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『宇宙警察L戦士~セルフで異世界構築してラスボスとして君臨してみた~』  作者: ミタラリアット


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五十八話『人の事を平然と踏み躙ることが出来るやつは幸せになれるはずが無い』


 翌日。如月高校。春華や翠が通う高校だ。


 隣のクラスの野々原翠は、癇癪持ちの不良だと他の生徒から蔑まれ、距離を置かれていた。


 春華が以前、彼女に話しかけた時、いきなり突き飛ばされるという仕打ちにあったが、春華はまだ彼女の胸の内を覗く事を諦めていなかった。


 昼休み。


「野々原さん、お食事、一緒にどう?」と春華は翠を誘う。


「…またやってるよ」「青野さんも変わり者だな」


 同級生たちがコソコソと陰口を叩く様子を横目に、春華は翠を追いかける。


 屋上へと続く階段の前で翠は振り返る。


「もうなんなんだよお前!私にまとわりついて!」


 怒鳴る翠に、春華は「あらごめんなさい…私も屋上で食べたい気分だったから、つい…」とあざとく斜め下を向きながら言った。


 翠は「ふざけんな、私はアンタと友達になる気はない!」と声を張り上げる。


「でも、私は屋上でお昼を…」と言う春華に、


「じゃあいいよ!私は図書室で食べるから!」


 と言って翠は今来た方向と逆方向へ歩いてしまう。



「お疲れ様」黒髪ショートカットに眼鏡の同級生が春華に話しかける。


「ユカリさん…」


 春華はユカリと合流し、屋上へ続く階段を上がっていく。


「…どうやったら野々原さんが溶け込めるようになるんでしょう…」


 という春華に、ユカリは、「うーん、野々原さんははっきり言って嫌われてるからな…」と悩む。


「せめて、私だけでも彼女のお友達になれたらって…」


 と言う春華に、ユカリは「それ、野々原さんは望んでるのかな?可哀想だから…とか言うなら、本当の友達にはなれないと思うよ。それに、友達って気づいたらなってるものだと思うんだよね、私と春華がそうだったみたいに」と伸びをしながら言った。


 二人を照らす快晴を見上げるユカリ。


「私は野々原さんと春華がお友達になるの、大歓迎だよー?友達にたくさん友達がいるなんて喜ばしいことじゃん」


 ユカリの言葉に、春華は、「気づいたらなってる、か」と微笑む。


「そうね、心が少し晴れたわ!」と続けた。


「あんまり思い悩む事でも無さそう」


 と春華はタコさんウィンナーを食べながら言う。


 「春華のお弁当綺麗だねー?今日も手作り?」と春華の弁当を覗き込むユカリ。


「ううん。私のバイト先の上司に作って頂いたの」

 と春華は答える。


「嗚呼、ヒーロー喫茶の!でも、暫く工事して無かった?」ユカリは考えた後、「私も行きたいな…」と呟く。


「来て!」春華は嬉しそうに誘った。


「とびっきりのパフェでも振舞ってあげる!」


 と続ける春華に、ユカリは「パフェ⁉」と目を輝かせた。



 一方、図書室で静かに弁当を食べる翠は、またやっちゃった…。と落ち込んでいた。


 自分なんかに話しかけてくれる人は青野さんぐらいしかいないのに何やってるんだか。


 と反省する翠の周りに、マイナスエネルギーが漂う。


 翠は、十字架のネックレスに視線を移す。


 道端に落ちていたところを勝手に拾ってしまったものだ。


 お守り。翠にとっては、それに等しいものだ。


 先に食事を終え図書室に入ってきた女子生徒二人が、「うっわ野々原さんだ…」とこちらを見た後に目を逸らす。


 …自分が腫れ物とでも言いたいのか。


 と翠は不快感を覚えた。


 だが、「美味し…」父が作った弁当は美味しかった。


 なかなか友達が出来ない翠は、変わりたい…。と心の中で呟く。


 このまま一生嫌われ者は嫌だと。


 そんなことを考えているうちに、弁当の中身は無くなっていた。


 弁当箱を緑の風呂敷で包む。


 如月市のマスコットキャラでもあるネコがデザインされたペンケースは、いじめの被害でズタズタに汚れていたが、翠にとっては大切なものだ。


 弁当箱とペンケース、メモ帳を片付けに教室へ向かう翠。



 教室へ入ると、自分の机の上に皆が食べ終えた後のふりかけや鼻をかんだであろうティッシュのゴミが置かれていた。


「あッ…」と呟く翠。


「野々原さん、そこ埋め立て所なの?」


 とクラスの一軍らしい女子が翠に話しかける。


「おまえの机、夢洲みたいになってんぞ。万博開催できるんじゃねーの」


 男子も翠をバカにして笑い出す。


 翠は「…なんで」と声を震わせる。


「なにかご不満でも?」


 と脚を伸ばしながら椅子に座る一軍女子に、翠は


「なんでこうやって平然と人を除け者にする事が出来るんだ!」と言い返す。


『ひゃひゃひゃひゃひゃ』


 クラス中が爆笑で包まれる。


「イヤな人にイヤっていう事の何が悪いのー?」


 一軍女子がそう言うと、取り巻きたちが


『そうだそうだ!』と声を揃える。


 翠は「サイッテーだ…」といじめっ子たちを睨みつけた。


「おーいまた野々原さんがご立腹だぞー!」と笑う男子。


 翠は急いで机を片付け、次の授業の体操着を取り出す。


 その様子を廊下から見た春華は、「翠さん、こっちー!」と翠に手招きする。


 男子は「まーた青野のやつこいつに絡んで…」 と春華までバカにするように言った。


「ほら行けよ!お・友・達だぞ♡」


 取り巻きの女子が春華のほうへと翠の背中を蹴り飛ばした。


 春華は翠の身体を支え、更衣室まで連れて行く。


「大丈夫ですか」春華が尋ねては、「これが大丈夫に見えるなら大馬鹿者だ」と翠は答えた。


 ユカリも、「野々原さん…」と彼女の名を呼びながら翠に駆け寄る。


「いいから!私なんかと話してたらアンタたちまでああなっちまう!」


翠の言葉に、春華は


「翠さんの事は、私が守ります、私にはその力があります!」と言った。


「はぁ?」翠は目を丸くする。


 時を同じくして、如月高校の前を、ダーククイーンが歩いていた。

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