠し、あの名もなき村へと向かった。

 村は当時よりも発展しており、カンパニュラという名がついていた。


 そうして花の聖剣使いを探し始めたは良いものの、よく考えてみれば人族の寿命は短い。

 もう昔の事だから、既に亡くなっているだろう。

 そう考えて諦めかけた時、花の聖剣使いによく似た一人の青年を見つけた。


 咄嗟に声を掛けたところ、青年はゲオルグの持つ盾に強く興味を持ち始める。

 青年の話によれば、自身の曽祖母が花の聖剣使いだったらしい。


 この青年は、花の聖剣使いのひ孫だったのである。


 ゲオルグは詳しい事情も話さず、その青年に盾を預けた。

 青年は戸惑ったものの、ただ一言「必ず大切にします」とだけ言った。


 何故ゲオルグは自身がこのような事をしたのか、後になって考えても分からなかった。

 それはまるで何かに導かれるかのように、自然とそうしてしまったのである。


 それから暫くして、ゲオルグは自身の息子に王位を継承した。

 この頃から、アルブ王国を統べる魔族の王は、畏怖の象徴としての意を込めて“魔王”と呼ばれるようになる。

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