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砂漠も今日は瑞々しい 2

なんかメモとかに書いた文をべたっと貼り付けると、文字がぎゅうぎゅうで読みづらいのではと思いました。ので、改行とか色々適当に挟んでるんですけど、その塩梅だけは全くわかんないです。

  「りんごが…。」

「三つだね?」

  「あ、そうです。」

「今日は隣でブドウが採れたみたいだけど持ってくかい?」

  「いや、りんごだけで大丈夫で。」


 おばさんは天井から吊った目の粗い籠に手を伸ばして、少し傾けながらりんごを数える。りんごはいつもなぜか一番高いところにあるのだ。おばさんは首を真上に向けながら、ちょっと力んだ声で言った。

「あんた、この店でとったことあるの?」

  「え?とるって。」

「盗むってことだよ。いつもりんごだけじゃないか。こりゃ建前かなと、この前に思ったもんだから。」

  「とんでもないです!そんなこと。母がりんご好きなので。いやでも、盗ってて本人の前で言うものなんですかね。」


 そういうことをしたことはなかったが、何故か緊張して声が固まったし、身体がまっすぐ立たない変な気分だった。疑われているんだろうか。私はかぶったフードを脱いでみた。

「まあ、あんたはそういうことはしなさそうだけどさ。そりゃこんだけ人混みで暑苦しいような街で商売してたら、知らないうちに籠が軽くなったりもするよ。」

  「ええ、そうなんですね。でも私は盗ったことなんて。」

「ああ分かってるよ。そんなだから、暇な時があったら店番を頼みたいんだ。あんたならうまくやれるんじゃないかと見た。」


 私は働いたことがない。周りにいた人たちはみんな私より幼い頃から仕事といって、街に仕えているのは知っていた。その頃の私は家の中にあった本を読んでいた性分だったのに。


 ちょっと意外な提案に、おばさんから目をそらして視線を落として考え込んだ。ちょうど目の前にあった籠の上には、土のついた芋が転がった。

「それに、店番してくれたらその分この店にある果物とかあげられるからさ。ここに立って、お客さんが欲しいって言ってるやつ渡してここの…。」

 おばさんはしゃがみ込んで、地面の方を探りながら言った。

「そうこれ。ここにある袋に代金を入れておけば良い。簡単だろ?」

 どこかは見えないけど。


 こうして私は、いつも散歩していた時間をここの店番に当ててみることにした。最初はおばさんに書いてもらった商品の代金表をもとに、作業をこなしていた。

 後から思ったが、代金を入れている袋も棚の下の地面に蓋がついているところにあるのだ。こう見ると、隠しているというか守っている財産を預けられた気がして、またぶわっと責任感のしぶきで身体の中でひやっとさせられる。がんばらないと。



 日が落ち始めると空は黄金色に近づき、平らで広大な大地もそれを映し出す。からからの大気で奥の景色が澄んで見えるから、砂漠は不思議な鏡のようだった。

 一日の終りにいくつかお店から商品を持って帰れるのだが、それを選んでいるうちに結構時間を食ってしまう。おばさんはいつもじれったそうに見ているが、本当はその日の売上を数えるほうが大変なはずだ。



 今日も暑く、街までの道では次のトンネルの陽炎が私を惑わしたので、いつもより長い道のりに感じたし疲れた。


 店の内から覗く外は眩しいから、人が来ても私からは遅れて気づく。

「ここはベルの店かい?」

  「ええ、ちょっと雇ってもらってます。何をお求めですか。」

「そこのじゃがいもをこの袋に入るだけくれ。」

  「はい、すぐに。」

 私は、土っぽい麻の袋を受け取り、じゃがいもを数えながら詰めていった。

「にしても、ベルとは接客が大違いだな。あいつがこんな子供に店を任せるようだとは思わなかった。油断するとここらのヤツはすぐ盗るからな。」

 私はやはり心配されているのだろうか、まだそういう人に会ったことがなくてうまく相槌を返せずにいた。

  「これで十六個になります。」

「はいよ、まあ頑張りな。」

 彼は代金を渡して、袋の中を少し見て言った。

「なんだ、数をごまかさねえのもまだちょっと青いな。」

  「いや、そんなことしませんって!ま、またのご来店を!」

 彼の顔は明るかった。私は砂漠の日の下にいるときより、ちょっと火照った顔をしていた。


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