六十話『お前はその覚悟って奴が足りねェんだよ』
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体育館に来た翠は、「野々原おまえッ!おまえたちがあの怪物呼んだんだろ⁉」男子生徒が翠に理不尽な言いがかりをつける。
「なんでそんなッ…!」と言い返す翠に、「テメェのせいでアイツは消えちまったんだよ!」と男子生徒は翠を殴ろうとする。
ユカリが間に入り、その拳を掴む。
「女の子殴るなんて細胞からやり直したらどう⁉」
ユカリに侮辱された男子生徒は、「野々原と話すやつにロクなやつがいないことがよくわかった!明日からおまえも標的だ!」と悔しそうに言い返した。
「そんなッ…」と言葉を詰まらせる翠。
「私なんかのためにそこまで…」
翠は自分のせいで春華やユカリが大変なことに巻き込まれた。と反省する。
ユカリは、「あっちで一緒にいよう」と人がいない方へ翠を連れて行こうとするが、翠は「…辞めて…」とユカリを突き飛ばす。
突き飛ばされたユカリは、「あぁ…」と自責の念に駆られる翠を見上げる。
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時を同じくして、ダークマスターは如月高校の校庭をモニターから眺めていた。
怪物と戦おうとするブルー。
…自分の体験を再現されているようで、ダークマスターは「悪趣味な…!」と両手で頭を抱える。
「その試練を必要としたのはお前だろ。ダークマスター」
そう言った後、黒猫はにゃあ。と欠伸した。
「こんなもの求めていない!」と言うダークマスターに、黒猫は「お前は最愛の人間のいじめという罪を容認した。だが彼女らはそれを否定し、抗おうと模索している」とモニターに視線をやりながら告げる。
「お前だって本心では自分の最愛の人間が悪事に手を染めた事にひどくショックを受けたんじゃないか?だが、お前は愛ゆえに最愛の人間の全てを許した。なんて現実逃避だ。バカタレ。」
黒猫に言われては、「サユリは…!」とダークマスターは動揺する。
「ふん、言い返せないか」
黒猫はダークマスターから何も続きの言葉が無かった事に呆れる。
「くッ」
認められないと言わんばかりの表情を浮かべるダークマスター。
黒猫は、「恋は人を狂わせる」と言った後、「お前を悪へ駆り立てた全ての原因はサユリと言う小娘だろう?お前の潜在意識はその対象への依存から現状を変えようとしているんだ」とダークマスターの痛いところを言葉巧みに刺激していく。
「ちがうッ…!サユリは…!サユリは何も悪くない!」と必死に否定するダークマスター。
「ユリカだよ、あいつ自身が悪いんだ。あんなにやさしいサユリにいじめなんかさせるほど余計な事を言ったから!俺とサユリがイチャイチャしてるのが気持ち悪い⁉知るか、俺からすれば教室で常に漫画ばっか読んでるあいつのほうがよっぽど気持ち悪いさ、嗚呼最低だ、俺が最低でいいよ、だがサユリは潔白だ、俺はサユリの全てを擁護する」とダークマスターは饒舌に言い切った。
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黒猫は「実に馬鹿げている。無意味なループの中心で無数の糸が張り巡らされているのがたった一人の少女なんて。お前の執着もここまで来たらひとつの物語としては称賛ものだな。」とダークマスターを煽った。
「どうだ?ダークマスター。最後の提案だ。死神にならないか」
黒猫の問いに、ダークマスターは、「うるさい…!」と叫ぶ。
途端、生み出される真っ黒の空間。
黒猫と向かい合わせになるダークマスター。
「なぜお前たちがこの世界に干渉するんだ、お前たちのせいで全て台無しだ。完璧なまでに組んだ俺の作戦が、お前らにいいように書き換えられる…!」
ダークマスターの嘆きに、黒猫は「それは結界を張ってないからだ。普通は能力を使って異世界を形成するなら結界を張るのは当たり前だ」とダークマスターに説明する。
黒猫は続ける。
「私も、妃も。お前に早く決着をつけてほしいんだよ。従来のループから脱し地獄の刑罰のシステムを書き換えたお前は今、独自のやり方で罰されようとしている。だがそれは本来地獄では使えないチート行為。そんなことをすればその魂の代償は大きいだろう。お前そのものが消えてしまう。転生も許されない、地獄で罰され消えることも、もちろん天国なんて無理だ。行き場がなくなった魂は消えてしまう。転生したサユリと再会なんてもっと出来なくなるぞ」
黒猫の説得に、ダークマスターは「…ここで消えてもいい」と答えた。
「…レッドに罰されることが不可能なら俺はこの偽町の全てが理想通りのサユリと逝く」
ダークマスターの言葉に黒猫は、「それは不可能だ。我々の干渉が入っている以上、お前はレッドに裁かれ転生するルートにある。だが早くしろと言っているんだ。時間は有限。ちんたらちんたらやっている場合じゃないんだよ」と釘を刺した。
「…もういや…サユリがいる場所に行きたい」と嘆くダークマスターに、黒猫は「なら尚更早く転生できるようにしろ」と急かす。
真っ黒な空間が指令室へと戻っていく。
黒猫は「…こいつが怒るとこの世界に影響が出るから厄介だ」と丸くなりながら言った。
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如月高校では、ブルーが怪物と戦っていた。
怪物はブルーをめがけて何度も火炎放射を放つ。
学校の校舎に炎が燃え移り、生徒たちが『きゃああああああ!』と体育館に急いで逃げていた。
だが逃げきれず炎を纏い消えてしまう生徒たちも多くいた。
「インフィニティ・エメラルド・ビッグ・ウェーブ!」
ブルーが何度も技を繰り出し消火を試みるが、戦士の力は弱まるばかり。
「スーパーブル―…お前一人じゃこのラビット・フレーバーには勝てん」
ダーククイーンの言葉に「くッ…」と歯を食いしばるブルー。
翠が「青野‼」と体育館からブルーに駆け寄りに行く。
ユカリも、「ダメッ…!」と翠を追いかける。
「…私…私…青野と戦いた…」と言いかける翠。
だが迷いがあり翠は一歩踏み出せない様子だ。
ユカリが翠の背中を押す。
翠は前を向いた。
「私はッ!変わりたい!青野みたいな本物の強さが欲しい!…お願い!戦わせてくれ…!青野と、戦わせてくれ…!」
翠は必死に叫ぶ。 「青野!青野!」
ブルーに向かって叫ぶ翠。
翠の胸から緑色の光が飛び出す。
ブルーは「野々原さん⁉」と驚きの声をあげた。




