クラウディのファッションショー
これにて『織花童話集』は、ひとまず完結となります。
最後のお話、妖精たちの秘密のファッションショーをお楽しみください。
きょうは、ようせいの国のファッションショーの日。
まほうの力をもったようせいたちが、すてきなドレスをきて、みんなのまえをあるくのです。
しかし、クラウディは「はぁ」とためいき。
まほうがつかえず、ドレスをつくることができなかったのです。
(わたしだけのけものだわ)
あたりがくらくなり、ファッションショーのリハーサルがはじまりました。
(みんながたのしくしているのなんてみたくない。でもどんなドレスかきになる)
ふたつのきもちがぶつかりあって、心はぐらぐら。
けれどもちらり。みたいきもちがかちました。
トップをかざったのは、たいようのようせい。
ゆう日のようなまっ赤なきじにきんいろやむらさき、クリームいろのひかりのいとがきらきらきら。
「すてき……」
みとれていたクラウディは
「でも……」とちょっとかんがえて、つづきをみることにしました。
おつぎは、水のようせい。
水をきじにして、きらきらしずくのフリルがふるふるとゆれています。
「すてき……」
またみとれていたクラウディは
「でも……」とやっぱりちょっとかんがえました。
そのつぎは、風のようせい。
風のようにかろやかに、とうめいなひらひらのすそがふわふわひゅるるとひろがります。
「すてき……」
またもやみとれていたクラウディは「でも……」とやっぱりちょっとかんがえました。
さいごは、花のようせいです。
花をドレスいっぱいにかざり、ほわほわくんくんはなやかです。
「すてき……」
またまたみとれていたクラウディは
「でも……」とやっぱりちょっとかんがえました。
クラウディは、まよいました。
(まほうがつかえないじぶんがたいようと水と風と花のようせいに何をいってもわらわれるかもしれない)
でも、みんなのドレスがすてきなのをみて、クラウディの心もわくわくし、(こうしたい!)というアイディアがうかんで、とめられませんでした。
クラウディは、まほうがつかえないながらも、たいようのようせいにいいました。
「ほんばんでは、たいようが雲から出てくるようにあなたもとうじょうしたら、ぱあーと明るくなって、よりすてきになるのでは?」
水のようせいには、こういいました。
「雲で雨をふらせよう。雨の中からしずくのフリルが出てくるとさらにすてきよ」
風のようせいには、こういいました。
「風のドレスのかるさをもっとイメージできるように、雲の上にのって横に一回転したらすてきだとおもうわ」
花のようせいには、こういいました。
「ドレスをきたあなたのまわりに雲の花をちらせたら、すてきじゃない?」
もうおわかりですね?
クラウディは、雲のようせいだったのです。
みんな「そうしよう!そうしたい!」とおおさわぎ。
みんなこうふんして「これはすてきになるわよね!」とわいわい。
クラウディはうれしくなってたのしくなって、(みんなの力になりたい!)と、心からおもいました。
そうしたら……もくもくもくもく!
クラウディのまわりに雲があらわれて、びっくりするやらうれしいやら!
クラウディはたいようのようせいたちに、雲のまほうをつかいました。
でも、クラウディにはもうひとしごと、のこっています。
それはゆめみていたじぶんのドレスをつくること!
イメージは、ひかりにあたってできるにじいろの雲。
ふわふわきらきらのにじいろドレスは、クラウディにとてもにあっています。
さっきのおかえしにと、たいようのようせいはひかりできらきらスポットライトを、みずのようせいはしずくのネックレスを、かぜのようせいはそよかぜのショールを、はなのようせいはおはなではなみちをつくってくれました。
ファッショーンショーのほんばんは、だいせいこう!
かいじょうもおおもりあがり!
だれもがえがおで、ファッションショーはおわりました。
おわり
最後までお読みくださり、ありがとうございました!
もし少しでも良かったと思われましたら、評価、ブクマをお願いいたします。
感想もおまちしておりま~す!




