3話 キャラクターメイキング[1]
それから家に着いて早速VR機器を箱から開封して取り出す。
世の中ではそれを開封の儀と呼んでいるとかいないとか......
中から出てきたのはヘルメット型のフルダイブ機器。
「なになに...これをこうして、こうすればいいわけか?」
箱の中に同封されていた説明書を読みながらも着々と初期設定を済ましていく。俺は機械音痴というわけではないが、さすがに初めて触るものは説明書を見ながらじゃないと出来ない。
「これでいいのかな?」
説明書にはサイドに緑色のライトが点滅していたらオッケーらしいが......点いてるな。
早速頭に装着する。
詳しい理屈はわからないが、どうやら寝転んでいる状態で合言葉を音声認証させるとフルダイブ出来るようだ。
フルダイブする為の合言葉は...
「リンクオン!」
意識がだんだんと遠のいていく。
感覚は寝落ちに近いと思う。
一瞬寝たような感覚に襲われ、次に目を開けるとそこは真っ白な空間...ではなく家具やらなにやら生活出来そうな6畳1間の部屋だった。
俺は辺りを見回してみるが、普通に生活してた跡のようなものが見える。
例えば机の上に乗ったティーカップなんかまだ淹れたばかりなのか湯気が出ている。
本棚には日本語で書かれた本もあるが、英語、あと多分フランス語とドイツ語...他はよく分からない文字が使われている。今まで見たことのない文字だ。
「いらっしゃいませ。はじめましてですね。」
「うぉ!!」
後ろから急に声をかけられビックリしてしまう。
後ろを振り向くとそこにいたのは、綺麗な空色の髪に整っている顔。身体は...まぁ...うん。残念だけど美女と言えるだろう。
俺がじっと見ていたのに気づいたのか恥ずかしそうに身を潜めながらもこれを言わないといけないみたいな内容を言っていく。
「早速、キャラクターの生成をしましょう。簡単に言うとキャラメイキングと言うやつですね。」
「わかりました。」
では...と言って美女が右手を上から下に下ろしたと同時に俺の前にタブレットが現れる。
え?どう言う仕組みになってるの!?それ!
そのやり方を詳しく説明して欲しかったけど、説明はタブレットの説明だった。
「説明いたします。まず画面の真ん中をご確認ください。そのマネキンが貴方様の身体の元です。」
たしかに真ん中に真っ白な顔すらないマネキンが写し出されている。
「そして、サイドにある髪、目、鼻、口、体型、あとその配置など様々な項目があると思います。ご自由に選んでくださいませ。」
俺はまず髪のところをタップしてみると膨大な量の髪型が出てくる。
まずだいたいのパーツを当てはめてやってみるがどうもうまくいかない。
the・作り物みたいな感じの顔になってしまう。
「ねぇ、これリアルの顔を反映できる?」
「リアルモジュールですね。出来ますよ。」
あんのかよ!!
「というかほぼ全員のプレイヤーがリアルモジュールから少しずつ顔のパーツを変えたりしていますね。」
「めっちゃむずかったですもん」
「量が多すぎて私でもやりたくないです。」
.......AIが嫌がる程か。
結局リアルモジュールをしてそこから髪の毛の色を黒から深緑色に。変えたのは髪の毛だけだ。他も変えてみたけど変になったからな。
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