プロローグ
2章始動
「いつか......いつか!精霊の花園に行こ!○○○」
「うん!約束だからね!忘れないでよ!」
☆ ☆ ☆
「またこの夢......僕は誰とこの約束を...」
夢の中で精霊の花園に一緒に行こうと約束した女の子の事が思い出せない。
そもそも、いつ約束したのか、何処で約束したのかすら覚えていない。
唯一覚えているのが女の子と交わしたこのフレーズ。
そもそも、精霊の花園は伝説の場所。
昔々僕が生まれるずっと前、まだおじいちゃんもいなかった時代。
ある英雄がある国のお姫様を連れ精霊の花園に行ったと言う実話があるが、今までその花園に行けた人はその英雄以来いないらしい。
「とにかく...仕事に行かないと。」
僕の仕事は門番だ。
この街アルケームの東門、《ウサギンの草原》に続く門だ。
最近...と言ってももう1ヶ月ほど経っているが、天人がこの街にたくさん来てウサギン狩りをしているのを僕は微笑ましく見守りながら危険な魔物が森の方からやって来ないかを見張る。
「今日も平和だなぁ。」
あくびをしながら剣を杖の様にして体重を支える。
「1週間前はやばかったなぁ」
ゴブリンの大群がこの街に襲いかかってきてそれを僕達街の人と天人が力を合わせて討伐した...と言ってもMVPはかぐやってエルフの人らしい。
他にも天人は何度も蘇生出来るから自ら街の人たちを庇ったと聞いた。
そして、ゴブリンによって壊された建物も率先して復興を手伝ってくれた。
「前は結構態度とか悪かったけど......今はほとんど親切にしてくれるし......」
このまま時が過ぎればいいなぁ。
僕はそう思いながら今日も1日門番をした。
家に帰り、何を思ったのか押し入れを開けて小さい頃に使っていた日記を出す。
これは母さんが文字を勉強させるために書けと言って書いていたものだ。
「懐かしいなぁ......」
僕はページをパラパラめくっていると気になるページを見つけた。
「......今日は...エルミナと遊んだ...楽しかった...」
エルミナ......誰だ...
僕の記憶の中にはそんな人物はいない。名前からして女性なのはわかるが小さい頃......
「思い出せん...」
そう心の中で言ったつもりが口に出る。
取り敢えずその日記を机の棚に置き、そのエルミナって子と遊んだって言うページに琹を挟んでおいた。
☆ ☆ ☆
「あの!!助けてください!」
「お?どうした...って住人か...!どうしたんだ!その怪我!!」
俺は持っていた回復薬を渡す。
「俺はかぐやだ。あんたは?」
「私の名前はエルミナです」