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緊張感はどうした

 広いお家だわ……。

 天井も高いし。


「モミじー、これ見て!!」

 リュウトは大人達の緊張状態などまるで意に介していない様子で、絵本だのアルバムだのを持ってきて私に見せる。


 不思議なことに、随分と懐かれてしまったようだ。


 リビングには隆人りゅうとの父親と母親が渋い顔をして、立ったままでいた。


「……今日は祖父……私の父の家に泊まりにいくという話だったんですが……」

 時々、聞こえてくる会話に耳を澄ませる。


「急に父の都合が悪くなって、今夜中にこちらに帰すと言って……車でここへ送ってくれると言うから心配もしていなかったんです。予定していた時間より少し遅いから、心配はしていました。それで、父に電話をしてみたんです。だけどつながらなくて……子供達はいつまでも帰ってこないし、どうしようって……」

 混乱していたところへ、私達が長男を連れて帰ってきたっていうことね。


 さっき、ちらりと隆人が見せた紙切れを私も見た。


 古い手口というか、雑誌や新聞の文字を切り抜いて張り合わせた、それはそれで見た目に不気味な脅迫文だ。


【子供は預かった。返して欲しければ、連絡を待て】


「それらしき電話はまだ、かかってきていないのですね?」


 隆人の両親はやや揉めていたけど、和泉さんがどうにか説得したみたい。


 それから110番ではなく、彼の携帯から直接、誰かに電話していた。


挿絵(By みてみん)


 通報を受けてやって来たのは捜査1課特殊捜査班の北条警視。驚いたことに宅配業者のコスプレをしてやってきた。


 テレビで見たことがあるわ。


 警察に通報するなって必ず誘拐犯は言うけど、そんな訳にもいかない。だから刑事は家に上がっても不自然ではない業者の格好をしてやってくるのよ。


 ちなみに強行犯係は既に起きた事件の後を追うのが仕事だけれど、特殊捜査班は現在進行形の事件を扱う部署。


 知識としては知っていたけれど、実を言うと私は、誘拐事件の捜査現場に立ち会うのは初めてだ。


 見たこともない機器が電話やパソコンにつながれて、何本ものケーブルがタコ足配線になっている。


 それにしても。


 ……なんか人数が少なくない?


 テレビドラマで見た時は、広いリビングに十数人いた記憶が。


 今いるのは和泉さんと、特殊捜査班の隊長とあと一人だけ。


 少数精鋭なのかしら?


 それにしても……私にはどうしても違和感が拭えなかった。


 なんて言っていいのか、微妙に緊張感が足りないのだ。


クロネコヤ○ト……ではないはず。

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