七十四話『童話だって欲深い人間には悪い事が起きるようになってるだろ??つまりそういうことだ。テメェの信念は否定されるべきなんだよ』
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『ダークマスター…!よく聞け!お前のやっている事は全て人間としての常軌を外れている、気が狂っているようにしか思えない。既に三人が死んだ。…三人だけじゃない。イエローだって、自分の意思を操られて…いまのイエローは死んでいるのも同然だ。私はお前を許さない、何処まで悪行を重ねれば気が済むんだダークマスター!お前は部下をまとめる組織の有能な頭なんかじゃない、私は本当の頭を見てきたから知っている…。お前はただの血塗られた人殺しだ!』
起き上がるカガミの機体を見ながら、グリーンが言い切った。
「…人殺し…」と表情を変えるカガミと、後部座席に座りどこか楽しむような表情を浮かべるホノカ。
だがカガミはすぐに、『俺が人殺しなら、お前も俺を殺せば人殺しだな!』と高笑いを添えながらグリーンに言い返す。
グリーンは、『クッ…!』とヒーロースーツの中で歯を食いしばる。
レッドはすかさず、『ダークマスター…僕はアンタを生かしたまま捕まえます。全ての悪は、法で裁く!』と機体の剣に力を溜め込む。
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カガミは『なぜ絶望しない⁉なぜこの期に及んで希望を信じる⁉社会というものは理不尽で出来ている!弱者は淘汰され、強者はより強くなるように出来ている!お前らの仲間はどうなった、何も成し遂げる事なく、ただ人が描いた脚本に乗っ取った人生を生きて、キャラクターとして消化されていくお前らの仲間の事だ!全ては予定調和、お前らの未来だって確約されていると言うのに、なぜそうやって希望を信じる、仲間と手を取ろうとする、互いに対等でいようとする⁉』カガミの絶叫に、
レッドが『大好き…だから』と答える。
『は?』と固まるカガミ。
『仲間も、この居場所も、ヒーローとして誰かの役に立つ事も、大好きだから。純粋な理由だよ』と穏やかな声で言うレッド。
『僕は好きなものは大切にしたいんだ。でも、好きなものを、場所を、無理矢理僕のものにしようとなんて思わないよ。簡単には手に届かない場所だから美しいんだ。仲間の事も、最初に好きになるきっかけは相手の尊厳があるからこそ。だからその場に、その人たちに見合うような人間になろうと、人は努力していくんじゃないかな。』
レッドの言葉に、レッドの機体の後ろに座っていた子供が、「努力…」と目を輝かせながら呟く。
カガミは、「チッ…」と不快そうに舌打ちした。
ホノカは、「立派だな、レッドという男は」とレッドを称賛する。
カガミはホノカのその言葉にさらに腹を立てた。
『挫折を知らない男がよく一丁前に俺を非難して…!』
カガミは今まで堪えてきた感情をぶちまけるように言ってタッチパネルを拳で叩いた後、『ふッ…ふははは…』と笑いを零す。
『何を笑っている⁉』とカガミに向かって叫ぶグリーン。
カガミの周りを、黒紫色のマイナスエネルギーが渦巻く。
後部座席のホノカは腕時計を見つめた。
ホノカの腕時計が、カチ、カチと規則的なリズムを鳴らす。
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『…ははッ…サユリ、これから俺が本当の愛って奴を見せてあげるよ…』と呟くカガミを前に、
『こいつッ!』とグリーンが攻撃しに行こうとするが、レッドがそれを阻止する。
ブラックが『レッド!』とレッドに声をかける。
『待て!お前ら!』ヒビキの声と同時に、イズミ、トウマも同じ場所に集まる。
カガミの機体から轟音と共に紫でも、黒でも、群青色でもない悍ましい色の感情エネルギーが放出される。
それは瞬く間に天まで広がり、疑似的な遊園地のイルミネーションエリアを作り出した。
『なんや…!さっきまで俺ら広場にいたやんけ!』と言うイズミと、『なにこれ⁉ワープ⁉』と驚くヒビキ。
『悲嘆…怨恨…いや違う、弐式火神…お前…一体!』と呟くトウマ。
「うわあああああああああ!」唐突の激しい振動にレッドの後部座席に乗っていた少年は叫ぶ。
イエローが油断するレッドたちの機体を破壊光線で攻撃するが真っ先に気が付いたグリーンが、イエローの機体に向けダモクレス・インフェルノ・カタストロフィを繰り出す。
イエローのレクス・テロリスが燃え、花々を燃やしていく。
だがイエローの身体は噴水の水の中に落下し、破損は機体だけで済んだ。
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『良し‼』と喜ぶブラックと大佐。
そんな二人の背後に、『ぶっ殺したる‼』と叫びながらマイナスエネルギーのレーザービームを繰り出すイズミ。
カガミは、「くッ…」と下を向きながら、何かに苦しんでいる様子だった。
そんなカガミを、「生半可な気持ちでこんな世界に踏み込むからだ」とホノカが嘲笑う。
カガミは、「くそッ…くそッ…」と何度も機体のタッチパネルに拳を垂直に叩きつける。
だが、カガミは『こんな場所で諦めない!やれ!イズミ!ヒビキ!トウマ!』と仲間に指示を出す。
仲間たちは、『オッケー‼』と声を揃えて返事をした。
『サユリを守りたいって思ったきっかけは、すべてはサユリのためだと決めた俺の覚悟は…!裁かれるべき【悪】なのか⁉レッド、答えろ!レッドオオオオオオオオオ!』
レッドの機体にマイナスエネルギーのレーザービームを撃ち込むカガミの機体。
次第に機体は空中戦に移り変わっていく。
レッドは『守りたい⁉何を抜かすかと思えば…そんな…人殺しのお前に!守るなんて言葉を使う権利はない‼』とカガミに答え、カガミの機体に向けて、『火車斬撃!』と言いながら火炎放射を放っていく。
火炎放射で燃える機体から飛び出すカガミとホノカ。
破損する機体。
ホノカは浮遊し難を逃れるが、カガミの身体は地面に強く打ち付けられる。
「ガハッ…」と呻き声をあげるカガミの姿を見て、ブラックは『弐式火神⁉やはり…本当にお前が!』とヒーロースーツの中で目を見開く。
トウマは、『弐式…まさか…これって…いや…だとすれば俺は一体』と真相に辿り着きそうになるトウマ。
『だああああああああああああ!』生身のカガミの身体に、グリーンが攻撃しようとする。
「ハッ…」と驚きながら避けるカガミの身体を、ホノカが強引に引っ張って連れて行く。
「斬」
二回ホノカが手を鳴らすと、全員の機体が破損し、ブラック、グリーン、レッド、大佐、少年が機体の中から飛び出して水の中に着地する。
イズミ、トウマ、ヒビキも条件は同じだった。
「ママ⁉ママはどこ⁉」とレッドに泣きつく少年に、レッドは、「ママは君の事待ってるから」と微笑んだ。
「あ…れ…」少年は何かに気が付く。
「減ってる」と呟く少年に、カガミはゆっくりと近づく。
「その子に何をする気だ⁉」と怒鳴るグリーンに、言葉を返さないままカガミはその少年の頭を掴んだ。
『斬』と呟くカガミ。
レッドは、「ダメだ…!」と声を震わせた後、「ダメだー‼」と少年のほうへ走って行く。
だが、少年は「ああああああああああああああああああああ!」と悲鳴を上げた。




