8話 精霊の血
「ふーん、そんなことが......で、少し気になったのだが、なんで森の中で傷だらけでいたんだ?」
アンジュさんはエルミナにそう尋ねる。
「私はエルフと精霊のハーフです。」
エルミナはそういうとアンジュさんは納得したのか「なるほど」と言うだけ言って黙る。
「なんでそれが関係あるんだ?」
「精霊は長生きだ。私たちエルフも長生きだが、それよりももっと長生きする。
少し昔...といっても20年くらい前だが一時期精霊狩りが行われたんだ。
もちろん精霊は何も悪いことなんてしていない。それどころか人間に協力していたんだ。
精霊狩りが行われた理由は精霊の血を飲むため......
精霊の血を飲めば不老になると人間の誰かが言い出し、それを聞いた傲慢な王が精霊を殺して血を飲むために狩ったのだ。」
「その人間の中でも精霊によくしてもらっていた人たちは精霊を守っていたが反逆罪で殺される。
そして、精霊は絶滅する直前だったのだ。多分その噂を思い出した愚か者がまた精霊狩りを始めて、精霊の血が流れるエルミナの存在に気付いて襲ったんだろう」
なるほど......
「でもどうすれば...」
「1つはエルミナを襲ったやつを見つけてなんで襲ったかを白状させる」
「あともう1つあるが......これはあまりオススメできない。1つは精霊の花園に行くこと。でもここには1度行ったら戻って来れないし、精霊の血が流れているものにしか入れない。」
そんなの一択じゃないか。
「じゃあ精霊の花園に連れて行った方が......」
「あぁ、安心だろう。だが、エルミナはそれでいいのか?」
「でも......はい。行きます...」
「そうかわかった。」
アンジュさんは何かを取りに家のほうに入っていく。
そのあと家の方から出てきたアンジュさんは防具をつけた姿で、両手に1人分くらいの装備を持っている。
「これが、エルミナの装備な。大きさは自動調整のスキルが付いてるから着たら勝手に調節されるぞ。あとこれ杖な。多分魔導士だろ?」
なんかアンジュさんが持ってる杖...ヤバそう。何がやばいって杖の先に付いている魔水晶の大きさが半端ない。頭くらいありそう。
「あ、ありがとうございます。」
ちょっとエルミナの顔が引き立ってるよ!
「行き先は東門から出た第2の街だ。またそこから歩くがまずは第2の街を目指す」
んー、第2の街だったら俺行けるけど多分エルミナ達は転移門使えないよな。
住人が使ってるの見たことないし。
「じゃあ行くぞ。あ、途中で助っ人連れてくからなー」
「おけおけー」
そのまま東門に行き、兵士がいつものようにそこにいる。
「おい。アールヴ...来い」
「ん?アンジュさんじゃないっすか。どうしたんですか?」
アンジュはグダァってしてる男の兵士にそう言って呼ぶ。
「かぐや、エルミナ。こいつはこの東門の門番をしているアールヴだ。
ほれ、アールヴ挨拶しろ。」
「はいはい。この東門の門番を務めているアールヴです。よろしく。」