十一話『マッチングアプリは相手が未成年の可能性もあるから気をつけましょう。』
ある日。江藤の目が覚めると、顔を覗き込んでいた光太郎が、「ねえ江藤」と話しかける。江藤は、いきなりアップで視界に入り込む光太郎の顔面に、「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」と大声をあげる。「そろそろ新しい出会い欲しくね」と正座になりながら言う光太郎に、「脅かさないでくださいよ!!!!!」と怒鳴る江藤。「いややっぱ男二人でひとつ屋根の下はコンプライアンス的にまずいよ。ボーイズラブはじまっちゃうから」と真顔で言う光太郎に、「誰も求めてませんよ僕と光太郎さんのボーイズラブなんて」と起き上がりながら言い返す江藤。「意外とコミケでウケるかもよ~??こうえと!!!とかカップリング名までついて」と光太郎が言っては江藤は、「気持ち悪い妄想やめろこのパチモン!」とツッコミを入れる。光太郎は、「はいそれ受けの反応。受け受け受けぇ」と江藤を揶揄う。江藤は、「やめてくださいセクハラです。テメェの首、斬首しに江戸まで転送してやろうか」と早口で答える。「ちょっと江藤くん!?江戸とか行き始めたら完全にもう類似作品のそれになっちゃうから!!宇宙人もいるんだし俺らの周り!」と焦る光太郎。「もう隠しきれてないんで多分大丈夫だと思います。みんな暗黙の了解ですよ。」と言いながら江藤は身体を起こす。「新しい出会いって言ったって…ただでさえ人が多くてこんがらがってるんだからこれ以上増やす必要無いでしょ」とツッコむ江藤に光太郎は、「ある、大いにある。あるぞ!!!!!」と叫ぶ。「うるさいです。着替えるんでどっか行ってください」江藤は光太郎を言葉で突き放す。光太郎は「わぁーったけど!知らねえぞ!!!マンネリとかお前らおもんないとか言われても!!!」と大声で言いながら渋々部屋を出ていく。江藤は、「実際おもんないって言われても文句言えないでしょ」と吐き捨てつつ、パジャマのボタンを開けバサッと音を立てながら服を下ろし着替える。「よし」江藤がリビングに出ると、「一階まで来い、飯作ってやる」と光太郎が階段を降りる。江藤は、「はいはい」と溜息をつきながら一階の喫茶に向かう。
時を同じくして、宇宙警察ステーションでは、少女から送られてきた写真をマナと上司が解析していた。「街の景観。道路。空。どれも問題ないわね」と上司が言うが、「いや、問題大アリです」とマナは冷静になる。「特撮ドラマのイベントに出向いてますよ彼女!!!!これ遊んでませんか!?記録してって私は言ったのに遊んでません!?」と急に騒ぎ出すマナに上司は、「遊びじゃないわよ。仕事でしょ。落ち着きなさい」と優しく声をかける。「いやいやいやいやいやいや、遊んでますて!!!!だってほらアクリルスタンドで写真撮影とか!?」とツッコミを入れるマナに、上司は再度、「落ち着きなさい。」と優しい表情と声で語りかける。「もー!!!!私だって遊びたい…」と涙目になるマナに上司は、「全てが終わったら地球で一緒に遊びましょう」と話しかける。「カーガさん…!!!」マナは目を輝かせた後、真剣に職務モードに切り替え、モニターの画面に向かう。「あら?」マナは目を丸くする。「どうしたの」とカーガが画面に注目すると、「いま女の子が黒塗りの高級車から突き飛ばされたけど…」と呟く。カーガは、「気のせいよ」と答えた。
場面は代わり、光太郎たちが住む街。「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」ピンク髪でショートヘアの人間に近い見た目の少女が全速力で何かから逃げるように走る。そんな彼女を銃弾が一方的に狙う。「はぁ、はぁ、はぁ、」呼吸を乱す少女は喫茶キュアミラージュに駆け込む。「助けて!!!!」少女は喫茶キュアミラージュの扉を開けた。江藤と光太郎が『へ』と間抜けな声を揃えるが、同時に、「オラァァァァァァァァァァァァァ!!!!!小娘どこに逃げやがったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」と黒服の男を中心に大勢の人間が銃を抱えながら少女を探して駆け出す。喫茶の扉を閉める少女。「私、命狙われてる」少女はカタコトの日本語でそう言うと、光太郎と江藤を真剣な目で見つめた。「命…?」と首を傾げる江藤。江藤に、「さっきのあいつら悪いやつ!!」と少ない語彙を上手く使いながら少女は訴えた。「いきなり助けてと言われてもここは喫茶……」と光太郎は言うが、少女は「私が死んでもいいの!?」と叫んだ。「小娘ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」大勢の男たちの怒号が外から聞こえる。「何したらこんなベタな追われ方するようになるの!?」光太郎が言うと、少女は、「私、宇宙戦争で滅んだ星から宇宙船に乗って遥々逃げた。」と語り出す。「地球に来てから黙ってパパ活で稼いで食いつないで生きてきた。」少女の語りに、「未成年でパパ活ですか。お嬢さん。じゃあ何?追ってるのは歴代のパパたち?」光太郎はめんどくさそうな対応をする。「違う!パパ活してたら…変な人に当たって…。」少女はそう言うと、俯きながら「闇のオークションに売られそうになった」と呟く。
少女の言葉に、電撃が走ったような表情を浮かべる江藤と光太郎。『闇のオークション!?』江藤と光太郎は声を揃える。「おまッ…デタラメ言ってねえだろうな」と戸惑う光太郎に少女は、「言ってない」と無機質な表情と声で答える。「おいおいどうすんだよこれ」光太郎は固まる。江藤も、「流石に僕らクロウサギとは戦えてもヤクザとなんて戦えませんよ」と戸惑う。二人が戸惑っていると、「ゴラァァァァァァァァ!店の前でぎゃあぎゃあうっせぇんだよこんチクショー!!!!前歯だけゲーミング仕様にしてやろうか!!!前歯だけゲーミング仕様にしてやろうか!!?あ"ぁぁん!?」とオカマバーのサチコが銃を持った男に覆いかぶさりながら頬を殴り飛ばしている様子がドアの隙間からはっきり映る。「あの…ヤクザ…死にました」と江藤が言うが、「オラァ!カタギに迷惑かけるもんじゃないでこのおんどりゃあ!」とサチコは男に暴力を繰り返す。「ちょっと待ってくださいサチコさん!!」駆け寄る江藤。ヤクザと思われる男はボコボコに殴られ放心状態だ。サチコは銃を男から奪い取る。「ダメだ。アネゴ。んな危ねぇもんはテメェには似合わねぇ」と光太郎はそう言うと、自分のジーンズのポケットに銃をしまった。サチコは、「なんだこいつは…一人どころじゃなかったぞ」と不審そうに男を見る。男に向かい、「吐けぇ!!!!!」と叫ぶサチコ。男は、「ウサギ…クロ…ウサギ…」と呟く。「…クロ…ウサギ…」男はそう続けると、意識を飛ばす。「クロウサギィ?」と首を傾げるサチコに、黒服の男が「いけねえや姉さん。そんなふうにうちの仲間を殴っちゃあ」と話しかける。サチコは「あたしゃ姉さんじゃないよ。オネエさんって呼びな」と黒服の男に鋭い目を向ける。
「にしてもお嬢さんとんでもねえやつらにマッチングしちまったなぁ、クロウサギなんて」と光太郎は少女にそう言うと、「でも相手がわりぃぜおっさんよォ、!俺たちこう見えて結構強いのさ」と黒服の男を挑発した。江藤は、「辞めましょうよ、戦うんですか??相手は大勢なんでしょ?無防ですって」と止める。光太郎は、「ヒーローってもんはな、僅かでも救える可能性がある命なら救わなきゃなんねえのさ」と江藤に答える。黒服の男は、「ぁーぁ、俺が臓器まで砕いて売り捌く予定だった嬢ちゃんをこんなにされちゃたまんねえや」と嘆く。黒服の男は「ワン・デバイド!」と叫び、片翼の折れた悪魔のような風貌へ変身する。「狙いはてめぇじゃねえよ兄ちゃん。ほら嬢ちゃんこっちにおいで。おじさんなーんにも悪いことしないから。」黒服の男はそう言いながら少女に近づくが、江藤と光太郎が前に出て少女を庇う。「俺はクスダだ。よーく覚えておけぇ?ほら、行くぞ嬢ちゃん。お前さんの内臓全部剥ぎ取って綺麗なネックレスにでもしてやる。」クスダはそう言うと、銃を少女に向ける。「ヒッ……」少女は怯えたように目を閉じる。腕捲りをして袖からカードリーダーを出現させ変身カードを構える江藤と光太郎。「なんだ???」首を傾げるクスダ。クスダは「ふッ、お前さんたちがその気なら…こっちにだって策があるさ」と言いながら倒れている男の心臓に腕を突きつける。「待ってください!!!!」目の前で繰り広げられる光景に、江藤は黙っていられず静止するが、クスダは「いでよ!!!ラビット・フレーバー!!!!!」と叫ぶ。紫の爆風と共に、男がラビット・フレーバーに変化する。「グォォォォ!!!!」呻き声をあげるラビット・フレーバー。
少女は、「な、に?死ぬの…?私…こんな…ふたりを巻き込ん…」と涙目を浮かべる。クスダは、「そうだよ嬢ちゃん、お前さんのせいでこんな怪物が生まれちゃったんだよ。」と高笑い。江藤は、「この子は僕が守る!!!!バーニング・フェニックス!!!!」と叫びながらカードリーダーに変身カードを差し込む。光太郎も、「ユニバース・ランスロット!!!」と後に続いた。二人を赤い光と黒い光が包み込む。「グォォォォ……!!!」怪物は呻き声を上げながら街並みを直線に進行する。二人の変身が終われば、少女の目の前に二人のヒーローが現れる。「変身後のセリフなんだっけ」と言うブラックに、「ちゃんとメモしといてくださいよッ!ッてなんだっけ」とツッコミながらも自分も忘れているレッド。「おいちゃんとメモしとけよ!!!」ブラックはそう言いながら怪物の方へ走って行く。「知りませんよ!!!変身後のセリフなんてぶっちゃけ試合に関係ありませんから!!!」レッドは少女を守るためにクスダと向き合う。「マッチングアプリをする時は相手が本当に成人か確認するのが筋ですよね!?」とクスダに声で圧をかけるレッド。クスダは、「怖いぜ兄ちゃん。まぁさか未成年がいるとは思わねぇだろ十八禁サイトで。規約違反したのはその嬢ちゃんだ」と正論で言い返した。「だからって臓器売買のためにマッチングアプリを使うあなたも非常識ですよ。あなたたちクロウサギが狙ってるのは僕の首じゃないんですか」と問いかけるレッドに、クスダは、「それは幹部の奴らだろう?俺みたいにコードネームも与えられない末端は好き勝手やってんだよ」と悪役面を浮かべながら答える。「悪いことを堂々とやれるその神経が僕は気に入らない」とレッドはそう言うと、赤い剣を手から出現させ構える。サチコは、「アンタ、今のうちにこっちに来な」と少女の首根っこを掴み喫茶キュアミラージュの二階、怪しい看板が立つオカマバーに連れていく。少女は、「わッ…」と驚きながら連れてかれる。「物事は色んな角度から見なきゃなんねぇんだよ。お前さんは若いからまだ気づいていないだろーが、お前さんが"悪"と一言で決めつけていることにも、"善"の側面があるかもしれないのさ」と黒い剣を出現させゆっくりと近づいてくるクスダ。レッドは、「違う!!!!人の臓器を売る事が善であって溜まるか!!!」と反論する。クスダは、「せっかく可愛い子ちゃんと遊べるチャンスだったのに邪魔してくれちゃって」と言った後、黒い剣をレッドの頭上に振りかざした。




