負け戦
「これじゃ北側というより南側に来てほしくない?」
「何をぶつくさ言ってるの?集中したら!」
「あ?」
俺と対峙する存在、ミアラとか言う幹部。地味にうざい。先程からずっと他の奴と戦ってるときでも常に付かず離れずでちょうどいいタイミングで意識を乱すように小技を出してくる。うざ
「ほら、さっきから一人ひとりに対する時間が長くなってるよ。そろそろ体力も切れたの〜?」
「うるせえ。だいたいてめぇらが昨日からずっと攻めてくるからだろうが。こちとら最近まともに寝てねえんだよッ!!」
「え〜、知らな〜い。だってあたしたちはただあんたのことを殺せって命令を受けただもん。底がまだわかんないあんたには短期決戦で一気に潰すのが一番いいでしょ」
クソ、こいつ、さっきから魔法だけでなく銃やらグレネードも撃ってんのにまともに当たらねえ。なら
「かと言ってこれはアホみたいな攻撃だろ!こんだけ俺一人で消費して、言っとくが俺ほどじゃないにせよケルベロスくらいなら屠れそうな奴らが何人もいるぞ!」
「アハハッ、あたしたちにはこの程度の戦力なくなってももっと強い人達がいるから大丈夫だし〜。アハ!」
「あ?、ヤベッ!?」
【紅の風】
【全弾発射】
ヤベ、一瞬油断した。ミアラの斬撃の風に少し遅れて今使える銃を全て浮かせての乱射で対抗!やばい、少し、
「ぐっ...」
「アハハ、油断したね!」
「なっ!?」
【睡蓮花】
一瞬の隙をつかれ、ほぼ0距離からの超高密度の魔法。やべぇな
〜〜〜
「アハハ、死んじゃったね!ざぁこ!」
【四陣結界】【灼熱の炎陽・極】
「へ?」
四陣結界で動けなくし、指先サイズまで小さくした灼熱の炎陽を用意する
「油断したな。最後に言い残すことはあるか?」
「な、なんで、なんであれを食らって生きてるの!?あの技を至近距離から油断した状況で喰らえば、いくらあんたでも死ぬはずよ!防御に魔力を使ってなかったんだもの!」
「馬鹿が。魔力以外も視れなかったことがてめぇの敗因だ。死ね」
「まっ!?」
用意した炎陽が爆発したら炎陽を中心に半径1mの球体の結界が展開されるようセットし、放つ。
「さて、こいつが終わってもまだまだいるんだよな。いや、そもそも、まだいる、となると」
あいつの言葉が本当ならもっと強いのがあと数人はいる。ならなんでそいつらじゃなくこいつらが来たんだ?消耗戦はたしかに有効だがぶっちゃけ回復手段がないわけでもないし敵もその事に気づいてる。となるとそいつらが動けない状況、護衛か別の任務、俺に邪魔されない、異様な南側に攻めてくるなという陣形...!?
「てめぇら、あいつらに手を出す気だな?邪魔だからどけ!」
俺の威圧込みの言葉にも臆せず魔王軍たちは立ち向かってくる。
「その心意気は評価するが、邪魔するなら死ね!」
【雷轟龍影】
雷の音を轟かせ、一直線に王国へ、彼奴等の元へ戻る。死なせないために
〜勇王国グラノイア〜
「王よ、現状を報告します。」
「うむ」
玉座の間。最初侑梨たちが召喚された部屋。そこで異世界人達、魔道士団長、騎士団長、神官、宰相、国王、近衛騎士が魔王軍との戦況の報告を聞いていた。
「現在、王国軍の全兵力、約2万。冒険者、約1000。傭兵、約300。締めて約2万1300。そして魔王軍戦力。雑兵、約2万3千。指揮官クラス、約200。幹部クラス、3。四天王、一人」
「圧倒的劣勢。おそらく本日中には大敗を喫すでしょう。それでは我らも戦場へ戻ります」
「わかった。情報感謝する」
何やら急いで戻ろうとする二人に労いの言葉をかける。
「さて、とのことだが魔導師団長、騎士団長、どうする?」
「ふむ、おそらく我らが加わったとしても幹部クラスを一人倒せるレベルでしょう」
「ですな。先程の者の言葉通り、もって1日...。このままでは」
「というと?」
魔導師団長の言葉に、国王が食いつく
「彼ら異世界人に戦ってもらうのです。彼らが加われば幹部は勿論のこと、四天王も倒すことができるやもしれません」
「ふむ、というが、貴公らはどうする?」
突然のことに驚きを隠せてないものも多いが、その中の一人、クラスの代表者として雄偉が前に出る。
「もちろん、戦わせていただきます。元々俺たちはそのために召喚されたんですし」
雄偉の言葉に賛同するよう、各々声を上げる。それを聞き王国側の表情も多少明るくなる。
「そうか、ありがとう」
そして王が感謝の意を示してすぐ、それは訪れた。先程から鳴り響いていたが今度はかなり近い、爆発によって生じる爆発音と振動。今度は城全体が大きく揺れるような振動に見舞われ、すぐに先程報告に来ていた兵士たちが戻ってくる。
「報告。つい今しがた生じた爆発により結界と城壁崩壊。すぐにでも魔王軍がなだれ込んでくるでしょう。市民の方々の避難は現在3割完了しております。」
「そしてS級冒険者、ガリレア・デモンズ率いるギルド、デッドマン・ガーディアン、が幹部と交戦、一名は殺しましたがデッドマン・ガーディアンの主力面が殆ど倒され一人の幹部に壊滅させられそうです。そして傭兵、風の鳴人ことマークス・ギャベリンが四天王と交戦し死亡。では、我々は戦場に再度戻ります。」
「あ、ああ。報告感謝する。」
報告を聞き、王国側の人達の表情が再度暗くなる。
「そうか、これは、まずいな。」
「陛下、そろそろ」
表情を暗くしていた騎士団長が王に何かを言う。
「では、異世界の方々よ、貴公らには魔王軍と戦ってもらう。勿論避難してもいい。ただ、正直な所今はすでに逃げ場は殆ど無い。我ら王族だけが使える隠し通路はあるが、おそらくすぐに見つかるだろう。我らの選択はここで大人しく殺されるか、徹底抗戦のみ。戦う意志のあるものは騎士団長、並びに魔導師団長の指示に従ってくれ。そうでないものは城内に留まるか逃げるか、まぁ、好きにしてくれ。では騎士団長、魔導師団長、あとは頼んだぞ。」
「「ハッ!」」
国王の言葉の通り、各々が動き出す。騎士団長、魔導師団長はすぐに異世界人たちを纏め上げ、戦えるものを率いて戦場に赴く。残った者たちはそれぞれこの場で話こんだり、王城ないを適当に彷徨いている。
〜〜〜
「なんか、大変なことになっちゃったね。」
「そうね。あの感じだと多分皆負けるでしょうし、どうしましょう」
「うぅ、怖いよ、嫌だよ、なんでこんなことになっちゃったの?死にたくないよぉ」
上代侑梨の数少ない友達、浜本、宮木、矢内がその場に留まって話し込んでる。
「大丈夫デース。貴方達の事はワタシが守ってみせマース」
そこに空気の読めないロリコン、ソフィアが割り込んでくる。
「でも、ソフィアちゃん。魔力っていうの使えないんでしょ?」
「その代わりワタシの加護には魔力を遮断することが出来るのデ、格闘術を鍛えてるワタシならある程度は戦えマスし」
「そんな、そこまでしてもらわなくていいよ。私達だって加護っていうのはあるからある程度は戦えるはずだし」
「アー、でしたら一緒にいまショ。ワタシは魔法による加護の効果は意味ナイので邪魔することはないでしょうし」
「うん。いいよ。ありがとね」
「イーエ。それよりオハナシしましょオハナシ。ユーリって昔どんな感じだったんですか...」
〜〜〜
急げ、急げ、もうすぐ、もうすぐなんだ。俺は、彼奴等を守らなきゃいけねえんだ!
「見えた!!」
魔物の大群が城壁都市を囲むように、蠢いているのが見える。
「邪魔だてめぇら!!道を開けろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
【灼熱の龍影】【全弾発射】【雷轟羞明】【風皇氷河】【水皇魔】
【居合・迅風閃雷】
灼熱の龍影で道を作り、他の技を適当に打ち邪魔が入らないようにし、音速を超える速度で敵を切りつけながら王城に突っ込む。
〜〜〜
くっ、失敗した。まさかここまで強いなんて。これが、四天王...!!
「おいおいまさかこれで終わりか?流石に弱すぎんだろお前ら。神からの加護を使ってもその程度か?よっわいなほんとうに。いや、イレギュラーが別格すぎただけか。つまんねえの。」
イレギュラー?何言ってるのこいつ?
「はーあ、これじゃあ俺も向こうに混じっとけばよかったぜ」
「やめてくださいよ。それじゃあ僕達は負けてますよ」
「お、そっちは終わったのか?」
「ええ、あの強力な加護持ちをあなたが潰してくれたおかげで楽にやれました。殺さないんですか?」
「あ?まぁあいつの加護の中に一つ太陽神の加護ってのがあってな。これがある限りこいつは太陽が出ている間は不死身だ。いくら殺しても再生してきやがる」
「へぇーそうなんですか」
増えた...。今度のは四天王と比べたら弱そうだけどそれでもこの国の騎士なら圧倒出来るレベル...。
「さて、お前は結構面白かったぜ。他のやつに比べて動きがいい。ただ、意識に対して身体が追いついてねえな。魔力も纏ってない...?いや纏えないのか。ハハッ、なるほど」
「どうしたんですか?」
「ああ、こいつの持ってる加護は魔憎神の加護って言ってな、触れてるものの魔力を完全に遮断するんだよ」
「へえ、結構強いじゃないですか」
「そう思うだろ?ただな、これは自分にも作用するんだよ。つまり、この加護を持ってる限り魔力は絶対に使えない。しかもオンオフ出来るもんじゃねえしな。だから意識に対して身体が追いついてねえんだろ?この加護手に入れる前、お前らが召喚される前の時点ですでにお前は魔力を扱ってい戦っていた。ただ、召喚によってかごが付いて使えなくなった。そうだろ?」
「ええ、そうよ。私は元々異世界召喚なんてものをやらかすような輩を相手取って戦う対魔神育成機関の一員よ。まぁこの加護のせいでその力もほとんど出せないけど」
「ハッハ、対魔神だと?つまりお前ら神を相手取るのか。おもしれー。はぁ、でも、今のお前はそれか」
とても落胆したような、あるいは無機質な目で見てくる
「なによ」
「いや、残念だな。お前の本来の力で戦ってみたかったぜ...!!この魔力量!おい、お前ら!来るぞ」
「来るって何がです?」
幹部クラスの男の質問に答えず四天王は刀を構え、ぶち抜かれてる王城の壁を見る
「イレギュラーだ」
【居合・紅一閃】
赤い線が幹部の男に走ったかと思うとその男の首から血が吹き出て、頭が吹っ飛ぶ。
【居合・紅桜】
そして今度は赤い線が四天王に向かったかと思うと私の正面で四天王と、小さな身体の少女が刀を打ち合っていた。
「よお、お前ら。生きてるな?」
「ゆう、り...」
〜〜〜
「ソフィア、ありがとな」
「ゆうり、ゆうりだ。あはは」
「ああ、ありがとう。本当にありがとな。少し休んでてくれ。浜本、矢内、お前らの加護は魔力によるものじゃないはずだからソフィアを回復できるはずだ。頼んだ」
「うん」「わかった」
浜本と矢内にソフィアを渡し、俺と浜本達の間に強固な結界を貼る。その中に感じれる範囲のクラスメイト達をどんどん放り込む。
康介、石渡...お前らもか。あーあ、康介の方は角が折れてるな。石渡の方は、内臓にダメージか。まぁ浜本の力なら普通に治せるだろ。
幹島は、こいつもやられたか。つうかこの状態でも生きてるのすごいな。下半身はちぎれてて頭蓋骨も少し見えてるな。こいつの加護かなにかは知らんけどすげえな。まぁ普通に治せるだろうな。
水森、蔵河、狗井...雄偉の周囲の奴らも全滅か。どことなく男より女子の方が外傷が少なく見えるな。
雄偉。はぁ、こいつはまた無茶したな。たく。やっぱこの加護は加護ってより呪いだな。このまま動かして少しでも影に入ったら死ぬな。少しだけ回復はするか。
「う、うぅ...」
「起きたか?ああ喋るな。そのまま移動させる。あとは浜本たちに回復してもらえ」
「か、上代、か?」
「だから喋んなって」
「逃げ、ろ...逃げて、くれ.....」
「落ちたか」
ったく、逃げれるかっての。こいつは本物のバケモンだし。
「終わったか?」
「ああ。にしても優しいんだな。態々待ってくれるなんてよ」
「なあに、お前と全力で戦いたいしな。そいつらを気にして全力を出してもらえなかったら嫌だし」
「ああそうかい。んじゃま、始めるか」
「ああ」
刀を構えこいつの隙を伺う。真正面に対峙するものも刀を構え、こちらの隙を伺っているのを感じ取れる。やばくね?こいつ多分四天王じゃん。バケモンかよ。
「ふぅっ!」
【雷轟龍影】
一気に音速を超える速度で斬りかかるが受け止められ、逆にこちらの危機になる。
「ハハ、そりゃ悪手だぜ!」
「お前もな。吹っ飛べ!」
【灼熱の炎陽・極】
灼熱の炎陽を極小サイズに縮めたものを、雷轟龍影の魔力の影に隠れて作り、攻撃の隙を付いて放つ。その衝撃をまともに喰らい、四天王は城外に吹っ飛ぶ。
【灼熱の龍影】【居合・雷斬】
俺はそれに追っかけるように灼熱の龍影で道を作り、雷を纏わせた刀で斬りながら更に吹っ飛ばす。
だが、四天王は途中で衝撃を完全に抜き、空中に停止する。
「流石に強いな。まぁあの数を出し抜いて来たんだから当然か」
「別にあの程度ならお前でも殺せんだ、ろ!」
「話ながらの攻撃なんてあぶねえじゃねえか、よ!」
「お前ならこの程度余裕だろ!」
「まぁな!」
一撃一撃を重く、だが素早く斬りかかる。このレベル相手だと魔法とか使う隙マジでねえな。話しながらでも的確に防いでくるし、何なら魔法を使おうと魔法陣を少しでも展開したらそこを斬ってきやがる。バケモンがよ。
「ハァッ!」
「フッ!」
【燕返し】
!?ヤバ
「てめぇ」
「油断してんじゃねえよ。ったく、は?」
チッ、クソが。まさか2連撃が来るとは思わなくて片腕斬れちまった。まぁすぐに再生できたけど。
「ハハ、お前まじかよ。」
「あ?んだよ」
「お前、魔人だな?」
「魔人?そんなン知らねえしなった覚えもねえ」
「そうか。いいか?普通は俺ら魔王軍の奴らでも、幹部の奴らですら魔力だけで肉体の再生ってのはできねえ。必ず魔法なり魔術なり能力なりの、まぁそれ以外の因子ってのが必要なんだよ。でも今のお前にそれは観えなかった。魔力だけで再生できるくらい肉体が魔力に馴染んでる。お前の身体は既に魔人としての身体に変質済みなんだよ」
「ハッ!知るかよ。確かに俺は滅茶苦茶な魔力溜まりにいた事はある。それで肉体は変異しちまったかもしれねえが、俺は、俺だ!」
【居合・小乱れ】【居合・紅鶴】
勢いのまま居合を抜くが同時に向こうも抜いてくる。しかも相殺してくるとかこいつ普通に俺より強いだろ。
「グッ、」
しかも攻撃直後の隙をついていよいよ動いてきやがった。クソが、さっきまでは何もしてこなかったのに。刀でなんとか抑え込んでるけどやべぇな。普通に重い。
「なあ!お前俺らの方にこねえか!?」
「あ?てめえら魔王軍に入れと?」
「そうだ!お前のせいで幹部共も半壊したからな。だけどお前が一人はいるだけでその程度の戦力は埋められるどころか更に強くなる!それにお前、魔人だしよ」
「あ?だからなんだってんだ」
「魔人ってのは魔王軍でも結構尊敬されてるんだよ。だから来いよ!」
「嫌に、決まってんだろ!」
鳩尾に蹴りを入れるが、多分あんま効いてねえなあれ。まぁ離すことはできたしいいか。
「ハァ、!」
魔力を、闘気を、呪力を、霊力を、使える力を全て、刀に籠める!
【居合・我閃】
それら全てを込めた一撃を叩き込む、が
【居合・桜蓮華】
こいつにはまるで効きもしねえ。それどころか更に重く、速く、強い一撃を決められ、吹っ飛ぶ。
「あぁ、ほんとに残念だ」
薄れゆく意識の中、そんな言葉を聞いた気がした。
色々調べながらやってるから毎回一話書くだけでタブが滅茶苦茶増える。