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社会人に恋愛は難しい  作者: 窓際社員
2/2

マッチングアプリは難しい②

 マッチングアプリを初めて数ヶ月後


 俺は一人の女の子(名前はえみり、24歳)とやり取りをし、ご飯行きませんかと誘いをかけたら何とOKとのこと。

 今日はデート日だ。髪をセットし、服もお気に入りのジャケットを来て、いざレッツゴー!

 緊張して手汗がやばいことになっているが、まあすぐに収まるだろう。きっと。



 待ち合わせ場所のカフェの前で待っていると、えみりからメッセージが来た。

『近くに着きました! 紺色のジャケットの方ですか?』

 え! いるの! マジ?

『そうです!』

 震える手でメッセージを返すと、アプリの写真通りの女の子が手を振ってこちらにやって来た。

 長い黒髪を腰まで伸ばした、パッチリとした目が印象的な美人だ。ふう、緊張が止まらないべ。

「は、初めまして!」

「初めまして! ごめんなさい。少し遅れてしまって」

「全然全然! 集合13時だし、間に合ってますよ! むしろ僕の方が早く来ちゃって」

「そうですか? それなら良かったです」

 えみりはそう言って、俺の隣に侍り言った。

「それじゃ、中に行きますか」


 その後はカフェの中で、お互いの職業や趣味の話を繰り広げた。

 彼女の名前は田代えみり。23歳で事務職をしているという。趣味は温泉巡り。肌に気を使っているためと言うが、女の子では比較的珍しい趣味なのかも知れない。


「宮田さんって、今まで何人とお会いしたんですか?」

 0回と言ったら怪しまれるだろうか。うーん、3回くらいにしておこう。

「3回くらいかな」

「そうなんですね! 私も同じくらいです! 会った人はどんな感じでしたか?」

「えーっと」

 どうしようか。適当にカナのことでも言っておくか。

「一人は保育士の人だったな〜。全く出会いがないって言ってたよ」

「そうだったんですね! 男性の保育士ってあまり聞かないですもんね」

「みたいだね〜。えみりさんは出会いないの?」

 俺の質問に、えみりはフフフと笑いながら答えた。


「私も職場が女性ばかりで、全くないんですよー」

 なら俺と付き合ってください! 幸せにしますから!

「そっかー。俺も男ばっかで出会いないんだよね」

「職場の出会いってありきたりに見えて、意外と難しいですよねー。はあー、私にもイケメンの彼氏が現れないかな〜」

 おいおい。こいつ素直すぎないか? それってつまり、俺に興味がないって言ってるんだよな?

 流石にやばいと思ったのか、えみりはわざとらしく咳き込んだ。

「って友達が言ってたんですよね! 確かに顔も大事だけど、1番は中身ですよね!」

「だ、だよね!」

 おいおい! それは流石に無理あるだろー!  確かに俺だって可愛い子がいいけどさ、そんな口には出さんぞ?

 その後は何となく気まずい雰囲気になってしまい、お互い無言のまま5分ほどが過ぎた。


「……そろそろ。帰りましょうか」

 沈黙に耐えられなくなったのか、えみりは苦笑いをしながら俺に語りかけた。

「そ、そうですね」

 俺も立ち上がり、二人で会計までゆっくりと歩いた。

「お会計、二人合わせて2500円です。お会計、別々になされますか?」

 高いなー! カフェってこんなしたっけ? 普段行かないから分からなかった。

「一緒で大丈夫です」

 俺はスマートに言って、財布から2500円を出しレジ前に置いた。

 それを見たえみりが、自分の財布から千円を取り出して俺に渡す。

「流石に全額払って貰う訳には行かないですよ! これ、貰ってください」

「え、でも……」

「私奢られるの苦手なんです」

「そ、そう」

 無理矢理押し通すのも悪いと思い、俺はその千円を財布の中にしまった。

 レジの店員も気まずそうにこちらを見ながら、レシートを俺に手渡した。


 えみりと別れてから、今日のお礼くらいはと思ってとりあえずお礼メッセージだけはマッチングアプリで送っておいた。


「今日はありがとうございました!」

 返事は返っては来なかった。まあ、あの様子じゃそうなるよな。

 マッチングアプリは難しい。

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