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『宇宙警察L戦士』  作者: ミタラリアット


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十三話『こうして〇ツジは神になった。』

 喫茶キュアミラージュにハツネが加入して約二週間。「ねえ」光太郎は異様な光景を見て目に涙を浮かべる。「光太郎くんカラスミパスタひとつ!」客のおじさんが叫んでは、後ろの席から「カラスミパスタ!」「オムライス!」「クリームシチュー!」と注文が殺到する。江藤が注文を取り、「はい!ただいま!!」と答えキッチンへ走りに行くが、光太郎は「ちょっと待ってくれ急に大繁盛じゃねえか!!」と泣きながら調理に追われる。「簡単やでこんなん。アンタらSNSで発信すらしてへんのに客来ぉへんとか言うてたんかアホやなほんま」と呆れた顔でハツネが二人に言ってくる。光太郎が、「いや徐々に来るもんだって思ってたんだけど俺!」と調理が追いつかず焦る光太郎に、ハツネは、「今どきSNSに上げりゃ一発でバズるわ。それにアタシ、ヒーローの写真貼ったで。そしたら特撮オタクの間で万バズ。現実にヒーローっておったんや~~って拍手喝采」と経緯を説明する。江藤は、「なに!?ハツネちゃん、僕らがヒーローって広めちゃったの!?」とハツネにツッコミを入れる。「別にええやんけ。そんなルールあらへんやろ。有名なったらええねん」カタコトの関西弁を喋るハツネに、「なんで関西弁なの」と江藤は皿を用意しながら問いかける。「光太郎の漫画読んでたら覚えたわ」ハツネは興味無さげに答えた。「ハツネちゃーん!!こっち来て話そうよ~~!!!」と気前の良さそうなおじさんに話しかけられては、「ええで~♡」と立ち上がっていく。キャピキャピとハツネがおじさんと話す様子を横目に、調理に追われる光太郎は、「あいつやっぱ無視した方が良かったんじゃねえか」と最低な発言をする。江藤は、「何言ってるんですか光太郎さん」と溜息をつく。「僕らが助けてなかったら今頃ハツネちゃん臓器にされてたんですよ。」江藤が言うと、「普通無断で人の写真SNSにアップするかね」と光太郎は手を動かしながら言葉を返した。江藤は、「まあおかげさまで大繁盛なわけだし」と安堵の表情を浮かべる。「あいつのせいでこの喫茶前で度々怪獣が現れては消えていくって悪いほうでも話題になってるぞ」と光太郎が言うと、江藤は「まあこれだけ客がいるなら多少の犠牲は仕方ないんじゃないですか」と答える。おじさんの客たちがハツネと楽しげに会話を繰り広げているところに、「はいはい退いた退いた」とサチコが入ってくる。「なんだこのオカマ」と長袖シャツにメガネ姿の男が言う。サチコは、「うっふぅん、アタシはサチコ♡よろしくねえん」と名乗りながら狭い隙間を通り、「コウちゃんこれ差し入れ」とスーパーの袋いっぱいの野菜やパスタ麺を届ける。「今来るなって」と文句を言う光太郎と裏腹に江藤が、「ありがとうございます」とサチコからスーパーの袋を受け取る。「きゃはははは!」居酒屋と勘違いしてしまいそうになるほどどんちゃん騒ぎの喫茶。次々と店の前を覗き込む客を見て、「おいおいもう混みすぎだよ」と光太郎は呟く。「本物のヒーロー!本当に地球を守ってる奴らが喫茶店をやってるのか!!はははははッ!どこかに存在するとは思ってたが!!」特撮オタクのおじさんが歴代のヒーローグッズを並べる。ハツネは、「凄い、これほんまのおもちゃやん!?触ってええか!?」と目を輝かせながら、「いいよいいよ!」と言われてはおもちゃに手を触れる。「ぇえなぁ!アタシもかっこいいヒーローになりたいわぁ!」と言うハツネを、おじさんたちが『なっちゃえなっちゃえ!』と応援する。「んな簡単じゃねーの。カラスミパスタ、オムライス、クリームシチュー、どーぞ。」光太郎がおじさんたちに料理を配ると、おじさんたちは次々とスマホを取り出し写真撮影をはじめる。光太郎は散々文句を言っていたが、楽しげな店内の様子を見て、ふッと笑みを浮かべた。


 場面が変わり、クロウサギのアジトでは、空中に表示されるモニターの様子を見て、「つまんねえな」とソードが呟いた。「気に食わねえ」とソードが言うとミドハラが、「何がだ」と問いかける。「レッドが幸せなのが気に食わねえ」ソードの言葉にミドハラは、「同感だ」と答える。「じゃあレッドが幸せでもいいや」と適当な事を吐くソードに、「ソード!!??」とミドハラはツッコミを入れる。「嫌なんですよ。ミドハラさんと感情が被るの。」ソードはそう言うと、「死んでくださいミドハラさん。」とミドハラに暗い赤色の剣を向ける。「なんで俺だァ!?」と騒ぐミドハラ。サルジマは、「まあまあ落ち着け」と二人の背後から仲裁するが、二人が振り返るとももたんの抱き枕を抱えていた。「…」顔を合わせるソードとミドハラ。ソードはサルジマの抱き枕を暗い赤色の剣で切り裂く。バラバラになる抱き枕。「チョ、チョ、チョ!!!俺のももたんがぁぁぁぁぁぁぁぁ!」と泣き崩れるサルジマを見てソードは、「俺たちクロウサギ幹部三人組の大将はアンタなんだからしっかりしてください」と注意する。「一万五千円だ…一万五千円だったんだぞこの抱き枕カバー!!!!」と叫びながら啜り泣くサルジマに、ソードは「高い勉強代でしたね、運営に搾取されてるだけですよそれ。直接その分"ももたん"の配信か何かに投げ銭した方がよっぽどいいんじゃないですか?」と黒い笑顔を向ける。サルジマは、「手元に置いておきたいオタク心がわかってないなソードは!!!」と怒りをあらわにする。「オタク心??推しの年齢も知らなかったアンタに言われたかありません。」ソードは冷静にそう言うと、「それ、片付けろミドハラ」とミドハラに命令する。ミドハラは、「年上だぞ俺のほうが」と言うが、「知りません。死んでください」の一点張りで話を聞こうとしない。「ももたぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」声が枯れるまで泣くサルジマ。そんなサルジマにいつもの黒いマントに黒い仮面姿のダークマスターが、『サルジマ。…お前が好きなアイドルの次の公演のチケット、一枚だけ取れた。…ただ、レッドの首を土産に持ってこい』と話しかける。サルジマは「…!!」と希望に満ち溢れた純粋な目でダークマスターを見上げた。サルジマは姿勢を低くしたまま、「ダークマスター様ァァァァァ!!!」とその片足にしがみつこうとするが、『辞めろサルめ!!!気色悪い!!!!』と蹴り飛ばされてしまう。ソードは、「甘やかしていいんですか?こんなやつを。」とダークマスターに言うが、ダークマスターは『お前らがレッドの首さえ持って来れば、お前らが何を裏でやっていようがもう私は何も言わない』と斜め下を向きながら答えた。ソードは、「本当に…アンタがレッドの首に拘る理由はなんですか…それになんで知ってたんだ」とダークマスターに問いかける。ダークマスターは、『…レッドは…強い』と答えになっていない言葉を返す。「はぃ?」と首を傾げるソード。『レッドは…私の…私の唯一の希望だ』と途切れ途切れに呟くダークマスターに、ミドハラは、「希望ならなんでその首を取ろうとするんだよ」と抱き枕の残骸を拾いながら問いかける。ダークマスターは、『希望だからこそ…。殺すのさ、我々クロウサギを前にひれ伏すレッドの姿はさぞ見ていて気持ちがいいものだろう』と答え高笑いをした。その様子を見たソードは、「…声色が悲しいや」と呟く。「何を背負ってるのか知らないけど、アンタ。完全悪になりきれてないみたいだ。悪意と言うよりは諦めのリズム。ダークマスター様。本来は優しい人でしょ」とソードの鋭い指摘に、ミドハラとサルジマは『え』と声を合わせる。ダークマスターは、『優しさなど、とうに捨てた』と答える。ソードは、「…なんだかやってらんねえぜ。アンタみたいなやつに俺たちが仕えてる理由もわかんねえしアンタがレッドに執着する理由もわかんねえけど。そんな悲しそうな声聞かされちゃ、たまったもんじゃねえや」と呟く。サルジマは、「確かに、ダークマスター様はももたんのチケット取ってくれたし…」と目を見開く。ミドハラも、「ダークマスター様が完全悪なら今頃俺たち全員打首だからな」と言いながらキセルを蒸す。ダークマスターは『私を知った気になるな!!!』と三人を怒鳴る。『貴様らに同情される筋合いなどない!』怒りに震えるダークマスターのボイスチェンジャーが音割れする。上階の指令室に戻って行くダークマスター。


 同時に、黒いマントに身を包んだ謎の女が現れる。謎の女の顔は見えないが、毛先の色は確かに、緑だ。「誰だ!?」ミドハラは剣を構える。「ザイト・ヴァクザム。ダス・ウニヴェルズム・ヴィルト・バルト・ツザメンブレッヒェン。」女は謎の言葉を呟いた。ミドハラは、「どういう意味だ。」と眉をひそめる。「警戒せよ。宇宙はまもなく崩壊する。」謎の女の言葉に、ミドハラは「崩壊…?」と首を傾げる。「全ての真実を知りこの呪縛から解き放たれたければ、魔王を満足させるのみ」と謎の女は呟いた後、黒いマントのフードを外し、舞踏会の仮面を身につけた顔を晒す。「私の名前はダーク・クイーン。ダークマスターの妃。全ての宇宙の因果を操る者」と名乗る。ソードは、「全ての因果…」と真剣な表情を向ける。「時が来れば、きっと」と言うダーククイーンに、ソードは「…変なやつだ」と吐き捨てる。「その言葉をそっくりそのままあのバカに言ってやれ」とダーククイーンは指令室を見上げる。「ダークマスター様をバカ呼ばわりとは…」と声を震わせるサルジマに、ダーククイーンは、「ならば問うが、同じ過ちを何度も何度も繰り返しているやつをバカと呼ぶ以外になんと呼べばいい。」と真顔でサルジマに問いかける。サルジマは、「繰り返す…?なんの事だ」と剣を抜きそうになるが、ミドハラが「辞めておけ」と仲裁する。「ひとつだけお前たちにヒントをやろう」とダーククイーンはそう言うと、ソード、ミドハラ、サルジマの三人を見ながら「ダークマスターはただの無知な少年だった」と語り出す。「だが、運命に翻弄された少年は力に憧れた。そして少年は悪魔と契約して力を得る。どんな不都合さえもかき消す力を。」ダーククイーンはそう言うと、ニヤリと笑う。「少年は神になった。たった一人の愛する人を守る為だけに。その愛する人さえも犠牲にして。」ダーククイーンは語りを続ける。「少年はやがて青年になり、権力、金、女。すべてを思うがままに手に入れた。だが大衆は青年に振り回された。気づかないうちに世界は青年の思うがままになっていたからだ。青年は大衆に恨まれながら、拍手喝采の中で命の灯火を消した。二十三歳だった」とダーククイーンの語りにサルジマは「それが…ダークマスター様」と呟く。ソードは、「それがレッドを殺すこととなんの関係があるんだ」と興味無さげにソファーに座りながら漫画誌を見つめる。ダーククイーンは、「ヒントはやった。どう受け止めるかはお前らの勝手だ」と言って立ち去っていった。

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