日、翳る
刺された……?
お腹が熱い……同じところに、何回も何回も激痛が走る……
涙で目の前がよく見えない……
メフィルは、アタシのことを何度も刺しているんだ……
きっとそうだ。
「ぐはっ……」
お腹からも口からも、どんどん血が溢れてくる。
意識が……もう……
ああ、ベリィちゃんごめんね。
アタシがもう少し上手く戦えていたら、こんな事にはならなかったのに。
アタシ、本当に駄目だね。
小さい頃に、おばあちゃんから言われたんだ。
シャロは強いから、沢山の人を助けてあげてって。
でも、アタシはそんなに強くないんだよ。
みんなのように魔法も使えないし、アイネクレストがいないと戦えない。
アタシが死んだら、ベリィちゃんどうなっちゃうのかな……
大丈夫だよね、きっと……サーナちゃんもいるし……
シルビアちゃんも、ルカくんも、セシル様も、エドガーさんもウールさんも、みんな……みんないるから……
でも、何でだろう。
アタシ、ベリィちゃんが心配で仕方ないや。
死にたくない、死ねない、こんなところで絶対に……!
「覚えて……ろ……メフィル……」
上手く声が出せない。
でも出さなきゃ……せめて少しでも足掻いてやる……!
「お前は、絶対に……逃がさない……! 逃げられない……アタシが……必ず……ぜったい、みつけだす……! おぼえてろぉ、メフィル・ロロ!」
一瞬、薄れゆく意識の中で、メフィルの表情が酷く怯えたように見えた。
アタシ達は負けてない。
どこにも逃すもんか……許すもんか……!
いつか必ず、お前を倒す。