様々な組織
「いえ、彼は我々対魔神機関が預からせてもらいます」
「それはできませんね。彼は僕らラビリンスが収容し、僕らの兵力として使わせてもらいます」
「いいや、我々呪術協会に来てもらう」
「俺ら東西武道連が回収する」
「いいえ、私達みこ組合が」
「いいえ、彼女は我社が預からせていただきますわ」
近くで何か喧嘩してるみたい。うるさい。
「はいはい皆さんうるさいですよ。まったく、これじゃ起きちゃうじゃないですか」
「起きたよ。まだ眠いけど」
俺が突然声を出したことで、皆驚いてるっぽい。
メンバーは
魔神機関って言ってたのがソフィア。
ラビリンスって言ってたのが幹島。
呪術会が、舞元翔
武道連が、確か家がなんかの道場の本郷健児
みこ組合が、家が神社の相沢奏女
我社とかふざけたこと抜かしてる女が、うぇ。うちの親が働いてたどっかのでかい企業の娘の稲葉咲希。うざ
それと、池田大輝。
「で、何の話をしてたの?なんとなく予想つくけど」
少しまだちゃんとできないな。はぁ。
「どうせあれだろ。この件終わったら俺をどこが回収するかとかだろ?先に言っておく。全部断る。俺はどっかの組織に所属するようなやつじゃねえ」
「そうですか。ですがいくらあなたとて、この状況で僕ら全員に実力行使されたら敵いませんよねッ!」
【鎖の少女】
【黒棘】
【空間壊し】
【封札・氷雪】
動いたのは四人。幹島が鎖で、舞元が床から黒い棘を出して、本郷が闘気を大量に纏って、相沢が札?で各々攻撃してくる。ったく
「いくら魔力が切れてるとは言え、その程度意味ねえっつの。とりま全員、『潰れろ』」
俺の声で、四人とも潰れる。ソフィアはなんとか耐えてるって感じで、稲葉と池田は無効化かよ。ったく
「くくく、さすが上代さんです。ですが、いくらあなたがここで逃げれたとして、元の世界に戻ったら我々ラビリンスが総力を上げてでも回収しますよ!」
「ああ、俺ら呪術協会もお前のようなやつは回収しなくてはならないと思うだろうな」
「俺の処も似たようなもんじゃ!それに、もしあんたが逃げ切れたとしても、あんたの友人や家族を人質に取ればええ」
『あ?』
「ひぇっ。わ、私達みこ組合は大人しく諦めます」
俺の気迫にビビったのか、相沢はそれだけ言って顔を伏せる。
「いいか。まず一つ、俺にはもう家族はいねえ。全員死んだ。2つ目、あいつらに手を出したらお前らの組織全てを壊すぞ」
俺の気迫で、全員が押し黙る。その静寂を破ったのは、稲葉だった
「あら、私は家族ではなくて?ゆうり」
「うるせえ。俺はお前らを信用してねえんだよ。つうか俺に何の用だよ。こいつらが何も言わねえってことは機関等々知ってるんだろうし、そこら辺も教えろ」
「寂しいわ。昔は私のことを咲希って呼んでくれて、結婚の約束もしたのに。今じゃこんなに生意気になって」
「昔のことだろ。今の俺はお前に姉なんて感情も持ってねえし結婚もしようと思わねえ。つうか当時結婚の意味もよく知らない俺にそう言わせるどころか契約書類まで書かせようとしたのはお前だろうが」
「あら、私は貴方と結婚したいと思ってるんでしてよ」
真正面から、堂々とそんな事言われる。ソレに対して俺は
「お前のそれも恋愛感情じゃないことなんてわかりきってんだよ。つうか俺あん時書類にサインしてたらどうなってたんだよ。お前今思い出したけどあん時の書類普通の紙製なんだよな!?」
「ん〜、それは、内緒ですわ♪」
「うっざ死ねまじお前さっさと死んで一族諸共地獄に落ちてくんね?あ、美江ちゃんは別で。あの娘は俺が育てる」
「いいえ、あの娘は私が育てますわ。貴方は引っ込んでなさい」
「は?てめぇにそれが出来るわけねえだろ知ってんだぞ最近家庭科の授業でまたダークマター作り出したろ」
「な、何のことやら?というかあの授業中サボってたあなたがなんで知ってるんですの!?」
「家庭科室から黒い煙とお前の鳴き声を聞きゃある程度想像つくわ。おら、フライパン駄目にしてごめんなさいって言え」
「フ、フライパン駄目にしてごめんなさい」
「あの~」
寸劇をやってたらソフィアから声をかけられる
「ゆうりは、彼女のことを知ってるの?一通り貴方達の経歴を調べたときにゆうりの父親が稲葉さんの父親がやってる企業の会社員ってことくらいしか関係性ないんだけど」
「昔会社の交流会ってやつで、子供OKらしくて親と一緒に行ったときに初めてあって、その後も何度か会う機会があって遊んでただけ。暫くしてうちの父親は左遷されて会うこともなくなってた。家族の葬儀の時にこいつの父親とはあったけどこいつはそん時いなくて、高校で久しぶりにあったけどお互い結構変わってたからってたから挨拶することもなく避け続けてただけ。」
「その件に関してはこちらから謝りますわ。でも一つ訂正しておくと変わったのは貴方だけですのよ」
「あぁ、そうかもな。で、そろそろ俺の質問に答えてくれよ。稲葉、なんでお前は機関等々のことを知ってるんだ?そしてお前まで俺を捕らえようとする理由は何だ?」
「もう、昔みたいに咲希って呼んでくれないのね」
聞こえないくらいの声量で、稲葉が呟く
「あ?んだよ」
「なんでもないわ。彼らの所属する組織について知ってるのは、我社が組織の出資者の一端だからですわ」
「一端、ねぇ?確かお前の爺さんが会社を起こした時の資本金は50兆。昔聞いた未だに残ってる隠し資産は約30兆。そしてお前の父親にその座が受け継がれて、そのときには既にその個人資産はなくなってたそうだお前の家の会社は常に順調でだからこそ立て直しとかに使われたわけでもなく、世界情勢でもそれほどまでにでかい金の動きもないのを見る裏に消えたってのが妥当かね。その金の使い道が、これか」
「ええ、そうよ。その後もお父様は彼らの組織に相当な額を与えている。美江はこのことを知らないけどね」
「そうかい。んで、お前らよぉ、実際お前らの組織はどんくらいこいつから貰ってんだ?」
「うちの組織、対魔神育成機関は、年間の活動費の約2%...」
「僕のところはだいたい毎年数百億くらいですね」
「呪術会は、活動費の約3%...」
「武闘連は、だいたい、5%、じゃ」
「み、みこ組合は、全体で見ても年間の活動費がだいたい数十億くらいなので、その30%くらいは寄付してもらってます...。」
うっわ。
「なんつーか。お前らのどの組織に行っても稲葉のところに行かされそうだな」
「ふふっ、これで貴方は我が一族からは逃れることはできませんわ」
「なんで俺にそんなこだわるかね。ったく。で、さっきから一言も喋ってないお前はなんなんだ?池田」
ずっと壁際で気配を消していた池田に目をやる。
「私は別に、どこかの組織に所属しているわけでもありませんよ。裏でちょっとだけ名のしれたなんでも屋でして、フリーで色々とやってるだけです。今回のも稲葉さんに依頼されて仕方なくまとめ役としてただけですし、ね」
本当かどうか確かめるために、稲葉の方を向く。それだけで伝わったのか、頷いた。どうやら本当らしい。
「フリーねぇ、お前は俺に対して興味ねえんだよな?」
「依頼されれば勿論捕まえはしますが、今はどことも、」
言いながら池田は他の奴らを見る。それに俺も釣られて見ると、うわ、ちょっと低くわ
「武道連からの依頼じゃ。元の世界に戻ったらそいつを拘束し、俺等武道連の長の前に連れてこい。報酬はその場で長が聞けることなら何でも言うことを聞く!」
「我社の依頼は勿論ゆうりを我社に入れること。支払いは前金として2億。成功報酬は我社の商品を一つただで差し上げますわ!」
「対魔人育成機関、並びにみこ組合、ならびに呪術会からの依頼はその2つの依頼の破棄!報酬は我々三組織の人材を一度無尽蔵に使うことが出来る」
「ん〜、どれも魅力が感じられませんね。別に私はお金が必要なわけでもありませんから。あ、そうですね。各々方が考える一番強い能力を持ってる方に合わせていただければ、どのような依頼でも受けさせていただきます」
なぜ能力。いや、あーこれは多分コピーか強奪系だな。たくよぉ
「なら俺からも依頼だ。全員の依頼の破棄。報酬は今俺がお前を殺さないこと、でどうだ?」
言いながら居合の形で刀を構え、他の奴らには銃を突きつけ牽制する。
「お前の能力はコピーとか強奪の類いだろ?一番能力が強いやつを指名するわけねえ。これが組織のトップとかだったら催眠か入れ替わりかの方で悩んでたぜ。そっちだったら手を出すきはねえが、コピーとか強奪は駄目だ。放置してたらどこまで強くなるかわからねえ」
「ふふ、正解です。私はね、眼がいいんですよ。上代さん。いえ、神代と言ったほうがいいでしょうか?」
「その名で呼ぶな」
その名を聞くと、ひどく嫌悪感がくる
「フリー、目が良くて、相手の能力を模倣する、まさか...死神テイム!?」
「死神テイムじゃと!?まさか、ありえん!やつは、確証だけでも数十年前、文献などを調べると更にその昔、紀元前以前まで遡るぞ!」
「いいえ、ありえないことではありませんわ。既に我社と提携してる科学機関の一つがタイムリープを可能としてますので」
「我々みこ組合もタイムリーパーの能力者の存在は確認してます。彼の能力が模倣だとすると、その力を模倣することも可能です」
全員が池田を囲むように陣形を組み、各々構える。おいおい、話の流れからなんとなく察することはできるけど俺だけ置いてけぼりかよ。
「ふふっ、皆さん。そんな焦らないでください。私としてもあなた方と事を構える気はないんですよ。今日はあくまで調停役。私の処遇は私達の世界に戻ってから決めましょう」
「とか言いながらお前どうせ記憶を消すことも出来るしなんなら消さずに放置して能力持ちの奴らが多いところに連れて行ってもらいたいんだろ?」
「さすがです。上代さん」
一瞬だけ溶けた肌に空気がヒリつく感覚がまた起こる。ったく。めんどいな
「まぁ俺にはどうでもいいことだ。お前が彼奴等の依頼を受けない。代わりに俺はお前を殺さない。それだけ守ってくれれば俺としてはお前のことはどうでもいい。俺は裏の世界なんて知らなかったしな。巻き込まれただけ。こういうのは雄偉にたのめ」
「ふふふ、彼も面白いですよね。なかなかどうして、あれ程の運命力があるものは久しぶりに見ました。だからこそ、それを倒したあの四天王の方、そしてさらにそれを倒してしまった貴方のことが気になるんですがね」
「別に俺は特になにかあるわけじゃない。で、依頼は?」
「わかりましたよ受けませんよ。これでいいんですね。全く。私だってほんとに彼らとも貴方とも事を構えるつもりはないんですよ。全く信用してほしいですよ本当に。」
「そうかい。んじゃお前らも警戒を解け。結界を維持するのもそろそろめんどくなってきた」
俺の言葉を聞き、渋々と行った様子だが皆構えを解く
「ってゆうり。いつの間に結界張ったの?」
「起きた瞬間に速攻張ったんだよ。ったくよぉ、お前ら見てえなの揃うとそのうちすぐに暴力沙汰に発展するんだから気をつけろよな。あ、そうだ。忘れてた。おい池田」
「なんでしょう?私はさっさと調停役に戻りたいんですが」
「お前のその眼で、俺と四天王との戦い見たよな?それであいつと俺の力も技もコピーしたよな?」
「ま、まぁしましたがそれが...?」
「それ、没収な」
「はい?」
【封呪】
池田が呆けてる隙に池田の額に封印の札を貼り、俺と颯の戦闘中の攻防の一切を忘れさせる。ったく。この手のやつはほんとにめんどい
〜〜〜
まじかよ。あれほど強力な封呪を、一瞬で作った...!?これは、師匠どころか、呪術会の幹部の方々ですら無理な所業だぞ。帰ったら速く、呪術会に知らせないと
〜〜〜
あの封呪って、私がさっき出したやつの改良版...?上代さんほんとに凄い!やっぱり貴方はみこ様ですね!いつか絶対連れていきますよ!
〜〜〜
さすが我社の発展に必要な人材。お父様から聞いたときはなんの間違いかと思いましたが、やはり貴方は、我社にこそふさわしい!
〜〜〜
池田大輝。いえ、死神テイム。ゆうりは、彼がどれほどの懸賞金がかかってるのか知らないでしょうね。それに、彼がかつて犯した罪の数々を。戻ったらすぐに報告しなくては
〜〜〜
池田大輝に上代侑梨。二人共怪物じゃな。他にも様々な組織がある。一応話には聞いたことあるが、これほどとは。俺ら東西武道連盟は、特殊な力といえば闘気だけ。あとは武器だったり己の力だったりじゃが、これを見ると、どう立ち向かえばいいんじゃ。ボス。俺等武道連は、闘気を使いこなして初めて他の組織に対抗できるとはよく言ったものじゃ。俄然やる気が出てきたのう。俺も早く一人前になって、戦ってみたいものじゃ
元々構想時点ではこんなのじゃなかった。いや、幾つかの組織がゆうりを今後どうするか〜とかまではいいんだけど、なんか変なお嬢様キャラとかヤベー奴とか出てきたし。正直混乱中。本当は色々な組織云々をどうでもいい。俺は適当にフリーでいるって言って一蹴させて現在の状況の確認と国を出るまでやろうと思ったのに...なんでこうなった!?まぁいいや。あ、今度気が向いたら技とかだけじゃなく組織とか登場人物紹介とかも書きます。言う手適当だけど。てかキャラ増やしすぎるとマジ手につけられないキャラ増えるね。まぁ元々これは主人公一人だけの物語の予定だったのに色々と出てきたのが問題なんだけど。
あ、今回初登場したキャラ、あと幹島も後付設定です。前言った通り組織云々はメインじゃないので添えるだけだし。つうか元の世界編考えてないんだよな。ぶっちゃけ最終話の構想は考えてるんだよ。んでその後番外編としてifとかやろっかなーって感じ。