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魔王の娘は勇者になりたい。  作者: 井守まひろ
陽光/月と太陽 編
12/220

幕間 野盗

 ベリィちゃんと逸れちゃった。


 たぶん凄い勢いでどこかに行っちゃったけど、大丈夫かな?


「シャロ、たぶん茂みの向こうが急斜面になってる。ベリィはそっから落ちたんだ」

「そんな……怪我とか大丈夫かな? あっ、ツノ折れないかな!?」


「ベリィなら大丈夫っしょ。それより、今は奴らを何とかしないと」


 依然として、敵はなかなか姿を見せてくれない。


 ベリィちゃんは相手が影魔法使いだと言っていたけれど、アタシは影魔法が何なのか全然分からない!


 気配には気を付けて……って、何の気配?

 影の気配ってことかな?


「シャロ、後ろ!」


 シルビアちゃんの声で、アタシは咄嗟に背後からの攻撃をアイネクレストで防いだ。


 速い……けれど、その姿ははっきりと確認できた。


 攻撃してきたのは、ただの影。


 これなら、アイネクレストの光で何とかなるかもしれない。


「くっそ、本体はどこにいやがる!?」


 次々と襲ってくる鬱陶しい影に、シルビアちゃんも苛立っている。


「お願い、アイネクレスト!」


 アイネクレストは私の声に応えてくれたのか、私達の周囲に目映い光を放った。


 すると、瞬く間に影は消え去り、野盗らしき男の人の「なにっ!?」という驚いたような声が聞こえた。


 やっぱり、影は光で打ち消せるんだ。


「すごっ……シャロの盾めっちゃ強いじゃん。影魔法を打ち消せるなんて!」


「えっへへ、これでもう影魔法は効かないよ!」


 結局、影魔法ってどんな魔法なんだろう?

 分からないけれど、何とかなった。


「クソッ、思った以上にやるじゃねえか。オイ、この女どもはお前らに任せた。オレはあの落ちてったガキを追うぜ。高く売れそうなモン持ってたからなぁ」


 声だけの男がそう言うと、茂みから数人の男達が現れた。


「ったく、人使いの荒いカシラだな。おい女ども、大人しく身に付けてるもん全部置いてけ」

「よく見たらイイ女じゃねえか! あっちも売れるんじゃね?」


 嫌いだな、こういう人達。

 ベリィちゃんも心配だけど、先ずはこっちを何とかしないと。


「この下衆共が。てかアンタが持ってるその剣って……まさか!」


 野盗の一人が持っている剣を見たシルビアは、唐突に目の色を変えた。


「ああ、この剣はさっき拾ったんだよ。立派だから高く売れると思ってな」


 男はそう言って背負っていた剣を手に取り、アタシ達に見せびらかす。


「あの剣がどうかしたの?」


「あれ、団長の聖剣だわ。あの人たぶんどっかで落として、それ拾われちゃったんだ……」


 ……聖剣を落とすってどういうこと?


 きっと団長さんにとっても大切な物のはずなのに、どうして落としちゃったんだろう。


「団長、よく酔っ払って聖剣無くすんだよ。しばらく姿を見ないと思ったら、どっかで酔い潰れてたんだろうな」


 自警団の団長さん、色んな意味で凄い人みたいだ。


「と、とりあえずあの聖剣も取り戻さなきゃだし、早く倒しちゃおう!」

「そうだね。あーしらの力、見せてやろう」


 アタシ達は武器を構え、迫り来る野盗達を迎え撃った。

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