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化け物  作者: 宵野 雨
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第22話 爆発

「で、組織側からはなんて来たんだ?」


「結界の可能性が高いって」


「なるほどな、で、その原因を突き止めろって?」


「そうだね~。結界の種類も私の使うものに近いらしいから、適任だろうって」


「ってことは、陰陽師関連ってことか」


「とはいえ、私もこの場所のことは全く知らなかったから、有名な陰陽師系列が関わってるわけじゃなさそう」


「有名な陰陽師って安倍晴明とかか?」


「そ~。まあ、私も歴史とかは詳しくないんだけどっ!」


「なんでそこでどや顔する」


 陰陽師になるのにそういう歴史の勉強は必要なかったのだろうか。


「それもあって、もしここが歴史ある場所だったとしても分からないけど」


「それは致命的じゃねぇか」


 本当にこの調査に彼女が適任だったのだろうか。


「……でもまあ、歴史あるって感じではねえな」


「うん。特に壁に変色とかも見えないし、割と家電とかも転がってる」


「ここでどうやって電力を供給してんだって感じだが」


「まあ、地下とかから電線引っ張ってきてるんでしょ。最近は電柱を地下に埋めるくらいだし」


「こんな山の中にか?」


「こんな結界を張るよりは現実的だよ。私が数人がかりで張るような結界だし」


「……つまり、敵は少なく見積もっても陰陽師が数人。こっちは二人だぞ?大丈夫か?」


「戦力不足は否めないよね。まあ、今回の任務は壊滅じゃなくて特定。バチバチにやりあう必要はないよ」


「潜入なんてやったこともないんだが」


「え?深夜の学校に忍び込んだとかしたことないの?」


「……それ潜入にカウントしていいのか?」


「どちらにせよ大丈夫。気配を消せる術をかけてるから。人の前に出てダンスとかしなきゃばれないよ」


「やりだしたら、何らかの精神干渉を疑ったほうがいいだろうな」


「冗談冗談。目の前に出ていかなければばれることはそうないよ。これでも他の陰陽師には負けないくらい強くなったんだから」


「ならいいが……」


 あの組織に所属している少女だ。才能も訓練もばっちりだろう。


「さてと、明らかに空間が拡張されてるわけですが、そこから地下へ続く階段と」


 小屋の中に入り歩き続けた結果、一つの階段にたどり着いていた。外から見た小屋は狭いアパートのワンルームくらいの広さだったように見えたのだが、実際に歩くと、学校の廊下くらいの長さの廊下と、いくつかの部屋で構成されていた。外観と中身が全く違うと言えばいいだろう。


「地下室があるってことか。何に使うんだろうな」


 小屋の中の部屋をいろいろと見ていったが、生活できるだけのキッチンやリビング、書斎などの部屋は十分にあった。それらに加えて、地下室を作る意味が見えないわけだが。


「うーん。考えられることとしては、地下水のくみ上げ装置の管理室とか、隠し通路とか?」


「陰陽師だと龍脈とかもありうるんじゃないか?」


 うろ覚えの知識で思い浮かんだことを確認してみるが、祈は首を横に振る。


「龍脈があるとしてもわざわざ地下である必要はないんだよね。そういう力って上下には伝わるから。心霊現象とかも、隣が事故物件ってより、上下の部屋が事故物件って方がやばかったりする」


「そういうもんなのか」


「そーそー。まあでも、天地に関わる儀式なら高い場所とか、地下とかに作る意味もあるかな?その可能性はゼロじゃない」


「なら一応、考慮はしておくか」


「その必要はなさそうだよ。地面を掘り進めたような道。何らかの非常用通路と見て間違いはないと思う」


「確かに、特段変なところはないな」


 俺は壁をなでながらそんな言葉を口にする。何の異常もないただの岩肌の感触しかない。整備されたようにも見えないし、ただただ、掘られた抜け穴という印象しかない。


「抜け穴だとして、何のために作られてんだ?あんな小屋から逃げ出すために作るわけじゃあるまいし」


「逆じゃないかな?逃げた先にあの小屋があるように設計している。そう考えるほうが自然だよ」


「確かにそうだな……。だが、逆からも進めるようになってるとなると逃げ道としては弱くないか」


「ん~、確かにそうだね~。だとすると」


 そこまで話したところで背後から、爆発音が聞こえ……。


「あ~、しくじったなぁ」


 ガラガラと来た道が崩れ落ち、道がふさがれる。祈が苦笑しながらそんなことをつぶやいている。


「まじか……」


 こうなってしまえば引き返すことはできないだろう。この道の奥までたどり着いてから、脱出する以外に道がなくなってしまった。この瓦礫を壊して、無理やりに道を作ることもできないわけではないが、この崩れ方だと、見えてる範囲だけが崩れたわけではないだろう。どこまで続いているかもわからないがれきを避けて進むのはさすがに難しいだろう。


「術だけ警戒しちゃってたなぁ。爆薬とセンサーっぽいね。……となると、潜入してることもばれてるかも」


「相当まずくないか?それ」


「うん。ひじょーにまずい。私の術で一般人程度からは逃れられるだろうけど……」


「同じ陰陽師が本気で探しに来られるとまずい、と」


「イエス!」


 少しの焦りも見せない祈に安心する……なんてことはなく、呆れてしまう。


「もうばれてるんだ。だったら、急いで隠れられる場所を探すよ!」


「え、ちょっと」


 そう言って、すぐさま駆け出す祈の後を俺は急いで追いかけるのだった。

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