03-暇だから本の虫
もうすぐ僕は3歳になるらしい
だけど子供の間は正直やる事が殆ど無いから3歳になった所で、と思ってもいる。
だけどずっと暇を持て余すくらいなら本を読んでいたほうがマシだと思って本を読み続けた。
幸い本はそこまで高い訳でもなく、位は低いとは言え貴族、だいたい欲しい物を買って来てくれた。
使用人とはいえ正直悪いとは思ってる、何しろ僕は“思考”スキルのおかげで普通の3-4倍の速さで読めるのだから。
すぐに次の本を欲しがる僕を異常に感じているんじゃないかと心配にもなるけど、頼む度に嬉しそうな顔をしていたから大丈夫なのだろう。
そんなある日に数日ぶりに父が戻って来たかと思うと僕の3歳の誕生日パーティー兼お披露目会をするとの事。
正直面倒だけど父曰くご飯を食べながら同じような歳の他の貴族の子と話したりするといいとの事で
「まだお前には貴族の欲望渦巻くようなパーティーなんて早いからな」なんて言っていた。
欲望渦巻くパーティーなんて怖くて僕には行けないよ・・・。
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シンクにはお披露目会の事を説明したが、それでも私には気になることがある。
勿論、シンクのスキルについてだ。
“思考”スキルというのがどういった効果を持つのか私には分からないが、そのままの意味だとおそらく戦闘には役立たないだろう。
貴族の子供と言えば将来は騎士や王宮魔師になるものが多い、私の貴族としての格は低いからおそらく自分の実力で就職先を見つける事になるだろう。
だが、この世界は甘く無い。
戦えない者に貴族の位や貴族職は与えられないからだ。
貴族で無くなってしまえば待つものは平民としての人生、勿論私が個人的に生活の援助を行う事は許されているし、そういった子供が出た場合それは推奨されている。
なぜなら知識や腕が平民と比べると圧倒的にそれでも元貴族の方が優位に立っている。
そのせいで元貴族のプライドが原因で犯罪に走り死罪になったものも過去に多くいたからだ。
それに貴族職は貴族でなければなる事が出来ない、ごく稀に平民であっても優秀な者はなる事が出来るが数年に一度あるかどうか、そんなレベルだ。
今のシンクだと十中八九貴族位を剥奪されるだろう。
成人するまではなんとかなるが、それ以降は運次第だろう。
私としてはシンクが幸せならそれでいいとは思っている、だが、あと数年もすれば学園に行かせる事になり、おそらく出来損ない貴族だなんて言われると私は考えている。
貴族の子供とはいえ純粋なのはよくて3-4歳までだ、それを越えれば貴族らしい人間性に少しずつなっていくのだ。
そうなると自分の能力を示せるようにならねばならない。
そのために少しでもシンクの力になるよう、家庭教師なども考えたほうがいいかもしれないな。
幸い時間ならまだ沢山あるのだから。
少し解説です
現段階では判明していませんが、スキルのうち
職業スキルと呼ばれる物には成長するものがあります。
剣士のスキルを持ちランクアップした場合
剛剣士、細剣士、双剣士のように特化した職業になる事がこの世界では確認されています。
さらに職業の種類も少なめで基本が
剣士(剣や槍を主に使用)
拳闘士(既やナックル等を使用)
弓士
魔術師(回復か攻撃かは覚えている呪文により異なる)
盗賊(犯罪者ではなくトラップや毒を利用するトリッキーな職業で罠の解除も請け負う)
上位職業と呼ばれるものもあり、その種類はあまりに多い、賢者や剣聖、勇者を含めた
ランクアップ職も上位職にあたる。
戦闘能力では基本職と上位職との間にはとてつもなく大きな差が存在しているため、よほどのことがなければ上位職が勝つ。