25話 最強
「よし!お主には同胞としてこの戦いで新しい技を学んでもらう!!!その技の名前は魔気ダブカストルじゃ!!」
いきなりそんな事を言い出すルミナーレさん。
「闇魔法が使えるエルフは珍しいしの。出来れば我が部下にしたい」
へぇ、どうやらルミナーレさんが言うには闇魔法が使えるエルフは珍しいらしい。
「エルフにも種類があって我達の様なエルフと、たまにダークエルフがいるが、差別などはなく単に進化先が違うだけじゃ。あとダークエルフは闇魔法の使い手が多いのじゃ」
ゴブリンが結構近くまで攻めてきているのに悠長に話すルミナーレさんは片手で「ほい。」と言いながら三重の魔法陣を展開して爆破魔法を放つ。
「じゃあ俺も」
俺は軽く気を流して次は螺旋拳を打つ。
一体のゴブリンから螺旋拳の直線上にいたゴブリンは全て光になって消えていく。
「ほう。次は貫通系の技か...それに今のは軽く流しただけじゃろうがそれでも陽炎が立ち上っておる。」
関心した様に俺の技を見る。
「よし、では魔気の練習をしようかの。まず我がお手本を見せる。しっかり目に焼き付けるのじゃぞ?」
するとルミナーレさんは「むむ!」と言いながら身体から陽炎を出し、それと同時に身体から赤色...いや紅色の何かが迸る。
「この身体から出ている陽炎はお主がいつも見ている気じゃ。そして、こっちの赤色の迸ってるやつが魔力じゃ。我の場合は得意な魔力が火魔法じゃから赤じゃな。お主の場合は黒と紫の間くらいの色じゃろう」
じゃあ複数の魔法が使える人はどうなるんだろ...?
それもそれとなく聞いてみると
「2種類の魔法が使える人は2つの色が出てくるのじゃ。例えば火魔法と水魔法が使える人なら半分赤で半分青になるのじゃ。」
ほぉ。それじゃあ全属性使える人は虹色みたいに見えるのかな?かっけぇな。
「じゃあ樹魔法はどうなるんだ...?」
「それは種族固有のものじゃ。器に樹魔法があるだけで実際に魂に刻まれてないから色は出ないのじゃ。」
そーなのか。いまいちよくわからなかったけど、色は出ないって思っとけばいいのかな?
「話を戻すぞ?魔力を出したら次は気と魔力を混ぜる。」
そう言ってからだんだんと気と魔力が混ざっていき、陽炎が赤くなる。
......これってめっちゃむずいんじゃない?
さっきから当たり前みたいな感じで進んでるけど俺...魔力出せんよ?
「この状態で...身体の中に気を流して、放つ!のじゃ!」
するとまた近づいてきていたゴブリン達に向かって衝撃波が全体に向かって飛んでいき、その衝撃波に触れたゴブリンは発火していった。
なんだあれ...?!衝撃波みたいなのに触れた瞬間燃えたぞ。
「こんな感じじゃ!今のはわかりやすくするために軽くやったが、ちゃんとやればとても強い技じゃぞ!」
ほれ、お主もやってみんか!と謎の圧を感じ、やってみる。
まず気を出す。これは出来る。いつもやっていることだ。
身体からブワッと陽炎がでる。
そこから次は魔力を出すことだが...魔法を使う時に感じるやつを......取り出す!!!
すると身体の周りに漆黒の何かが迸る。
「おぉ!それを混ぜるのじゃ!」
ルミナーレさんは座りながらそう言ってくる。
魔力を操作して気の中に入れる......混ぜる...混ぜる...
ミキサーでかき混ぜるのを想像する。
すると気は漆黒になっていた。
「その状態で放つのじゃ!!!」
「ふぅ......崩拳ッ!!!」
闇魔法の本質は破壊。
全てを飲み込む魔法。それが闇魔法。
目の前にある光景は地面はえぐれ、何キロもあったゴブリンの軍隊は1匹残らず消し飛んでいた。
「これ程か......」
ルミナーレさんはこの光景を見てそう呟いた。