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微睡み

作者: 奈倉 紀


朝、目が覚めて、時計を見る。

……まだ6時だ。

目覚ましが鳴るのは6時半。もう少し寝ていられる、なんて、まだ夢心地の頭で考えて。

そうして夢か現実かわからないまま少しの間ふわふわしたような微睡みに溺れる。


目覚ましが鳴った。

平日の二度寝という儚い時間に後ろ髪を引かれつつも、温かなベッドにへばりつく身体をゆっくりと起こし、はぁ、と溜め息をつく。

昨日準備した制服にだらだらと着替え、スマホをいじりながらパンを口に放り込む。あまり美味しくない。口の中の水分が吸い取られて、気持ちが悪い。仕方なくコーヒーで無理やり流し込んで食事を終わらせる。


7時30分。お弁当をカバンの中に入れ、忘れ物がないか確認する。もうこの時点で憂鬱なのだが。あぁ学校へ行きたくないな、なんてボヤきながら、7時40分。だらしのない声で「いってきます」と母に言って、玄関を出る。

あー…今日は晴れか…なんて考えながらエレベーターのボタンを押して…あぁやだ考えたくない。


駅まで約10分の道程。

ふと花の香りが、つん、と鼻腔を刺激した。

花…?こんなところに花なんてあったか、と周囲を見渡して気がついた。

信号手前のガードレールに花束が供えられていた。その下にはお茶やジュースの缶なんかが置かれている。

…この辺りで事故があったのか。

なんて亡くなった人への思いを馳せてみたが、たった一瞬。私はスマホへと視線を戻し、歩みを進める。




その時、キィィという車の急ブレーキの音と共に、私の体は宙を舞った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 短編小説ならではの纏まり素敵です。 冒頭が始まった頃は「分かる二度寝いいよね」とのほのぼの感じていて、それが続くと思っていました。ほのぼのな日常かなぁと。 それなのに、結末は驚き。驚き…
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