逃げ道
罪と言う名のついた人間を斬った。
斬って、斬って、どれだけ斬ったろう・・・?
どれだけ見て、どれだけ
あびたろう
真っ赤な血を・・・
そして、今日もまた・・
−光来−
「や・・・やめてくれっ!死にたくない」
「お前は、”罪”という名のものに手を出した」
「そっそれは、はめっ・・ぐはっ」
ドサッ
カタン・・・
最初からわかっていたことだろう
最後には、こうなると
刀を鞘に収める。「あっ!いた光来隊っ・・・
「ごめん・・後 片付けといてくれ」
「はい」
汚れた・・・
俺は、赤くなった手と団服を見つめる。
もう 慣れたことか・・・罪を犯した者は、誰であろうと関係無い。
ただ・・・斬る。
だけど、たくさんの数えきれないほどの人を斬った俺は、・・・”罪”では、ないのだろうか?
「光来っ!」
いきなり、名前を呼ばれ振り向く
「沖田さん」
「お前、勝手に居なくなるんじゃねぇ」
「すいません」
「今日は、引き上げるぞ お前もひでェカッコだしな」
「はい」
彼は、沖田夕[おきたゆう] 今でいう警察のような仕事をしている俺ら団の団長だ。
「貸せ ジャケット」
「え?」
「いいから」
俺が血のついた団服のジャケットを脱いでわたす。
「コッチ 着てろ」
そう言って 沖田さんは、自分の団服を俺に持たせる。
「コレ・・沖田さんの」
「俺が着てろって言ってんだからいいんだよ」
「は〜い」
沖田さんの団服を着る。
「デケェ・・・」
「それは、お前が小っせぇからだろ」
「俺は、小っさくねぇ」
「俺からすりゃ小っせぇの」
172センチメートルの俺と180センチメートルの沖田さん。
確かに、背は、俺のほうが小さいけど8センチメートルじゃん・・・・
「俺のが17だから若いですよ」
「アホか 俺も25だから若いんだよ それに、お前は若いんじゃなくてガキ」
「ガキじゃ・・・・・あぶねぇ」
沖田さんの顔が近づいてきて、俺は、とっさに自分の唇を手でおおう。
「・・・なんで、キスさせないんだ?」
「後でそのへんの一般市民から苦情がくるじゃないですかっ!団服着てるのに」
「見てねーよ」
「見てますって 早く帰りますよ」
ハァ〜疲れた
俺は、頓所の自分の部屋で団服から着物に着替える。
沖田さんに返しにいかないと・・・・
部屋を出て 沖田さんの部屋にむかう。
「あっ 矢吹[やぶき]」
「光来隊長?何ですか?」
「さっきは、処理ご苦労だったな」
「いえ それより よかったです」
「なにが?」
「団長 光来隊長がいなくなったって言ったらすっごい不安な顔して すぐに走って捜しにいったんですよ」
「あの人が?」
「はい で、見つかった時は、安心した顔してました」
「ふーん あの人が・・・ね」
「あっじゃあ俺これで」
「おう」
ペコッと頭をさげて 去っていく。
矢吹は、俺より歳が1コ上だ。だけど 敬語を使うのは、俺が隊士の中で、隊長をしていて、矢吹は、隊士の中の1人だから。
−沖田−
「報告 ご苦労だった もう退いていいぞ」
矢吹が俺の部屋で今日の報告をしている。
「光来隊長って強いですよね 俺より歳下なのに 隊長なんて位について、任務をこなして」
「アイツは、強くねぇよ団の中で、1番歳下だから足手まといにならね−ようにガキらしい物 全部 押し殺してるだけだ」
所詮ガキなんだよ・・・
「言ってあげないんですか?お前は、荷物になんかなってないって、弱音吐いたっていいって」
「んなもん、自分で気付かせるべきだろう」
「そうですけど 言ってあげないとわからない事だってあります
光来隊長なら尚更そうで
すいません 口が過ぎました」
「いや お前の言うとうりかもな・・・」
−矢吹−
「失礼しました」
・・・大丈夫かな
だけど きっと、光来隊長が弱音吐いたり出来るのは、団長だけだと思うから・・・
−光来と沖田−
「失礼しまーす 沖田さんコレありがとうございました」
「光来 そこ座れ」
「説教なら身に覚えがありません」
「いいから座れ」
渋々 指定された所に座る
「何ですか?」
「光来 辛いなら辛いって言え 辞めたいならこの仕事辞めてもいい」
「ふざけんなっ!俺は、辛いとか一言も言ってねぇ」
「隠してるだろう だから無理にしなくていい、辞めたいなら辞めたって・・・」
「なんで、そんな事言うんですかっ!俺がいらねぇからですかっ!?
俺には・・・ココしかねーのに・・・・・」
怖い・・何が?・・・
「光来」
「離せっ俺は、アンタなをかっ・・・」
俺は、光来を抱きしめ、優しくキスをする。
「誤解するな、俺は、お前が大事だから言ってんだ!お前が辛そうなの、見てるのは、キツイ・・」
「だけど・・・」
「お前が辞めたって、みんな責めたり、離れたりしねぇよ」
わかった・・・1番怖かったのは、アンタから離れる事・・・・
「傍に居たい・・・アンタやみんなの傍に・・」
「それじゃあ 今度からは、ちゃんと言いたい事は言え 続けられるように」
「沖田さん、もし、いくとこねーのに俺が仕事辞めてたらどうしたんですか?」
「そんなの決まってるだろ 俺がかってやるよ」
「何プレイですか?」
「ばぁか 何がプレイだっ」
「だって、プレイでしょう かってやる なんて」
「あーもうウルセー寝ろっ」
「はいはい」
その夜は、沖田さんがずっと抱きしめててくれた 逃げても アンタと一緒にいられるなら、
がんばれそうだ。
終劇
最後まで読んでくださってありがとうございました。