閑話 美留香side2
「結局狩れなかったねぇ。」
「しょうがないわよ、あんなに人がいたら。」
初心者の狩場、《ウサギンの草原》に行ってみたが人...特にプレイヤーの数が多くて碌に狩れなかった。
ウサギンがリスポーンした瞬間にそのウサギンに群がって殺す人々...
「怖いねぇ。」
僕は嬉々として狩っている人たちを見てそう言う。
メープルは何も言わずにその光景を見て何かを思いついたように僕に話しかけてくる。
「そういえばあんた何で倒すつもりだったの?」
もちろん!
「これに決まってるじゃないか!」
僕は両手で抱えるように持っている杖...これを振り回して鈍器のように使おうと思っていたのだ。
「そう思うと神官ってレベル上げにくいわよね。」
「確かに...」
直接的な相手への攻撃手段が杖で殴るしかないから少し相手が強くなったら倒せなくなるかもしれない。
「ふっふっふー!別に僕は回復しか使えないとは言っていないのだぁ!光魔法覚えたし!」
「あんた天使だったわね。」
「んー?僕が天使級のかわいさ?ありがと〜」
「そんなこと言ってないわよ!種族よ!しゅ・ぞ・く!」
言い忘れていたけどメープルの種族は獣人(狐)だ。
頭から狐耳がぴょこんと生えていて、お尻の少し上の部分から尻尾が生えている。
両方とも金髪の髪と同じで金色になっている。
金狐といえばいいのかもしれない。
「じゃあストンの方行ってみるわよ。そっちならまだ人は少ないかも。」
と言って今いる《ウサギンの草原》とは逆方向の《ストンの岩場》に行きストンを狩る。
最初に使える光魔法はシャインアロー、光の矢だ。
「物理には強いけど魔法には弱いってわけか。魔法使えるならこっちのほうがいいわね。」
「MP管理しないとだけどねぇ。」
このゲーム、ステータス上にはMPとかHPの表記はないが実際にはある。MPは魔力を使いすぎるとなくなり、HPもしっかりと存在するが首チョンパされると即死になる。まぁ頭とか心臓とかにダメージを負うと基本即死だ。
その後はメープルと話しながらも魔法で倒していきレベルを上げていった。
「それにしても妖術って便利だね!いろんな属性使えるし!」
「便利か便利じゃないかって言われたら便利かもしれないけど、その分魔法に比べて威力が落ちるからどっちもどっちって感じだけどね」
そんなもんかー!
その日は終わり、僕達は共にログアウトした。
次の日、ログインしてまた狩りへと向かう途中、ふと思いたち、天使の象徴たる普段はしまっている羽根を広げてみる。
「これ飛べるのかなぁ?」
メープルは今日は来れないし、僕は飛べるように練習を始めた。




