第一章・異変の予兆
2030年8月3日
「そうかぁ。この扉を通るには悪魔の力も必要なんだぁ」
「美優また、課金すんの?MCでその事言うよ!」
車の走行音と暖かい日差しが差し込む。
私達の乗るハイエースは、ジャパンアイドルフェスティバルに出演する為お台場に向かっている。
話しかけてきたのは、隣に座るリーダーの安城雪菜さん。
「しないよ!課金は毎月天井までって決めてるし・・。」
「もう、天井行ったのかよ!今月入ってまだ3日だよ!」
「まさかエゼキエルは天使のゲームなのに悪魔の力も使えないと進めないと思わなかったんだもん。」
「今いるので、最適なキャラいないの?」
「グリセス・・。」
「天使でそんな名前のいたっけ?ゲームオリジナル?」
「一応主人公なんだけど、玄人向けというか・・。悪魔が天使に転生した事が物語の始まりで、転生したのが元グリードで現天使のグリセスなんだよ」
「なんか、聞いても良くわかんないや・・。」
私は、スマホに目をやり一応1日1回の無料ガチャを引く為に天召と書かれた所を押す。
『我々は日本という異世界に対してどの様に対処するべきか』
映像が切り替わると外国のニュース番組が数秒映りガチャの画面に切り替わった。
同時通訳なのか、スーツを着てる金髪の男性は日本語で話している。
「今のもゲームの画面?」
顔をあげると雪菜が不思議そうに私の目を見てる。
「いや、実写が映るわけないよ。」
後ろに座る齋藤早苗は、大声で窓の外を指さす。
「何あれ??」
窓の外には大量の鳥たちが太陽に向けて飛び上がっている。
あるか分からない第六感で何か想像出来ないような事が起きる、そんな恐怖を無意識に感じていた。