出会い
なぜ...?
私は普通に生きて普通に笑って。
そんな生活を夢見てきた。
なのにこんなの酷すぎるよ...
神様がいるならば私はあなたを一生恨み続けます...
私の名前は渡辺美咲。
普通の女子高生。15歳。3月18日生まれ。
母子家庭。父は私が小さいときに交通事故にあって死んでしまったらしい。
すごくやさしくて家族おもいな人だったと母はいつも言っている。
昔、写真を見せてもらったことがある。
私を抱きしめてくれている写真。
幸せな雰囲気が滲み出ていた。
いつもお母さんに苦労をかけてしまっている。
昼はスーパーマーケットで、夜は飲み屋で働いている。
その穴を埋めるように家事は私が全部やっている。
勉強も周りの人以上に頑張って市内でも一番頭がいい
A高校に行った。お母さんはすごく喜んでくれた。
お母さんの笑う顔を見るとなんでも頑張れた。
なのに...
それなのに...
今日は学校なのに寝坊してしまった。
家から学校までは30分ぐらい。
バスだとお金がかかってしまうから
いつも自転車で行っている。
お母さんはもう働きに行ってしまっている。
いつもはお母さんが起こしてくれているけど、
今日は早番で早くに仕事に行ってしまった。
昨日あんなに寝坊するんじゃないよといわれていたのに...
急いで自転車を飛ばして学校へ行った。
教室に着いたけど入りたくない。
今は2時間目の授業中。入ればみんなの視線が痛い。
あと15分で授業は終わる。
次の授業から出ることにした。
こんなところにいたら先生に見つかってしまうから
とりあえず中庭に行くことにした。
中庭は桜がきれいだから休み時間になるといつも来ている。
ベンチに腰掛けてずっと桜を見ている。
でも今日はいつもと違う。
ベンチに知らない男の子が座っている。
私は一瞬帰ろうかと悩んだが、
今日は天気が良くて桜がすごくきれいだったから
ベンチに座らないで立ったまま桜を見ていた。
すると男の子が私に気づいた。
男の子はかわいい顔をしていて見たことのない顔だった。
「ここ座りなよ」
そう言ってベンチの開いているスペースを叩きながら手招きしている。
私は一瞬躊躇したが、せっかく言ってくれているのに
失礼だと思ってそっとベンチに腰掛けた。
「サボったの?」
「今日遅刻しちゃってもうちょっとで授業終わるからもういいかなーぁって」
「そっか。」「うん」
そこで会話は途切れてしまった。
わたしは彼の瞳しか見れなくなった。
なぜかほかのところはみたらいけない気がして。
ずっと彼を見つめていた。
「どうかした?なにかついてる?」
そこで意識が戻った。今考えたら恥ずかしいことをしていた。
知らない人のとこをこんなに見つめるなんて。
「あぁごめんなさい...」
「謝らなくていいよ」「はい...」
「僕さぁ今日転校してきたんだけどなかなか慣れなくってさ」
「そうだったんだ!だから見たことない顔だったんだ」
「名前なんていうの?」「渡辺美咲です」
「そっか。僕は相原太一!D組なんだ」
「私も同じクラスです!」
「本当!?やったぁ!仲良くしてね♪」
「はい!よろしくお願いします」
「なんで敬語つかってるの?タメ口でいいよ」
「え?あぁわかった」
「うん」
キーンコーンカーンコーン
中庭にチャイムが鳴り響いた。
もうちょっとこの人と話していたい。
そう思った。それを読み取ったかのように
「もうちょっと美咲ちゃんと話してたかったな」
そう彼が言った。すごく嬉しかった。
まだ名前とクラスしか知らないのに
なぜか私は彼に惹かれていた。
「教室戻るか」
そう彼が言った。
「そうしますか...」
「どうしたの?元気ないね」
「まだあなたと話したいなーって思って」
「え?」
自分でもビックリした。この人の前ではなぜか素直になってしまう。
「じゃあもう一時間サボるか」
「え!?本当?」
「うん。」
「それと僕のこと太一って呼んで」
「わかった!美咲って呼んでね」
「はーぃ」
それからいろいろなことをしゃべった。
中学のときはバスケ部だったらしい。
今は入るかどうか迷っている。
2人兄弟でお兄ちゃんが居る。
お父さんが銀行で勤めていて、お母さんは専業主婦。
家は一軒家。学校からは結構近くて歩いて10分ぐらいで着くらしい。
そんなたわいもない話をした。
ほとんど聞いてばっかりだったけど、すごく楽しかった。
それからまたチャイムが鳴ってしまった。
さすがにもうサボれないので教室に行くことにした。
「一緒に行こうよ」
「うん」
教室に着いた。
先生が「相原君!どこ行ってたの!渡辺さんは遅刻したの?」
「悪い悪い。ちょっと腹の調子が悪くてさぁ保健室行ってたんだよ」
「ごめんなさい。遅刻しました」
「そうですか。早く席について!もう次の授業始まるから」
「はい」
太一君ってあんなしゃべり方するんだ。彼をまた一つ知れた気がして
なぜかうれしかった。
「なにニヤけてるの?」
「え?なんでもない」
「変なの~」
「気にしないでよー」
私こんなに笑ったの久しぶりだな...
席に着いた。
そういえば私の隣って空席だったよな。
隣に居るかな?そんなわけないか。
そう思いながらも隣をゆっくり見た。
そこには笑いながらこっちを見るあなたがいた...
「やったね!隣だぁ」
「うん!勉強教えてね!私バカだから」
「そうなの?頭よさそうに見えるのに」
「本当にバカだよ」
「僕もバカだよ」
今は数学の授業。
太一君は本当にバカだった。
「これ中学生の内容じゃん!なんでわかんないのさぁ!」
「こんなのわかるわけないじゃん!出来なくても死なないって」
「死ぬとかの問題じゃないでしょ。なんでこの高校入れたのかが疑問だわ」
「天才だからだよ」「ほらバカじゃん」
すごく楽しい。学校が好きになった。
全部の授業が終わった。
私はいつも一人で帰っている。
自転車の鍵を探していると後ろに気配を感じた。
そこには夕陽で真っ赤に染まった髪の太一君が居た...




