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序章 第五話 デュアルブート・マギカ

- 三日後 -

ミリアはミズホ卿お抱えの剣闘士の専用区画にいた。


貴族に力量を認められた剣闘士のみが使用出来るVIP待遇の施設である。ただし、首に奴隷刻印がある限り、この区画から出ることはできないが。


次の闘技会開催まで - グレゴリオ杯 - まであと7日間ほど猶予があった。


コロシアムの運営パターンは、5日間興行、10日間は野生の獣の補充や、戦士の補充期間として過ごすことになっている。


そして、ミリア(絵美里)はかなり困っていた。

(術式をどうしよう…魔術はあるけど、文明が違いすぎて術式乾板も使えないし…)


ミリアの体内、心臓の近くには、天然の核石が存在している。

それは、早い段階で自身(ミリア)の魔力回路に問いかけた時に理解できた。

(それにしても、これが今の私なのね…)

金属を磨いた鏡には、銀髪で耳の長い少女の姿があった。


28歳から14歳へ、日本人から…

もっと言うならば地球人から異世界人へ、


そして死者から生者へと。


望んだものではない。

しかし、結果として再び生きることが出来た。


自分のためにも、この身体の元の持ち主のためにも、生きたい。


しかし問題はこの先、生き抜くことが出来るかにある。

(ミリアさんの知識を見ると、主に詠唱によって魔術を発動していたみたい…でもこれだとシングルタスクになっちゃう)


マルチスペルなど小説にはあるが、現実には人には魔術行使の演算回路は一つしかない。


魔術の重ね合わせ、デュアルブート・マギカ(二つ以上重ねてもデュアルブート技術と呼ばれる)は、絵美里の世界であれば写真技術の応用で人工的に構築された積層魔術回路を介して行われる。


この制御機構をDBM と呼ぶ。近年は小型化が進み、スマホにも搭載されていた。


フィジカルブーストを使用しながら、DBMの支援を受けて火炎の魔術をもちいたり、本気で戦闘をするなら必須の技術とも言える。




「さっきから百面相が著しいが…行き詰まっておるようだの」

西の大賢者は、先ほどから同じ部屋で、大量の書類を書いていた。


「何を書かれているのですか?」


「元凶のくせして、何を言うておる」


「元凶?私がですか?」


「そうじゃ!無造作にポンポン新たな魔術式を書くでないわっ!書き取る身にもなってみい」


「はぁ、すいません」

(初歩的なものばかりだったんだけどなぁ…でもまあ上司みたいで新鮮だわ)


ここではスペルエディターもメモリーカードも使えないため(そもそもPCなどない)忘れないうちに紙に書き出していたのだ。


そこでミリアは一つの事実に気付く。

「えっ!?レオナルドさん? さっきから文字が消えてってませんか?」


「何を言うておる。こんなとんでもない魔術式、誰にでもわかる形で、城の書庫に収められるわけがなかろう。禁呪とまでは言わんが、研鑽の足りぬ者が使えば間違いなく死人がでるわい。隠蔽用のインクを使っておるのだ」


「えっ?私の術式…そんなに酷かったですか?」(ちょっと凹む…そっか見えなくするのか…隠蔽? それだっ!)


翌日にはミリアの希望したインクが届いていた。

持ち込んだミズホ卿は、ミリアのあまりの喜びようにたじろいでいた。

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