主人公くんは嫌いです
クラスの皆は驚いた顔のまま固まっているが、それを無視して俺は改めて偉そうな人に向き直る
「えーっと、さっき行ったとおり俺は男から女になってる。まぁこの理由は後で聞くから今は置いといて、他に色々なことを聞きたい。それくらいいいだろ?」
挑発するように言う
「な、き、さま、王の御前だぞ!もう少し礼節を持て!!」
するとハゲちらかしたおっさんが詰め寄ってくる、のでそいつに手の平を向け
「あ?うぜぇ」
動きを止める
「あ、ああ、よかろう。大臣を離してやってくれ」
ビビりながらも玉座に座ったおっさんが言ってくる。その言葉を受け手を下げてやる
「大臣、下がってろ」
「は、ハッ!」
そしたら王様がすぐに大臣とやらに下がるように言い、押さえつけてた大臣さんがすぐに下がる
「それで、聞きたいこととは?」
「まぁとりあえず一個ずつ聞いていきますか。まず召喚理由」
「最初に言ったんだが、まぁよい。召喚理由か、この世界の災害の一つである魔王が現れ、魔物が活性化しそれに伴い天災も起き、かつては数十数百の国々が存在していたこの大陸、今では人間が治める国は我が国合わせて4国と大陸外に島国が一つ、その他亜人が他は人間以外の亜人と呼ばれる様々な種族が一部を除き各地の集落でほそぼそと隠れながら住んでいるレベルまで減った。それが約10年前のこと。今は東洋の島国を除き殆どの国や町村は結界に守られている。結界に守られているおかげで魔物は入ってこれない。だが魔物が活性化したことで現れた魔物の突然変異体、魔族は結界を壊すことができる。現状では魔族に対抗することが不可能と判断し、神に頼み異世界の存在であるそなたらを召喚させてもらった。」
「ふむ、異世界人だと対抗できると判断した理由は?」
「異世界を移動した者たちは例外を除き身体能力と魔力が高く、神々から強力な加護が与えられる。特にそなたらの国のものは強いものが与えられる、10代のものは特にな」
「つまりてめぇらは自分らの世界の問題をよその世界のガキに任せようとしてるってわけか?」
「う、む。そういうこと、である」
王様が苦しそうな表情で言う
「そうかい。で、利点は?」
「は?」
今度は鳩が豆鉄砲を食ったような顔
「いやだから利点よ利点。つまり俺らはそれをしてなにか得になるのかっつうはなし。ああ、先に言っとくが俺は名誉とか称賛とかそういうのもねえよ。他の奴らは知らんけど」
「そ、それは、魔王を討伐されたあかつきには重役の地位を「んなもんいらねえ」」
王様の言葉を途中で遮る
「あのなぁ、話が食い違ってるようだから言うとな、魔王を倒す倒さない関係なしに俺は普通に帰りたいんだよ。で、それでなんであんたらの国に尽くすことになるんだ。馬鹿じゃねえの?攫ったからと行っててめぇらの所有物になんかなるかよ。アホくせえ。普通に返すのは最低条件だろ。それも倒す倒さない関係なく」
「き、貴様、先程から聞いてれば何だその口調は!陛下を相手にどういう口のきき方してるんだ!貴様こそ馬鹿じゃないのか!?そのふざけた性根、このアインスフィア家時期当主ラクスア・デン・アインスフィアが叩きのめしてくれる!」
俺の言葉に触発されたのか、甲冑姿の女騎士が突っ込んでくる
「馬鹿かお前?」
が、途中に用意しといた魔力の壁に阻まれる。
「ん」
手の平をくいって下に向け押しつぶすように腕を動かす。
「ぐべッ」
すると女騎士は倒れ込む。すぐに起き上がろうとするがまるで重いものが乗っかったように起き上がれなくなり四つん這いになる。
「よっこいせ」
とりあえず近づいて背中に座る
「さて、話を続けよう」
「いやいや待て待て。え、おま、その格好で続けるつもり?」
先程助けようとか馬鹿なことを抜かしてた主人公っぽいハーレム野郎、雄偉陽が止めてくる
「なんだ雄偉陽、剣構えて突っ込んでくるやべぇやつを抑えつけて何が悪い?」
「いや、でも、流石にその格好は可哀想っていうか、ダメだろ?なぁ皆?」
雄偉陽は周囲の皆に目を向けながら言う
「うん、まぁ」「流石にね」「可哀想だし」
それに対して女子は頬を染めながら、男子はまぁそりゃあって感じで答える
「はぁ、まぁいいよ。座りたかっただけだし。ん」
そう言い、女騎士からどき、床に手を付け魔力で不可視の椅子を作りそこに座る
「あ、ありがとうございました」
起き上がった女騎士は雄偉陽に向き直り、礼を述べる
「いえいえ、女性を助けるのは当然ですので」
それに対して雄偉用はニコっと笑って答えるおえ気持ちわり
「はぁ、まぁ話はそれたが俺らがそれをやる理由を述べろ。あと帰る方法も」
「帰る方法、か。魔王の居城にそれが記された書物があると言われている」
「あーそうかい。んじゃまいいわ。んで、その魔王討伐は全員参加なん?」
「いや、与えられた加護によって戦えるかどうか変わるのでな。闘神の加護を賜ったものはこちらで多少訓練した後に戦場に行ってもらう。それ以外のものはそれぞれの加護の仕事をしてもらう」
「へぇ、うん。わかった。んで、その加護の確認方法は?」
「ここにいる神官たちが持ってる杖が確認できるようにできているのでな、それで確認した加護とその内容を紙に複写し、各所に報告する、ということになってる」
なるほど、そういうことだったのか
「ちなみにこの世界にレベルやステータスといったものはあるか?」
「いや、そんなものは聞いたことない」
「そうか」
ふむ、これはいいことだな。あーいうのがあるとゲーム感が余計に出てタガが外れやすくなるしな
「もうよいか?」
「魔王側の戦力、特にお前らだけじゃ倒せたいような奴は詳しく」
「その前にこの大陸にある国を話させてもらおう。」
「どうぞ」
「先程も言ったようにこの大陸にある人間が収めてる国はこの国含め4つ、歴代皇帝が率いた軍により戦争を続け領土を広げ続けた東方最強の帝国、戦争帝国メイテイ。魔導の追求により軍事レベルが格段に上がり帝国と並ぶ強国となった西の大国、魔導大国マグアノート。かつて神が降臨されたとされ、それで宗教で国力を随時上げている南方の宗教国家、神王宗教国ミディルート。そして千年以上前から勇者を呼び出し、排出してきた大陸中央に位置する我が国、勇王国グラノイア。それと大陸外だが東洋の島国、かつて帝国、教国、大国、王国の4国で攻め入ったというのに追い返され、数百年の間国境が閉じられていたが15年前に突如開かれた皇家が収める我々とは違う歴史や文化を辿ってきた国、神楽。他には各地の森や砂漠、炭鉱、山付近などにエルフやドワーフ、獣人などが国を作っている」
「ふむ」
「そして魔王の勢力。便宜上魔王軍とさせてもらってる者たちは北方のはずれた土地に城を構えている。そして勢力としては、魔王、魔王補佐官、幹部が約30名、その中で四天王と呼ばれているもの、後は幹部たちの補佐官3名が個人としての強者。この者たちの詳細は深くはわかってないが、個人で国を滅ぼせる力を持ってると考えてもらっていい。他は常々増えているのでわからないが、魔族だけでも数十万以上の兵力がいると我々は考えている。」
「ふむ、35人か。ちょうど俺らと同じ人数だな」
「あぁ、そうだな。だが一対一では戦わないでくれよ。幹部級以上の実力を持つ者たちは序列で表されてる。その中でも上の序列のものはかつての大国すら滅ぼす」
「へぇ」
「これを聞いて来るということは戦ってくれるということか?」
期待したような目で見てくる
「一つ約束しろ。戦う意志のないものには戦わせるな」
少し圧をかけるように言う
「無論だ」
それに対し王様はまともな返事で返してくる
「わかった」
俺は周囲にいるクラスメイトたちに、奥にいる俺の友達に目を向ける
「だとよ。後はお前らの意思と能力次第だ。やりてぇやつは勝手にやれ。それ以外のやつでも一応神官とやらのところに行ってこい」
「わかった」
雄偉陽だけが返事をし、クラスメイトたちに目を向ける。ッペ、さすが主人公様だよ
「皆、この人達、この世界の人達は大変みたいだ、そしてそれをどうにかする力が俺たちにはある。助けてあげよう!」
「仕方ねぇな」「まぁ陽くんが言うんだし」「僕達ならできるっていうんだしね」「うんうん」「やってやるかー」
はぁ、ほんとにその程度の覚悟でできんのかね。これは討伐といって言い方を変えてるけど結局人間たちと人間以上の力を持った存在達との戦争なんだけどね。まぁ戦場に経ったら分かるか。