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ヤンデレ美少女を攻略してリア充ライフを送りませんか?

作者: 八十島 亟麥

小説初投稿です。勢いで書いてしまいましたすみません(∩◉﹏◉∩);:アアア

「あの…15年前からずっとずっと好きでした!私と付き合ってください!!」


 重い。重すぎる。


 高2の冬。俺の幼馴染の女子である古石ふるいしこのみからされた(1時間に渡る)告白(のごく一部を抽出したセリフ)である。

 一万年と二千年前から〜というのは過言だが、彼女の恋心は16ポンドのボウリング球に匹敵する重さだと確信した。我ながら上手い例えだと思った事は心の奥底にしまっておこう。


 彼女が言う事には、俺達は高校2年で同じクラスになってから初めて知り合ったものだと勘違いしていたのだが、実は生まれた病院が一緒らしい。その後も幼稚園を卒園するまで2つ隣の家に住んでいて、毎日のように見かける幼少期の俺を恋い慕っていたと語る。

 

 …いや、そんな馬鹿な話があるか。第一、生まれた病院が一緒なのを好きな理由に挙げる時点でどうかしている。


 若干17歳の俺を15年前から好きだなんて、どこの熟女かと思えば未だ誕生日を迎えていない16歳の同級生。こんな馬鹿な話があるか(2回目)。


 以上の事より、俺は告白を丁重にお断りする事にした。その筈だった。


「あのさ、気持ちは嬉しいんだけど…」

「嬉しい…?」


 おや?彼女の様子がおかしいぞ?▼


「ありがとう!!じゃあお互い彼氏彼女って事で仲良くしようね!!ゆーくん大好き!!!あ、時間だからまた明日ぁ!!!!!」


 こうして"ゆーくん"こと俺、山刀伐なたぎりゆうの暗黒の青春が始まったのであった。


 その翌日。


「おはよう、ゆーくん!」


 雪が降り積もった朝の自宅の前に、およそ半日前に見たばかりの和かな笑顔があった。


「あら!遊ったらこのみちゃんと…早く言いなさいよー」

「か、母さん…」


 玄関から顔を覗かせていた母は、幼少期の彼女の事を知っていた。どうやら前日の話は本当らしい。が、付き合っているのは誤解である。


 動揺を隠せないままいた俺に、彼女は満面の笑みを浮かべて、

「行こっか、ゆーくん♡」

 と、エナメルバッグを掛けていない俺の右側の腕を抱き寄せる。

 必然的に彼女の胸が触れるが、気にしていられる心境ではなかった。前日からの流れを見ればもはや強制労働、近隣の方々へ見せしめる公開処刑である。


 …とは言うものの、


 学校での彼女はとても面倒見が良く、容貌も女子高生としてはかなり美しい。男子からも女子からも人気のある、一昔前で言う(失礼)マドンナ的存在だ。

 そんな彼女が俺と手を繋いで学校に入る(決して離してくれない)となれば…


「お、お前、古石と付き合ってたのかよ!!」

「なんだ?夫婦で揃って登校ってか?」

「山刀伐くんって肉食系だったんだね…がっちり手繋いでる…」

 クラスメイトの反応も当然だ。


「知らねぇよ…コイツが無理矢理…」

 と説明しようとした瞬間、このみは俺の右腕を力一杯抓る。

(痛ッ!!)

 そのあまりの強さに声にならない声が出る。


「昨日ゆーくんに告白して、付き合うことになったんだーえへへ♡」

 決して彼女にOKのサインは出していない。政略結婚より意地が悪い。


 しかし、


 小ちゃくてワガママばっかり垂れる(頭弱そうな)女子であれば苛立っていたが、普段は優等生キャラの彼女が自分に対してこのような態度をとるのは、特に悪い気はしない。色恋沙汰には興味が無かったが、暫くはこのままで様子を見る事にした。


 が、昼休みに悲劇が起こった。


 俺は自分の席で弁当を食べていた。彼女は3つ前の席だが、その時は席を外していた。

「山刀伐が古石さんとくっつくなんてねぇ、想像もしなかったよ」

 隣の席に座る神田かんだ美沙みさがそう話しかけてくる。彼女は高1からのクラスメイトで、お互いサバサバした性格からか話し相手になる事が多い。

「まぁ…あっちから寄ってきたんだけど」

「良いじゃん。古石さんスタイルも良いし、そんな躊躇う要素無いでしょ?」

 そんな風にいつも通り長話をしていたら、美沙の肩越しに廊下からこのみが呼んでいるのが見えた。

「あ…ちょっと行ってくる」

「彼女さんのお呼び出しか、行ってらっしゃい」


 このみの後ろをついていくと、着いたのは階段の踊り場。普段は生徒の使わない階段で、今日も人気は全く無い。

「どうした、こんなところ呼び出して…」

 俺が聞こうとした途端、彼女は笑顔で振り向き


 ガッ!!


「…ッ!!!」

 俺の首を両手で絞め、全身を壁に抑えつける。

「なに…すn…だッ…!!!」

 彼女の腕を退けようとするが、簡単に外せない。明らかに"殺意"が込められている。


「ゆーくん、さっき美沙ちゃんと楽しそうに話してたね…昨日告白した時、私の気持ちが嬉しいって言ってくれたのに私の事見ててくれないの?私がいない時でもずっと私のこと思っててくれないの??ねぇ私だけを見ていて???」


 意識が朦朧とし始める中、彼女の異常さを知った。俗に言う「ヤンデレ属性」を持っているのだ。彼氏彼女が永遠に自分のものになるのなら殺したって構わない。そして殺されかけている俺。


「気持…ち…"は"…嬉しい…だ…!!!」


 この時の俺は意識と共に判断力も失っていたらしい。ツッコむ箇所が違う。


「えっ…」

 途端に彼女は両手の力を抜く。俺は全身に力が入らず、その場にしゃがみ込んでしまった。


「ありがとうゆーくん…私だけのゆーくん…これからもちゃんと私の気持ち伝えるから…」

「あぁ…あぁ……」

 言うまでもないが、この「あぁ」は承諾の意義ではない。呼吸を確保するのに必死なのである。


 その後、彼女はいつもの態度に戻ったが、殺人未遂を犯した事を気にも留めていない。もちろん、その事に気付く同級生もいない。一体、なんて人を彼女にしてしまったんだ。


 …俺はこのみが好きだと言った記憶はないが。


 その日は1日、彼女との事で頭が一杯だった。考えすぎて頭痛もしてきた。


 その果てに、彼女の"殺意"のように人倫の道を踏み外しかねない感情が湧いてきた。


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


 …そうして何度も殺されかける内に1年が経った。あまりにもその回数が多すぎるので1年間の出来事は割愛する。


「美沙、おはよう」

「山刀伐…お前もそろそろ懲りないのか」

 このみが側にいる時に他の女子と話すと、すぐさま俺の首を絞めてくる。

「あぁ、お陰で首の筋肉がついた」


 昼休みには、毎日手作り弁当を用意してくれる。それもフルコースで。毎日胃が破裂しかけるまで食べさせられる。

「ゆーくん、美味しい?」

「あぁ、美味しい」

 母の弁当も残すわけにはいかない。毎日3人前並みの昼食を食べている事になる。首を絞められて酸欠になる時にかなりカロリー消費しているのだろうが。


 帰り道も当然の如く、彼女は腕を抱き寄せて離さない。その強さ故に腕が鬱血するのは日常茶飯事。しかし、

「ほら、そっちは危ねぇぞ」

 自ら道路側に移って彼女をエスコート出来るようにまで成長した。


「ゆーくん…なんか1年前と変わったね」

 彼女は感心したように呟いた。


 告白されたあの日から、彼女の恋心の重さは知っていた。

 だが、初めて殺されかけた日。

 俺の中で、人倫の道を踏み外した新しい感情が芽を吹いたのだ。



『女子に殺されかけるのって…アリかもしれない…』



『それに、彼女が幸せになるのなら自分の命だって懸けられる…』



 人は、脳が酸欠に陥ると快感物質「ドーパミン」を発生するという。幸か不幸か、彼女に首を絞められた時にそれが過剰に発生してしまい、このような感情が生まれたのだろう。確信は無い。



「ゆーくん、もうすぐ卒業だね…離れ離れになっちゃうの…?」


 実は、告白された時にはこれを頼みにしていた。どうせ卒業してお互い離れれば、自然と気持ちも離れるだろうと。


 でも、今は違う。


「俺は、離れてたってこのみのことを思うよ」

 臭いセリフだ。恥ずかしくなる。


「嬉しい…」

 彼女はそう言うと、らしくもなく俺の腕を離れて静かに目の前に立った。


「どうした?」

 俺がそう聞くと彼女は、

「目…瞑ってて」


 俺は言われた通りに目を瞑った。


 彼女の気配が近づいてくる。


 季節は告白された時と同じ冬。彼女の温もりがより強くじわりと伝わってくる。


 これは…まさか…



 プスッ



「痛ッ…」


 彼女に、首筋に何かを刺された。痛かったのは刺された瞬間のみだったが、まだ違和感が残る。彼女は右手に注射器のようなものを持っていた。


「おい…今何を…」

 変わらず満面の笑みを浮かべる彼女に恐る恐る聞いた。一体、何をしたのか。


「え?」

 すると彼女は、俺の耳元に口を近づけて言った。吐息が直に肌を伝うように。


「…GPS発信機」



 どうやら、俺は生涯を彼女に捧げる事になったようだ。



 ―――皆さんも、ヤンデレ美少女を攻略してリア充ライフを送ってみませんか?

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[一言] 何も改善されてない。こわー!
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