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序章 第三話 戦いの記憶

目を覚ましたものの、蘇生直後は血が充分に戻っているとは言えず、今は強い目眩におそわれていた。


「ゴフッ」と血を吐けば、世界が紫に染まり絵美里は意識を手放した。


「ふむ…まだ安定せぬか…

騎士の方々、この者の身体を清めお渡しいたしますゆえ、しばし外にてお待ちを」

「…うむ、早くするのだぞ」

「卿の命令あらば早急に」

施術官が深い礼をとったのを見て、部下の騎士たちは隣の待機部屋に移った。


モンスターと戦っていた。やけにリアルでゲームとも思えない。

何物をも粉砕せんとする鋭い爪が振り抜かれ、こめかみを掠める。


そこで痛みを感じる。


夢…ではない。

これはこの身体の記憶だ…


紙一重で回避し、敵の懐で沈みこむように鋭く旋回、剣の切っ先を下から上へ、斜めの太刀筋で脇腹から胸を通り、首に深い傷を与える。


だが

牛頭の怪物は(神話やゲームに詳しい者であれば、ミノタウルスと呼ぶであろうもの)

上体を後ろに反らし、すんでのところで致命の一撃を回避した。


同時に彼女は太刀筋に反することなく、身体を回転させ、瞬間的に加速すると、

狂ったように振るわれる爪の暴風圏から逃れることに成功する。


ミノタウルスは上半身血塗れではあるが、戦意は衰えていない。


睨みあうことしばし。


ミノタウルスが間合いを詰めるべく、土煙を上げながらダッシュ、それに対しカウンターを狙い、三歩の距離を一息で詰める。


剣でするどく刺突。


ミノタウルスの背中からは剣がはえ、この身体には深々と爪が刺さっていた。


やがて、両者はその場に倒れふし、体温を失う。


寒い…とても寒い…


記憶はそこで途切れていた。

実に、この短期間に二回も「死」の経験するものなど、そうそうおるまい。


ゆっくりと意識が浮上する。


遠くで話し声がする…?


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