第一話・(7)グリセス
私達が、エレベーターに向かい走り出すと雪夏が私達を引き止めた。
「待って!屋上って鍵が開いてるのかな?」
「ごめん。その可能性忘れてた。」
私が返すと瑠璃は辺りを見渡し、警備員さんに聞いてきてくれた。
「カードキー式に成ってるから行くなら一緒に来てくれるって言ってるよ!」
「ありがとう!」
雪夏さんは、警備員さんの所に行くと私達も駆け寄った。
綺麗に横並びに整列すると頭を下げた。
「私達は、ブレイブアンヘルと申します。この度はありがとうございます。よろしくお願いいたします!」
雪夏が言うと、私達は声を合わせて「よろしくお願いいたします!」と返した。
「念の為マネージャーさん、呼んでもらえるかな?」
警備員さんに言われて、雪夏はマネージャーの進藤麻衣さんに電話して来てもらった。
麻衣さんは、話しても信じてくれないけど、警備員さんに話してくれて一緒に向かった。
屋上は、灰色の分厚いドアに成ってて、横にはカードキーをかざす所がある。
警備員がカードキーをかざすとドアが開いた。
空は、青空に成っている。蒸し暑い夏の日差し。
皆で屋上に出て辺りを見渡すと、中央に真っ白いドラゴンが目を閉じうつ伏せで横たわってる。
ドラゴンの翼はまるで鳥みたいな羽に成ってて真っ白くて美しい。
「怪我は、してないね。良かった。」
私は、安心するとドラゴンの頭を撫でた。
「大丈夫なの?」
早苗は心配してくれてる。
「大丈夫。多分光属性のドラゴンだと思う。見た事は無いドラゴンだけど。」
「寝てるの?」
「気絶に近いんだと思う。黒い光が降り注いだから、どこからか、闇魔法の攻撃を受けたんだと思う。」
私達が見てるとドラゴンは、ゆっくり目を覚ました。
「痛って〜!!何だよ、ゼウスの野郎!人間なんか・・・。」
ドラゴンは、私達を見ると目を丸くして驚いている。
「ゼウス?って、天使に司令を出してる一番えらい神様だよね」
私がそう聞くと、急いで立ち上がると、羽を大きく広げて私達を睨みつけた。
「わ、技、ってこの身体何が出来んだよ!分からねぇ!」
「ゼウス様に言われて人間界に来たんだよね」
「違う・・。なんで詳しいんだよ!!」
「直属の神様がクロノス様だから違うって言ったの?」
『ホーリーライトニング!!』
ドラゴン、いや十中八九主人公のグリセスだと思うけど、今のグリセスに天使の技や光属性魔法は使えない。
だって・・・。
「元、悪魔だもんね。まだ、天使の技も光属性魔法も使えないよ。」
「なら、俺は何ができんだよ!!」
「悪魔の時に使ってた魔法は、使えるよ!全部。」
「・・・。いいや・・・。お前何だよ。詳しすぎんだろ・・。お前も天使か?」
「人間だよ!」
「絶対に天使だ!!騙されねぇぞ!!」