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竜になった少女:邂逅Ⅵ

 とある伝承では、竜は巨大な生物としての身体を持ちながら、現し身として人間の身体も持っていると記されている。忌々しいことにヤツがそうだったから、この伝承は事実なのだろう。

 そして、目の前に居る竜を自称する彼女もまた、本当に、竜なのだろう。

 

「……お前は、竜、なのか」


 構えを解いて、少女に訊く。私の言葉を肯定するように、少女は微笑んだ。

 少女の背後で浮いて居たデカブツは、少女の傍らにその身を下ろし、とぐろを巻いて鎌首をもたげる。


「はい。私は“個体番号D-ⅩⅦ“、コードネームは“海女帝ティアマト”。ですが、先程名乗ったように、“レヴィア”とお呼びください」


『いつか、相棒となる竜と、必ず出会うだろう』

 ヤツの言葉が脳裏を過る。

 あぁ、クソ。ヤツの言うとおりになったのが腹立たしい。でも、まさか本当に、竜と出会えるとは。


「レヴィア……お前は、私を運命の人とか言ってたよな。つまり、それはどういうことだ」

「わたしは、竜として貴女と供に在ることを望みます。わたしの、“竜騎士”になってください」


 レヴィアは僅かに膨らんだ胸に片手を添え、恭しく頭を下げた。それに呼応するようにデカブツは翼を閉じて頭を垂れた。

『君には竜騎士となる素養がある。竜騎士となれば、僕を殺せる力が手に入る!』

 ぶるりと身が震える。力が、手に入る。ヤツをコロせる力が、手に入る。


「つまり、お前は、私の仲間になりたいってことか?」


 抑えようとしても、つい声が上ずってしまう。復讐に欠かせない力が、今、手に入る状態で目の前にあるのだ。落ち着くのも無理な話だ。


「仲間、ですか。……こんなわたしの事を、そう呼んでくださるのなら、これ以上嬉しいことは、ありません」

「そうか。……じゃあ、お前は、わたしのために協力を惜しまないか?」

「もちろんです。竜騎士のために己が能力ちからを振るう。それが、竜たるわたしの存在理由ですから」

「私の目的が殺しでも?」

「当然です」

「あはっ、即答か。じゃあ、竜でも殺せるか?」

「貴女に呪いをかけた竜、ですね。……愚かな同胞。“お母さま”は『殺してもいい』と仰っていました。だから、殺せますよ」


 ぞくぞくと、脳天から爪先まで痺れる感覚。狂喜。今までの人生の中で、これほど喜ばしいことがあっただろうか。いや、無かった。間違いなく、最高だ。ヤツを殺せる! 昂ぶる。滾る。感情。抑えられない。殺す殺すコロす。今すぐに、殺す!


「あぁ、あぁ! あハァ! やったぞ! ハハッ! ヤツをコロせる! あハハッ、あははははッ! なぁ、レヴィア、すぐに行こう! ヤツを、殺しにさぁッ! あははははははっ」




 ――Elice in end of the wolrd――




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 >2987.04.11.09.54個体番号D-ⅩⅦ思考ログ

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