4話 ワイバーン
「やっぱ2人いると安定感がちげぇな!」
たしかに...1人が囮みたいになってもう1人が攻撃するだけで格段に動きはよくなるし危険性も減るだろう。
だがそれも個人個人の強さがあってのものだが...
「それにしても鍛治師とは思えない強さだな!」
そう。この鍛治師のガルド...普通に強いのだ。相手の攻撃の2歩3歩を先読みして行動する。
俺が倒しやすいように魔物を誘導する。
どれだけの魔物を狩ったんだろう。
「まぁ、自分が作った得物の試し斬りで何度も魔物とやってるからな」
それがガルドの強さの秘訣らしい。
確かに小説などでよく見る鍛治師は自分が打った得物をそのまま店売りする。
それが普通だろう。
珍しい人は元々冒険者をやっていて鍛治師になった人も居ると思う。
ドワーフとかは全然あると思う。
小さい頃親から鍛治を叩き込まれたとかあるだろうし。
その中でガルドは自分から得物の具合を確かめて売る。もしくは自分で使っている。
そんな人は中々いないだろう。
それもガルドはこの1ヶ月間剣を作りまくってその度に魔物と戦っていたとのことだ。
そりゃあ、強くなるに決まってるよな。
そして、その剣を使うために剣術スキルを取り、鍛治の役に立つと言われ火魔法を取る。
その火魔法でアナコングは簡単に倒せるようになるらしい。
これはガルドが見つけたと言うか現実世界でヘビはピット器官で熱を感知して辺りを見ているから、それを利用して自分の場所とは違う場所に火を出して後ろから斬り殺すのが1番楽らしい。
「これのおかげでだいぶレベルも上がったし」
とも言っていた。
「そろそろボス行ってみるか?」
「そうだな。多分いけるだろ。実際に死ぬって訳じゃないしよ!」
まぁ死なないけど所持金とか消えるよな。
「よし!じゃあ行くか!」
結局行くんだけどね!
北のボスはワイバーン......この第1の街で唯一の有翼種だ。
ワイバーンは亜竜、ドラゴンと言われる竜よりかは強さは落ちるがそれでも竜だ。
飛ぶし、火を吹いてくる。
「さぁて...これをどう討伐するか...」
「討伐自体はされてるがそれもゴリ押しでの勝利だ!討伐法なんてまだわからん!」
「じゃあ各自好きなように動く、これでいいか?」
俺たちは元々ソロだ。
今はパーティを組んでいるがこの1ヶ月間1人で魔物の相手をしていた。
だからこその自由行動だ。
「おう!じゃあいくぜ!」
と言ってガルドは大剣を両手で握りながらワイバーンに向かって走っていく。
俺は後ろから闇魔法のシャドウレイを放つ。闇魔法は3レベル置きに新しい魔法を覚え、これは12レベルの時に使えるようになった魔法だ。
この魔法の特性は貫通。
レーザーのように闇色の光線が相手を貫く攻撃だ。
シャドウレイはワイバーンの飛膜を突き破るが、ワイバーンは少し体勢を崩しただけで落ちてくることはない。
「ナイスかぐや!」
だが、今の体勢を崩した瞬間を狙ってガルドはインベントリからサブの武器と思われる剣を取り出し、ワイバーンに向かってぶん投げる。
「ギエェェェ!!!!!」
鳴き声キモ!
竜ってそんな鳴き声なの!?
そんな事を心の中で思いつつ近くの木にアクロバットスキルで登り、ワイバーンに向かって木刀を叩き込む。
「よし!これで落ちるだろ!」
案の定ワイバーンは地面に落下していく。
そしてその下、ワイバーンが落下する先には大剣の切っ先を上に構えたガルドがおり、ワイバーンはその大剣に胸を貫かれ光となって消えた。
「よし!いい感じだったな!」
「おう!それにしても木登る時クソ早かったな。現実で曲芸とかやってんのか?」
「あぁ、それはアクロバットって言うスキルのおかげだな」
その後も話ながら俺たちは第2の街に向かって歩いて行った。