表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彷徨いし魂を求めて  作者: スピニングコロ助
立志編
2/9

第2話 転生

 ──眩しい。


 あれ、俺はどうなった? 確か、学校の屋上から落ちて……

 明るくて目を開くのを一瞬躊躇ったが、開けて確認する事にした。俺は死んだのか? 死んだのならそもそも意識なんてあるとは思えないが……


「────え」


 目の前に映し出された光景は、どこかの村のような場所。地面は草や砂、建物は木製、電柱は一本も無い。

 原始的というか、何というか……いやそれより、俺は一体なんなんだ?


 日差しが暖かい。体が動く。頬をつねってみると、鮮明な痛みを感じた。

 俺は生きている! ……多分。そして全く別の場所に立っている。


「〜〜〜〜」


 その時、誰かに声を掛けられた。だが何と言われたのかは分からない。

 振り向くと大人の男性が居た……が、俺よりずっと身長が高い。少し見上げないと目が合わないくらいだ。

 俺も高校生。そんなに高くないとはいえ、相手がよっぽどの巨漢でもなければ、こんなに差がつく事は……


「〜〜〜〜」


 また何か言ってくるが、やっぱり意味が分からない。ここは外国なのか?

 そして気が付いた。相手が大きいんじゃなく、俺が小さい事に。

 いつもよりずっと目線が低い。自分が、自分じゃない。


「〜〜〜〜」


 俺が何も答えないから、相手が困ったような顔をする。俺も相手が何を言っているのか分からないし、どうしよう。英語なら少しは話せると思うが、英語っぽくもない。

 ただ、何か言わないと始まらない。俺はとりあえず、日本語と英語で会話を試みた。


  *


 ……えっと。当然ながら会話はできず。相手の人が心配そうにして、とうとう俺達の周りに人が集まってしまった。

 みんなして話し掛けてくるが、もちろん意味は分からない。俺は連れて行かれ、とある人に頭を見られ、また色々と話し掛けられた。

 恐らく……俺は記憶喪失だと思われ、医者に診られていたのか。


「〜〜〜〜」


 相変わらず分からない言語だが、みんな俺に敵意は無さそうだ。

 ある俺と同じ背たけの少年は、笑顔で何か言ってくる。友達なのか?

 ある2人の男女が特に俺を心配し、全く見た事のない料理をふるまわれ、家に泊められ──まるで、他所の家の子供になったような。


 とりあえず俺はペコペコと頭を下げ、感謝していると伝えた。いや知らない土地だし、伝わっていない可能性も高いけど。

 そうだ、鏡。鏡はないか? 自分が今どんな姿なのか確認したい。

 そう思って家中を探した。井戸はあるが水道は無く、洗面所も無い。結局あったのは居間らしき所で、俺はそれに自分の顔を映した。


「──っ」


 まだ小学生か、中学生ぐらいの顔立ち。染めたような水色の髪だ。

 案の定、ではあった。だがこうして確認すると、何というか、その……


 自分が自分じゃない。この顔も、動かしている手足も、全くの別物。そう考えると、無性に気持ち悪く感じた。

 俺は、生まれ変わった……のか? 俺は学校の屋上から落ちて死んだに違いない。なのに今、別の人間として生きている。


「〜〜〜〜」


 鏡の前で悩んでいた俺に、両親らしき2人が声を掛けてきた。案内されたのは寝室。もう夜だし、寝ろという事か。

 ……いや、寝られない。何がなんだか理解できないのに。


 ベッドに腰掛け、窓を開けた。

 月がある。ここはどこだろう。


「はぁ……」


 溜息しか出ない。

 自分が生きている事に喜べば良いのか? いや死んでるのか。こんな言語の通じない場所で、自分じゃない体で、どう生活していけば良いんだ……


「──けた」


 ん?


 声が聞こえた。周りを見渡すが、誰も居ない。


「──良かった、すぐ見つかって」


 誰も居ない、そう確認した刹那、目の前に何かが現れた。

 まばゆい光に目がくらみ、一瞬目を閉じる。


 光が収まり目を開くと──この部屋に、白装束を着た女性が立っていた。


「えっ、ちょっ、えぇ!?」


「驚かせてすみません。私は天使です。そしてあなたは転生なさいました!」


 驚く俺を置いてけぼりに、彼女は淡々と説明を始めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ