できれば全員にやめさせたいのに...
その後、全員催眠は解けた。どうやら催眠中の記憶は多少誤差はあれども消えるらしい。雄偉陽と仲間たちに掛かってたものは強力な方の催眠らしくほとんどの記憶が飛んでた。まぁ時間的にも結構短い間のことだったし別に対して支障はないだろうけど。
今はまた一人ひとり加護の説明云々され、それぞれ中のいいグループ的なのの中で自分の加護の自慢合戦をしてる。まぁまだ10代だし、若いからね。皆厨ニ心を刺激されてんだろうね。
そんな事を考えてると、3人の女子が近づいてきた。
「ゆうり、でいいんだよね?」
「うんそう。ちゃんとゆうりさんよ。てこれ何回目だ...。」
「ごめんごめん。でも流石にいきなり女子になるとか驚いたし」
「ま、そだよね。俺も驚いた。でも前より体軽くなったから動きやすいんよね〜」
「身長も小さくなったからでしょ」
「うるせ、それを言うなよ」
この3人も俺の数少ない友達と呼べる存在。最初に話しかけてきたのが浜本優衣。3人の中で一番大人っぽい感じだけど一番背が低いし表裏も激しい。仲のいい人とそれ以外で感情の起伏が激しいだけなんだけど。
そして二番目のが宮木夏帆。天然で純粋な感じの少年漫画系がアニオタな子。だったけど最近結構腐ってきてて俺にもその手のを勧めてくることがある
最後に矢内千幸。ある意味一番バカ。不安になるってかこれまでも結構なトラブル起こしたり馬鹿なことしてる。落ち着いて周りを見れるようになったらいいんだけどな。
「んでどしたの?」
「えっと、ちょっと不安になっちゃって」
と矢内
「ウチらの加護が全員戦闘向きだったみたいでね、期待されちゃってる」
と宮木
「ほうほう、ちなみにどんな加護?」
「私が治癒の女神の加護で、自分と自分を中心にした半径3メートル内の味方と認識してる生物に対し常に疲労回復と精神安定と肉体再生。それと肉体の欠損でも再生できる回復魔法。かほは獣神からの加護で、犬の獣人?っていうのになるらしい。ちゆきは付与の神の加護で、簡単に言うと相手に対してバフとかデバフっていうのを与えるらしい」
「ふむ、それのレベルによるけど期待されてるっていうのなら相当なものなんだろうね。どうする?個人的に君等には戦ってほしくはないけど自分の意志で決めるものだからね。俺からはこれは殺し合い、戦争っていうのと君等には戦う責任もないし、何より子供なんだからそんな必要もないってことだけ。それ以上は特になにか言うつもりはない」
あーあー不安そうっていうか不満そうな顔して。仕方ないじゃないか、俺はあんま人の選択っていうのを狭めたくないんよ。
「そんな顔しないでよ。今まで通り、俺は事実を言ってどうするか聞いてるだけよ?」
「でも、こんな状況、どうすれば」
「じゃあ、うん。分かった。やめとけ君等」
「なんで?」
なんでと言われても、そりゃね。
「厳し目に言うぞ。ぶっちゃけ足手まとい。いくら優秀な能力を持ってると言っても戦場で動けなければ意味がない。お前ら人殺せないだろ?戦場じゃ人の死に直接触れる相手が人の形をしてなくても言葉や感情を理解できなくても、それでも殆どの人は何かしらの感情を抱くらしい。ここにいる殆どのやつはそういうやつだ。殺すか殺されるかの場所で一々毎回何かを思って、悩んでなんてしてる暇はない。それで現代日本の醜悪で平和な世の中にいた奴らは元々おかしくなけりゃ大体のやつはそんな感じ。悪意や敵意には慣れてても殺意に慣れてなきゃ生き残れねえ。ここで休んでろ」
「じゃあゆうりは、そのことに対して何か思ったりすることはないの?」
「ないよ。そもそもそれが理解できないからな。俺は知ってるってだけで自分がそれに当てはまるってわけじゃないことを自覚してる。まぁ普通に人を殺せるだろうし」
といっても実際人を殺したことはないんだけどな。殺されそうになったことはあるけど
「というわけで君等はやめとけ。迷ってるうちに味方が殺され、自分も殺される。それが嫌だったら大人しくここでまってろ」
「分かった。じゃあ辞める」
「そか。二人も?」
「うん」「やめとく」
「おっけおっけ。うん。了解。じゃ、なんか呼ばれてるみたいだし行こか」