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ルーンの古式魔術で異世界生活  作者: 東雲 陣
1/1

よくあること

どこにでもいる少年、南雲奏多が異世界へ

「昨日21時までに警察・消防が確認が取れているだけでも近年確認されている失踪現象の被害者の数は92名

そのいずれも、監視カメラや知人の目の前、携帯のGPSで失踪現象に合う直前まで現場でその姿が確認できましたが、やはりたった一瞬でその姿が消えてしまいました。これで確認しているだけでも2500名を超えています。」


 朝からニュースでは、もはや()()()()()()になってしまった

失踪現象についてニュースキャスターが変わらぬ熱量で原稿を読む


 俺の名前は、南雲奏多 17歳毎日重い足取りで行きたくもない学校に毎日通い続ける

どこにでもいる猛者である。


 もう飽き飽きしたニュースを眺めてふと

「俺もいっそ」と自分以外誰もいない部屋でつぶやきその言葉に気持ちがさらに冷え込み

恥ずかしさで、熱くなりそして、頭のてっぺんが重くなったかのようにうつむく


 真面目に、普通に、周りと同じようにそう生きようと

今日も、ちゃんと生きていこうと自分でいつからか決めた使命感でうつむき重くなった視線を持ち上げる

「よし、今日も死ぬ気で頑張ります!」

自分しかいない部屋で、今度は意図的に宣言する。

少し、恥ずかしさは残るが宣言に後悔はない。


 朝食に、味のしないなんとなく健康そうだからと選んだ

グラノーラを牛乳と一緒にかきこむ

別に急ぐつもりも理由もないが、この一人の部屋にいたらきっと今日は学校にいけない。


 制服の上から、お気に入りではないパーカーをきて無駄に重いリュックを背負って

いつもより、短く感じる玄関までの道を重い足取りで進み

少し汚れたスニーカーで自転車にまたがる。


 「なんか気持ちの風ー」

5月の朝当たり前に冷たい風だがどこか自分を外の世界に誘おうとするそんな

おせっかいで、生ぬるい風7時20分


 今日はなんだか、運がいいそう思ってしまうような道のり

信号には引っかからないし自分以外の通行人も車もなぜかいつもより少ない

それよりも、やけに自転車が早い気がして不気味なくらい自分もなんだか高揚して

少し急ぐような、少しせかされるように

自分の足が、自分のものではないようにペダルを蹴りこむ


 そうして、いつもの通学路にある不気味な薄暗い小さな国道バイパス下の交差点のところまで行くとそこで

ようやく、信号につかまった。

「はぁー今日はなんとなく絶好ちょーて気がしとったけどあげて落としてくるのな神様って」

自転車を止め何の気なくスマホをみて時間を確認すると7時22分 

「えぇっそんなわけないやろまさかこわれたんか?」

家から、ここまで少なくとも15分はかかるそれがたった2分

いくらラッキーでもこのタイムは異常だ

 

 だが、スマホは時刻以外は正常で

「壊れてるなんて心外だって言いたそうな動作やな」

そうつぶやき、ふと前をみると信号が青でその信号がもう点滅していた

「やばっぼーとしすぎやろ」

自転車のペダルの片方に足をかけもう片方を軽く浮かせ漕ぎ出そうとすると

くらっと急に重心が傾きもう一度両足を地面に着ける

よろけて、一瞬うつむき顔を上げると


 いつもの、変わらない不気味な通学路のはずだ

「あれ?」

いつもの変わらない薄暗い国道バイパス下のはずだ

だが、五月の朝だというのに国道で陰になっているその先が全く見えない

いつもは、薄暗い程度のその道の先は何も見えない暗闇だ

 

 青信号の点滅は、急かすように、俺を招くようにいつまでもその点滅は止まない

体感にしておよそ1分俺はそこに立ち尽くし考えてた。

周りには、もう誰もいない。

自転車から降りてハンドルを空中に置くように離した


 俺は、南雲奏多は進んではいけないと心が静止してきたがなにか

このつまらない、周りに合わせるだけの毎日が

少しうつむきがちな毎日が変わってくれる気がして。


 俺は、自分の知らぬ自分に空気を切り裂くような一風に吹かれて

その一歩を踏み出して真面目に、普通に、周りと同じようにそう生きる道から一歩踏み外した。

そこからに記憶は少しあいまいで、暗くそして少しだけ長い道をひたすら歩き歩いて


 その一歩一歩がとても重くてなんだかつらくて

疲れて、倒れるように眠ってしまった。


 気が付くと、薄霧の浮く感じたこともない空気が渦巻く

少し殺気立ったそんな、非日常的な深い緑の森の中だった。

そこで、死体のように転がる男

この男こそ、この世界を変えるかもしれない80051人目の異世界転生者である

「なんやここ」


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