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1 世界は美しい。
あなたのいない日は、わたしはどこにいるんだろう?
世界は美しい。
詩集 ひまわりの花。
笹枝みずあめは読んでいた小さな詩集の本をそっと閉じて、自分の胸に押し当てる。
詩集の題名はひまわりの花。
その作者の名前は浮雲ひまわりと書いてあった。
そのひまわりは今、みずあめの目の前で図書室の机に顔を押し当てるようにして気持ちよさそうに眠っている。(本当に子供みたいな寝顔だった)
みずあめは心を落ち着かせるために、一度窓の外の景色を見た。そのには赤色がある。時刻は夕方。世界は夕焼けの色に染まっている。みずあめはもう一度詩集の続きを読み始める。時間は、あっという間に溶けるように、本当に瞬く間に消えていく。
「おはよう。みずあめ」
そんな寝起きで椅子の上で背伸びをしているひまわりの声を聞いて、ようやくみずあめの心は自分の体の中に戻ってくることができた。