間違い探し♪
「なんでそんな、妙な顔してるの?」
素敵な、嬉しい話を聞いたその翌日。
すっかり気を良くした私は、結衣を誘ってランチに出かけた。
とても気分がいいから、ちょっと豪華なお店に連れて行くことにした。
今日は私が奢ってあげるわ、と申し出たところ、不審者を見るような眼で見られた。
そりゃね。普段の私は1円だって曖昧にしないワリカン会計がモットーだから。
別にケチな訳じゃなくて、お金が絡むと人間関係って面倒になるからよ。
「……別に……」
結衣はおしぼりでせわしなく手を拭きながら、なぜか視線を泳がせている。
「ねぇねぇ、ちょっと聞いてよ!! 実はね……」
「……え、和泉さんと……?」
「そうなの!! とうとうやってくれたのよ、ウチの班長!!」
「へぇ~……よかったじゃない」
何よその反応。
もうちょっと、自分のことみたいに喜んでくれたっていいじゃない。
「ねぇ、何を着て行ったらいいと思う? 買い物に行きたいのに、全然時間がないよ~」
「……」
「結衣ってば!! 聞いてる?」
「え? あ、うん……」
何考えてるのかしら、この子。
思えば昔から、ちょっとボンヤリした子だったわ。
警察学校にいた頃は、この子に足を引っ張られて余計な罰則を科せられたことも何度となくあったのよね。
ま、今となっては思い出だけど。
「ねぇ、それより結衣。和泉さんの好きな色って知ってる?」
「色……?」
「何よ、知らないの?」
ムリかしらね。この子、和泉さんに興味ないし。
「お願い、聞いてみて!!」
はいはい、と面倒くさそうに結衣はカバンから携帯電話を取り出しかけたけど、
「……ああ。そういえば確か、紫って言ってたような気がする……」
紫? また難しい色ねぇ……。
あ、でも。
ラベンダー色なら同系色だからありかも。
よし決めた!!
ラベンダー系のワンピースにしよう!!
バッグと靴は……まだ一度も使っていないものがあるし。
あ、コートどうしよう!?
今からクリーニングに出して間に合うかなぁ。
あとは……あと……。
もし、もしもそんなことになったら、どうしよう?!
「……郁美……」
「……何よ?」
「顔が赤いし、表情が……すごく怪しい……」
気がつけば、まわりの視線を集めていたみたい。
いけない。
気を取り直して、楽しい予定のことを考えよう。
エビ太を見つけてみましょう(笑)
3匹います。
すぐわかるって……。